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メカトロニクス化が産業に与えた影響 1/2

こんにちは、イノカドです。

メカトロニクス製品は、高信頼性・低価格・高い量産性という素晴らしい特徴を持っているということをお話しました。

話は前後しますが、日本がメカトロニクスに到るまでの歴史を大雑把に解説します。

1. 前史ー日本と欧米の技術格差

日本の技術者達は、文明開化の時代から、技術力で欧米に勝とうと必死に努力してきました。ですが、製品の品質は一朝一夕で向上するものではありません。

なぜなら、機械の品質は、工作機械の精度・材料の品質・研究力などの要素によって決まり、欧米諸国に100年程遅れて工業化した日本には、この蓄積が圧倒的に足りていなかったからです。

ですが、戦後、機械のメカトロニクス化という戦略により、日本に逆転の機会が訪れます。

2. メカトロニクスの時代へ

戦中から戦後に掛けて電子工学が急速に発展しました。幸いなことに、この分野では、欧米と日本の技術格差はそれほどありません。つまり、欧米企業が日本企業と同じスタートラインに立たされることになったのです。

戦後直ぐの日本では、既存の産業が壊滅状態であり、経済は悲惨な状況でしたが、逆に新規の産業を立ち上げるための人や土地が余っているということを意味していました。

これは、メカトロニクス産業へのスイッチングコストが小さいことを意味します。後は、どれだけ人を集められるか、研究開発費に投資出来るかという勝負です。日本企業はこの点で欧米のライバル企業に差を付けたのです。

この時代に生まれ、この分野で世界を制した代表的な企業がソニーです。

次に、メカトロニクス製品の特徴について見ていきましょう。

3. メカトロニクス製品の特徴

メカトロニクス製品は、高信頼性・低価格・高い量産性という特徴を持っています。これらの特徴について見ていきましょう。

まず、信頼性ですが、これは故障率と言い換えられます。電子部品は電気信号によって動作するため、回路が切れない限り半永久的に動作します。

実際には、メカトロニクス製品には寿命がありますが、これはバッテリーの劣化やモータの故障が主な原因です。その代わり、故障の原因がこれらの部品に限定されるので、機械部品だけの場合に比べて故障率は格段に下がります。

次に、価格と量産性について見ていきましょう。

製品の製造にかかるコストは部品の調達費に左右され、部品数が増えればそれだけ調達費がかさむことになります。メカトロニクス製品は部品点数が少ないため、製品全体としてのコストは小さくなります。

さらに、部品数が少ないことは製造時に大きなメリットになります。なぜなら、製品の組み立てが容易であることを意味するからです。
言い換えれば、熟練工でない人間でも規程通りの製品を作れるということであり、高品質の製品を大量生産出来るということです。

4. 日本が勝者になれた理由

では、メカトロニクス製品の製造に向いてるのはどんな国なのかを考えいきましょう。

一般論として製品の製造コスト(原価)は、人件費と部品の調達費により決まります。価格は製品の競争力に直結しますから、人件費が安く、部品が安い国がメカトロニクス製品の製造に有利ということになります。

日本は、人件費の点で有利であり、技術の蓄積もあったので、自力での電子部品の製造・開発が可能でした。

ヒト・モノ・カネが揃ったことで、日本企業はメカトロニク製品で圧倒的な競争力を獲得し、勝者になれたのです。

5. 視点を変えてみよう

一方で、日本のメカトロニクス製品にシェアを奪われ、既存の産業構造を破壊された欧米企業はたまりません。

彼らは、産業の地殻変動にどう立ち向かったのでしょうか?
そして、日本の成功を見たアジア諸国はどんな行動を取るのでしょうか?




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