4大力学攻略法 〜流体力学編〜
こんにちは。イノカドです。
今回は、流体力学の勉強について語っていきたいと思います。
流体力学とは、自由に変形する流体の運動を解析する学問です。そのままですね。個体を扱う機械力学や材料力学とは違い、流体力学では、水や空気のように不定形な対象の運動が興味の対象になります。
流体力学が設計に必要となる場面は、自動車や新幹線、飛行機のような移動機械の空力抵抗を見積もり、低減するための形状を決定する時や、エンジンやタービンの燃焼効率を高めるために、空気の流れを解析する時に使われます。
流体力学は、不定形な対象を扱う学問なのでイメージが中々掴みづらく初学者にはとっつきにくいかもしません。
1. 流体力学の考え方
流体力学では、気体や液体のような不定形な対象を扱う学問です。では、どのように対象を解析するのでしょうか?
皆さんもご存知のように、どんな物も分子や原子のような微小な粒子の集合から成り立っています。原理的には、流体に含まれる全ての粒子の運動を追跡すれば、あらゆる物理量(密度、温度、圧力、流速など)を決定することができます。
しかし、日常のスケールの中に含まれる粒子の数は莫大すぎて、人間の能力ではとても計算できませんし、例えスーパーコンピュータを使ったとしても、現実的な時間で計算することはできません。
では、流体力学を創始した物理学者達は、どのように考えて流体力学を構築したのでしょうか?
難しい話になりますが、実用上知りたい流体の温度や圧力、流速などの物理量は、その流体を構成する粒子の運動の平均的な運動から計算でき、粒子の数が莫大になるほど個々の粒子の影響を受けにくくなります。(厳密に理解するためには、解析力学と統計力学を駆使する必要があります。)
要するに、流体の温度や圧力、流速のようなマクロな物理量は、個々の粒子の運動ではなく、マクロな物理量同士を比較することで計算できるのです。
流体力学では、この性質を上手く利用し、実用的に重要な物理量だけを引き出すのを目的にしています。
2. 流体力学で使う道具
流体力学の主な関心はマクロな物理量の変化にあります。そして、マクロな物理量が他のマクロな物理量だけに影響を受ける性質を利用し、上手に現象を単純化し求めたい物理量を計算します。
前置きが長くなり過ぎましたが、大学の流体力学の授業で使う道具はベルヌーイの定理と連続の式です。
ベルヌーイの定理とは、圧力や流速の関係を記述した方程式です。この式から説明できる日常の現象に、電車が駅のホームを通過したときに電車に吸い寄せられそうになる現象があります。実用上では、航空機の速度を測定するセンサーに利用されています。
連続の式は、菅内の断面と流速の関係を記述する方程式です。簡単に言えば、狭い菅ほど流速は速くなり、広い菅ほど流速が遅くなると言う直感的な理解を数式で表現したものです。ベルヌーイの定理と併用されます。
大学の流体力学の授業で登場する計算では、これら2つに加えて運動量保存則を理解していればスムーズに理解できると思います。