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1人目デザイナーの初年度を、3つの軸で振り返る

STORES, incから2023年12月にResilire - レジリアに転職して、1年が経過したのでその振り返りを書いていきます。

この一年のレジリアでは以下のような大きな変化がありました。

  • 社員数は10人から、1年で30名まで増加(その内、CTO経験者が4人)

  • シリーズAを含めて、累計調達額13億円を調達

  • エンプラ顧客もARRも2倍以上の成長

このような変化の中で、デザイナー起点でどんなことをしてきたのかを3つの軸でまとめます。3つの軸とは、企業の能力である「資源」「プロセス」「優先事項」です。これらの能力を総合的に考えることは、企業に何ができるか、もしくは何ができないか、を分析する上で欠かせません。

最も具体的な形をとるのが資源です。人材、製品、ブランド、顧客、資金など、多くの資源は目で見ることができ、測定可能です。
社員が相互作用、連携、意思疎通、意思決定を行う方法を、プロセスと呼びます。プロセスには製品開発、市場調査、予算策定、資源配分などを行う方法が含まれます。
最も重要な能力が優先事項です。企業の意思決定方法を決め、企業が何に投資すべきか、すべきでないかについて、明確な指針を与えます。どんな階層の社員も、優先事項に従って決定を行います。

1人目デザイナーはこの3つの能力のどこに影響を与えるべきか?を毎月考える必要があります。どの能力にフォーカスすると、一番レバレッチがかかるのか?短期と中長期の視点でバランスをとりながら推進していきます。

1. 優先事項フェーズ

僕が入社した頃はプロダクト側はリアーキテクチャの最終フェーズで、業務委託のデザイナーが2-3名いる状況でした。まずはプロダクト理解と信頼貯金を集めるために、デザインレビューに参加して「ふむふむ」「へー」と言っている状態です。

それと並行してブランドの確立を目指します。なぜなら、レジリアの事業がコンパウンド戦略であることは決まっていたので、体験やデザインが統一された製品を作る必要があったからです。
それには、優先事項を決めないといけません。MVVは存在していたので、ブランドの設計図である「ブランドコンセプト」とブランドの特徴・個性である「ブランドアイデンティティ」を、社員全員のワークショップを通して決めていきました。

2. プロセスフェーズ

プロダクト開発は要件定義書もなければ、開発フローも定まっていない状態だったので急いで開発プロセスを作成しました。
開発プロセスで重要なのは

  • 要件定義書を必ず書き、主要オーナーとコンセンサスを取る

  • デザインがFIXするまで、実装に入らない

  • 4Sprint以内で実装可能な機能に限定する、超える場合は分ける

  • リリース前にQAと修正期間を必ずとる

ことです。
安定的なリリース体制を構築できないと、無駄な稼働が際限なく増加していくのがプロダクト開発です。

また、ロードマップの青写真もここで作成しました。今何が進んでいて、3ヶ月後までにどの機能に着手していたか?そのためにデザインはどこまでに必要か?追加で機能を作るためには、追加のエンジニアが何人必要か?などなど、中長期的な開発スケジュールを見ながら確認していきます。

開発プロセスやロードマップは戦略や採用の変化によって、大幅に変わるので高頻度で見直しが必要です。

3. 資産フェーズ

ここまで来たら、あとはエンジニア採用を頑張りながらデザインを作りまくるだけです。1人目デザイナーとしてあくまで一番重要なのはプロダクト開発である、と僕は考えているので、「プロダクトデザイン:6、ブランドデザイン:2、コミュニケーションデザイン:2」の力の掛け方で、この一年間アウトプットしてきました。

ちなみに業務委託デザイナーや外部制作会社もいないので、すべて一人で担当しています。

2024年1月 - 4月

cojpサイトのリニューアル
実装はSTUDIOでSunasunaにお願いしました。

カンパニーデッキのリニューアル

名刺デザイン

2024年5月 - 6月

デザインシステム:Dynamicaの開発と実装

2024年7月 - 12月

サービスサイトリニューアル
これも実装はSTUDIOでSunasunaにお願いしました。

バナーやチラシ、イベントパネルなどは通年でもろもろ。

以上。ここで掲載できているのは、コミュニケーションデザインの2割がほとんどで、残り6-8割のアウトプットはプロダクトデザインなのでお見せできない!

デザイナー1人でもプロダクトデザインに6割の時間を割きながら、cojpサイトもサービスサイトもSTUDIO使って簡易的に作れるのでいい時代になりました。グローバルプロダクトなので、海外対応必須というのもあり、次はFramerを使ってみたいですねー。

集中とバランス

こんなふうに、1人目デザイナーは企業の能力である「資源」「プロセス」「優先事項」を総合的に考えながら、戦略的にレバレッジをかけていくとスムーズに事業を推進していけます。

優先事項がないと軸がないデザインを作り続けて負債になるだけですし、プロセスがないとデザインがあっても開発は進みません。一番重要な優先事項を速攻で決め、プロセスを大切に育てながら、資源を増やして信頼貯金を貯めていくのが理想的な動きになります。

しかし、もちろん理想的に進むことなどなくイレギュラーはどんどん起こるので、毎回判断しながらバランスをとっていくのがスタートアップの面白いところかなと思います。来年も何が起こるのか楽しみですね!

それでは、良いお年をー。

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