いのちびとメルマガ(103号)
『人生のそのときを、積み重ねて生きる』
(2020.9 号より)
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「鈴木さんは、いろいろなキャリアをつくられたのですね」と、ある方が言われました。どうもピンときませんでした。私は、予め意図してキャリアをつくったのではありません。
私は大学生になっても、将来、なりたいいうものは特にありませんでした。地元の会社で、将来性もあるか程度の理由で就職しました。
入社当時は、一枚のレポートも書けません。深夜残業、休日出勤は当たり前、「もう辞めてやる!」と何度も思いました。十年経って、社会人として常識、仕事の考え方・見方、プロジェクトの動かし方などが身につきました。
景子の小児がん発病で、人生の前提は全て崩れました。良い医療とは、尊厳ある生死とは何かを、絶望や怒りの中で涙を流しながら思い悩みました。死別後は、生きる意味、人生のテーマとは何かを答えもなく問いかけました。そして、会社を早期退職して「いのちの授業」をあてもなく始めました。
ひとり稼業になって、生きる「現実」を体で思い知りました。お金とは? ご縁とは? 働くとは?自分が頭でっかちで生きていたことも。
「いのちの授業」を通じて、社会や学校の現実、子どもたち・親・大人の思い、心の教育とはを思いました。特に、一人ひとりの「いのちへの思い」には、時に胸が熱くなりました。自分の思い上がりや勘違いを、今も教えてもらっています。
その一つ一つの体験は、滑ったり転んだり、もがきながら、出逢い・生きる・働くことでした。その全てが積み重なり合って、今の私があるように思えます。
人生のその時を、積み重ねて生きる―。
還暦を過ぎて、少しそう受け入れられるようになりました。だからこそ、「今、この時を大切に」と思います。
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