いのちの授業 あの日から(10号)
『生まれてきてくれてありがとう、産んでくれてありがとう』
(大人のための「いのちの授業」より)
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妻の淳子が、景子への思い綴った二つのメッセージがあります。
一つは、初めてまとめた手記の最後に綴りました。
「景子ちゃんが天国に行ってしまってから、もう三年も経ってしまいました。景子ちゃん、今何をしていますか。もう四年生だね。お友だちはいますか。お勉強もちゃんとしているのかな。
景子ちゃんの病気が、もう治らないと聞いたときとても悲しかったけど、『景子ちゃんと一緒にいられるのなら、このままずっと病院にいてもいいから、どうか最後の時がきませんように』と、神様にお願いしました。
まだ小さい景子ちゃんは、ちゃんと天国に行けないかもしれない。お母さんがついていこうと、本当に思っていました。でも、天国は、選ばれた人しかいけいから一緒に行けないとお友だちが教えてくれました。景子ちゃんは小さかったけれど、お母さんよりずっと大きい人だったんだね。
お母さん、何もしてあげられなくてごめんね。
景子ちゃんを抱きしめた時の温かさ柔らかさを、今もお母さんの腕は覚えているよ。お母さんは、景子ちゃんの夢をみることが出来ません。もう一度会いたいのに、もう一度抱きしめたいのに出来ません。ねぇ、景子ちゃん。お願い、お母さんの夢の中に出てきて…」
もう一つは、いのちの授業・親子塾で「ありがとうカード」に綴りました。
「景子ちゃんが天国に旅立ってから、十三年経ちますね。来年は成人式です。一緒に過ごした時間は短かったけれど、今もいつもそばに景子ちゃんを感じています。お母さんの子に生まれてくれて、本当にありがとう。これからもみんなを見守ってね。お母さんより」
ある中学校の「いのちの授業」で、目を潤ませて男子生徒がお礼の挨拶をしてくれました。
「僕は、小学校一年生のときに、お母さんを亡くしました。小さくてよく分からなかったけど、寂しかったことを覚えています。今日、お話しを聴いて、お母さんに『産んでくれて、ありがとう』と伝えたいと思いました」
生まれてくれて、ありがとう―。産んでくれて、ありがとう―。
一番大切にしたい親子の思いです。
★写真は、絵本「6さいのおよめさんより」
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