いのちびとメルマガ(101号)
『心の授業、心の先生とは』
(いのちびと2020.7号より)
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ある中学校で、いのちの授業をしました。数日後、子どもの感想文と一緒に、先生のお手紙が届きました。
「実は、私は教諭として『いのち』というテーマを恥ずかしいですが、ずっと向き合うことのできなかった人間です。なぜなら、自分がいのちをつなぐことができなかったからです。八年間という不妊治療を終え、今は、その後発症した病気と上手につきあっています。
私たちは、『夢は願えばかなうもの』『がんばって』と簡単にこの言葉を使います。私自身もずっとこの言葉を信じて、ゴールの見えない治療を続けてきました。治療に失敗すると、『自分の願う気持ちが足りないから』と自分を責めてきました。今思うと、何かにとりつかれたような日々でした。
治療をやめ、ようやく子どもがいない自分を受け入れることができるようになり、『いのち』について学んでみたくなりました。今までは、母性としての『いのち』にとらわれていたように思います。病気とつきあいながら、人間としての『いのち』『生きること』を考えてみたくなったのです。
鈴木さんの『いのちに限りがある』『難有りは有難う』『涙の分だけ幸せになれる』。とても共感できました。この言葉を胸に、『ありのままの自分でいいんだよ』とみんなにメッセージを語りかけたいと思います」
先生の話を聞いた生徒が話してくれたそうです。「辛かったですね…。私、お母さんになったら、子どもを大切します。先生、ありがとうございました」
自分の思いを込めて「語りかける」。そのとき、子どもの心は導かれていくように思います。教育者を意味するeducatorという英語は、ラテン語のeducare=「案内する、導く」に由来します。
本当に、いい先生だなあ。これぞ「心の授業!、心の先生」。先生の笑顔が思い浮かびました。
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