メルマガ「いのちの授業 あの日から」(6号)
『いのちへの思いは、家族の絆となる』
山の小さな小学校に伺いました。
景子のことを話しだすと、女性の担任の先生の目から涙が溢れ出しました。教室の後ろで、手で口を強く押さえてずっと泣いているのです。
授業が終わって、先生が挨拶をするときになりました。
先生は、涙が止まらずに、ひと言も話ができません。男の子が言いました。「先生、泣いてちゃだめだぞ! あいさつはしっかりと、いつも言っているぞ」。先生は、小さな声でやっと話してくれました。「鈴木さんは、とても辛いことを優しいお顔で話してくれました。みんなで、ありがとうございましたといいましょう」。先生は、校門まで見送りに来られ、車が見えなくなるまで手を振ってくれました。
二週間後、子どもたちから感想文が届きました。不思議なことに、お母さんのことがたくさん書かれているのです。ある感想文に私は息が止まりました。
「すずき先生のこどもと先生の子どもは おなじとしだったそうです。先生の子どもも しょうにがんになったそうです。ひとりであるけなくなったけれども しんでいないそうです。いのちはたいせつですね。びょうきにならないようにがんばります」。
はじめて分かりました。
先生の涙は、お母さんの涙だったのです。先生は、私を見送った後、自分の辛い体験と思いを、自分の言葉で子どもたちに語ったのでしょう。その姿に、子どもたちは、お母さんといのちを感じたのです。
私たちは、どこで「いのち」を感じるのでしょうか。
人と人との関わりの中です。特に、「家族」に「いのち」を感じます。家族として生老病死に向き合い、ともに「いのち」を思うからです。
家族の営みは、いのちの営み。いのちの思いは、家族の絆になる―。
あなたの「いのちの思い」を家族に語ってあげてください。いのちと絆を育むために。
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