![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/160883545/rectangle_large_type_2_106cecbe12e948ba1afcdf1756444b35.jpeg?width=1200)
いのちびとメルマガ(116号)
『共に生きる 心休まる居場所をつくりたい』
(いのちびと2021.3号より)
・・・・・・・・・・
Uさんは、古民家を借りて介護サービス事業を創業した。
今、デイサービス・老人ホーム・保育園・社会福祉法人を営み、誰もが「ともに生きる」居場所づくりを志している。
保育園には重度障がいのA君が通う。
スプーン一杯がやっとで、寝返りもできなかった。両親は、全ての保育園に入園を断られた。市の職員は、「Uさんの保育園なら…」と伝えた。「どんな人もまず受け入れる、が創業からのポリシー。A君も『みんなと同じ生活』を共にできるようにしました」
お友だちは、自然にA君に話しかけたり抱っこしてくれた。数か月後、A君は、楽しそうに周りの人を首を持ち上げて見る、話し声がする方にゴロゴロ転がっていくようになった。その姿に両親は涙を流した。「子どもも老人も、障がい者も健常者も、ともに生活することが『共生の姿』です。特に、子どもはその中で成長してくれます」
高齢者施設では、自然な看取りにも取組んでいる。
義母が脳梗塞で入院した。コロナ禍で面会さえできなかった。二か月後、変わり果てた義母の姿があった。義母は、コロナを理解できずに、子ども達を大声で呼んだのかもしれない。義母の体や腕には抑制された痕があった。
自分達の施設に入所してもらった。
その後、温かい家族のようなスタッフと過ごし、徐々に看取りの状態になった。交代で家族が付き添い、静かに穏やかに旅立った。二人の娘とエンゼルケアをし、いのちの時間を共有した。出棺時、スタッフが手を振って見送った。
看護師として働いた病院時代は、最後まで濃厚治療をして、モニターがフラットになった時をご臨終だと思っていた。
「今は、五感で旅立ちが分かります。高齢者は人生を生き切った人です。最後の一%の人生が安らかなら幸せになれます。幸せだったと感じてもらえるように、心を込めて寄り添いたいです」
児童虐待が増える中、ショート里親として、週末などに施設の子どもを引き受けている。「お母さんと買い物をした経験がない子もいます。一緒に暮らす時間や場所を大切にと願います」。
お年寄り、障がい者、困難を抱える子ども、シングルマザー、子ども食堂など、みんなが共に生きる居場所をつくるのが夢だ。
「みんなが不安を抱いています。心が休まる居場所があることが、幸せの実感になります。共に生きる居場所をつくっていきたいです」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
メルマガは、週2回&2テーマでお届けいたします。
・月曜日頃=「いのちの授業」あの日から(鈴木中人の体験を拙著等から抜粋)
・木曜日頃=いのちびとメルマガ(いのちに向き合う人の思いなどを会報「いのちびと」より紹介)
*会報「いのちびと」は、1年/1500円で定期購読できます。