FF3女子旅【11】おてんば姫の旅立ち
「ありがとう、戦士たちよ。再びジンを封印し、ユッフィー姫を助けてくれたこと、礼を言う」
ヴィダル城の謁見の間で、王様が封印の洞窟から無事帰ったきた4人と、兵士イングズをねぎらっています。
ミスリルの指輪をヴィダル城地下の泉に浸したことで、棒人間化の呪いはすでに解かれていました。
「お父様。わたくしはクリスタルより啓示を受けた光の戦士として、旅立たねばなりません」
「な、なんだと…!?」
はい、原作と違いますね! この世界では、主人公のひとりですから。
「光の戦士に選ばれた以上、わたくしには世界を救う責務がありますの」
ノブレス・オブリージュ、高貴なる者の責務。貴族は民を守るため戦わねばならない。この建前は後の時代まで影響していて、ヨーロッパの王族には軍隊経験者が多いです。
中には、国王陛下が旅客機パイロットをしていたケースもあるようです。空軍経験者ではないようですが、飛行機愛好家とのこと!
「イングズ、あなたはわたくしの代わりに、お父様を頼みます」
「姫様…!」
封印の洞窟では、ヴィダル城にあった退魔剣ワイトスレイヤーを渡されてアンデッド相手に健闘していた兵士イングズですが。やはりジンとの戦いで圧倒的な実力差を見せつけられてしまいました。
お供できなくて悔しいのでしょう、目に涙がにじんでいます。
「我が娘がクリスタルに選ばれた以上…仕方あるまい」
「お父様。本当の娘でないわたくしを今日まで守り育ててくれたご恩、生涯忘れませんの」
その場の一同から、あっと驚きの声が漏れます。ユッフィー姫が、国王の実子ではなかった…!? これもオリジナル展開です。
「気付いていたか。お前は妖精の取り替え子で、ミスリルの指輪で本来の姿を封じて育ててきたのだ」
赤ちゃんを別人と取り替えてしまう。しかも残されるのは、人間ではない妖精の子。シャレにならない妖精のイタズラですね…!
姫にミスリルの指輪が贈られた真の理由は、取り替え子の正体を隠すためでした。となると、この世界のどこかに本来のサラ姫がいるのでしょうか?
「もし、旅先でホントのお姫様を見つけたら。必ずヴィダル城に連れて帰りますの」
そう宣言するユッフィーに、ヴィダル王は優しく手を握りました。
「たとえ血のつながりがなくとも、お前は私の娘だ」
「幼なじみってことにぃ、変わりはないですぅ!」
交代で、今度はエルルちゃんがハグ。ユッフィー姫もしっかり抱き返します。友情と、親からの愛に恵まれていますね。マリス船長とアリサ様も笑顔で見守っています。
一方、兵士イングズは心の中で自制していた何かが弾けた様子で。
その晩は、ヴィダル王の計らいでささやかな宴が催されました。また今後の冒険に役立つようにと、小さく折り畳める魔法のカヌーも提供してくれました。音楽と踊りにのせて、宴の夜は楽しく更けていきます。
※ ※ ※
翌朝。ベッドでよく寝た4人が、呪いが解けた鉱山街カズスの様子を見てこようと、城門を潜ろうとしたそのとき。
「よぉ、ユッフィー。ゆうべはお楽しみだったな。で、どうだった?」
「こらぁ〜っ! ルーネス!!」
怪我が治っていたやんちゃ少年、ルーネスがユッフィー姫にとんでもない質問を投げてきました。彼も一応、幼なじみなのですが…もろセクハラ。
「あだだだだ!!」
「んもぉ〜、ルーネスさぁんってば、おませさぁん♪」
レフィアから思いっきりビンタされて、頬を真っ赤に腫れ上がらせているルーネスと。何のことだか分からずきょとんとしているウブなアルクゥと、言葉の意味を理解して頬を染めてるエルルちゃん。やっぱり女子ですね!
なおこの場面は、DS版FF3にあったとされる没イベントを元にしてます。できるだけ無色であるべき主人公としては、アク強すぎのセリフでしたが。
この世界では脇役なので、お調子者としての個性が良く出ていますね。
「アリサちゃん、どういうこと?」
「昨夜遅く、ユッフィーの部屋に忍び入った城の兵士がおってな」
さすがは、ウサギの耳を持つ獣人娘アリサ。物音には非常に敏感です。
「てことは…!」
「夜這いじゃろうな」
マリスもエルルと同様、顔を赤くしました。高露出な割に可愛いところもありますね。
そして、ここまで言葉を発さず静かに一部始終を聞いていたユッフィー。その場に気まずい沈黙が訪れると、おてんば姫はイタズラっぽい笑みを浮かべて幼なじみの少年を見つめます。
「もしかして、ルーネスも? イングズ様に先を越されましたね」
そのまま、深夜に何があったのかあけすけに語ろうとするユッフィーを。顔を真っ赤にして、ルーネスは止めようとするのでした。
「ちょ!? もういいって、オレが悪かった!!」