No.6
スタートは、塀の中。ヘイヘイヘイ♪
(BGM:サガフロンティアより「ディスペア」)
「ホントのナポレオンさぁんはぁ、こんなことしませぇん!」
エルルちゃんにとって、ナポレオンは美食の英雄。
缶詰と、マヨネーズと、たまねぎの歌を広めた人。
なのにホントのことを叫んだら、捕まって牢屋に入れられちゃった。
「…入れ!」
キィと、鉄格子の開く音。また、誰かが連れられてきた。
裁判なしの処刑のために。
「エルル様?」
不意に、聞き覚えのある声。
振り返れば、青い瞳に翠玉の髪の…小柄な褐色肌の娘がいて。
「ユッフィーちゃん!」
緊張の糸が切れて、旧知の友に抱きつくエルルちゃん。豊かなふくらみの間に顔をうずめて、すりすりと。
「エルル様、くすぐったいですの」
身長差があるので、背の高いエルルちゃんがわざわざ姿勢を低くして。
「おとなしくしていろ!」
抱き合う娘ふたりをチラッと見た後。看守が牢に鍵をかけて立ち去って。
「エルル様。わたくしたち、ディアボロスのミッションで来ましたの」
「ボロネーゼですかぁ?」
二文字しかあってませんよ、エルルちゃん。
復讐者は、人類史を歪めた歴史侵略者に抗う者。彼らはここ、バスチーユ牢獄に囚われた無実の人々を救うため動いていると。ユッフィーが状況を説明します。
なお史実のバスチーユ牢獄、かなり環境が良かったようです。服装自由で家具持ち込みOK、専属コックや使用人を雇えて食事も豪勢、図書室や遊戯室も完備で、病気になったら国王の侍医が診察してくれる。イメージ違うよ!?
逆に脱獄したくない場所。期限が過ぎても残ったり、進んで入所する者までいたとか。
ただクロノヴェーダの目的は人々を虐げ、負の感情搾取や人々の命そのものからチカラを得ることなので、いまはイメージ通りの非道な監獄です。
「よく考えてみれば。わたくしたちの【地球の女神】になったエルル様には、こちらの地球への夢渡り適性があるのも当然でしたわね」
「エルルちゃんに内緒で行こうったってぇ、そおはいきませんよぉ?」
「そろそろ行くぞ」
同行してた他のディアボロスが【狐変身】のパラドクス効果を発動させる。多少の狭い隙間…鉄格子の隙間をすり抜けるくらい、何とでもなるだろう。
そうして、牢から抜け出したエルルちゃんが狐のまま巡回の看守に背後から忍び寄り。手にしたマスケットの台尻で、後頭部をガツン。
気絶させた看守から、鍵束ゲット。
「さぁ、みなさぁん!いまのうちに逃げましょお!!」
民衆を導く、自由の女神のお出ましだ。
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