商人のDQ3【19】友好的なモヒカン
「ヒャッハァ〜!こいつはすげぇや!!」
いつから、ここは世紀末の荒野になったんでしょうか。モヒカン頭の村人たちがそろって、ハイテンションな歓声をあげています。
みんな、そこにシビれる憧れるぅ!な感じの視線を、キラーマシンを沈黙させた勇者アッシュに向けて。
スーの村が謎の覆面男に襲われているのを偶然見つけ、マリカの案内で村の危機に駆けつけたシャルロッテ一行。ところがこの敵、元のドラクエ3の「やまたのおろち」や「ボストロール」にも匹敵する…タフネスだけなら、完全に凌駕しているバケモノでした。エリミネーターの皮をかぶった、○○ミネーター。だだんだっだだ。
魔法の玉の爆炎に包まれても、金属の骨格だけで起き上がってきたキラーマシンの亜種は、アッシュ少年がとっさに唱えたライデインでようやく機能停止。あたりが静かになると、隠れていた村人たちが勇者様一行のところへ集まってきます。
全身が黒く焼け焦げたメタリック骸骨も、さすがにもう動く気配がありません。おっかなびっくりで遠くから見ている村人に、消火作業を手伝うよう怒鳴る年配のおばちゃん。
「ここはスーの村です。どなたか存じませんが、助けてくださりありがとうございます」
「俺たちは、ここから東の海岸にある小さな草原の集落を襲った魔物たちの中にいたらしい、奇妙な仮面の連中について話を聞きに来たんだが…」
ソルフィンがスーの村人たちに、事情を説明すると。
「それ、少なくともスー族の者じゃない。他の気性が荒い部族か、魔王軍の偽シャーマンだと思う」
このあたりに出現する、先住民めいた姿のモンスター「シャーマン」は、スーの村とは無関係のようです。
「昔、東の海を渡ってきた白い肌の人、この村から乾きの壺を持ち去ってしまった。また略奪に来たかと思った」
「でも、あんたらは村を助けてくれた」
村人の話を聞いていたシャルロッテが、何かに気づいて首をかしげます。
「グズリーズしゃんの集落は偽シャーマンに襲われて、スーの村は偽白人の人型キラーマシンに襲われたとなると…陰謀のにおいでちね」
「おおかた、人間同士を仲違いさせようとした魔王軍の策か」
クワンダの推理に、ようやく話が見えてきたのか。モヒカン頭の村人のひとりが青ざめた表情でつぶやきました。
「私たち、嘘つかない」
「なら、これ以上騙されないように。相手のことを知る必要があるな」
先住民と入植者がお互いのことを理解すれば、魔王軍はもはや両者の無知につけ込んだ悪だくみをできなくなる。ソルフィンが村人にそう語ります。
後の歴史には、この出来事がヴィンランドとスーの本格的な交流の始まりと記されています。文化の違いからくる誤解やトラブルも多々ありましたが少なくとも、現実の歴史で見られたような虐殺が起こることは回避できたようです。皮肉にも、魔王軍という共通の敵が彼らの結束を強めたのかも。
※ ※ ※
ところで、シャルロッテたちがエリミネーターもどきの残骸を片付けていると。アッシュ少年のライデインで井戸近くの地面に穿たれた穴から、何かキラキラ光るものが見えました。
「ここほるでちよ!それっ!!」
シャルロッテが商人の得意技、あなほりで掘り出してみると。それは雷のチカラを秘めた杖でした。いかづちのつえ。
「みなさんには村を救って頂きましたし、それはお礼に差し上げます」
ネーミングは雷系でありながら、道具として使うとベギラマの効果。さらにデイン系、メラ系呪文の登場で、ギラ系呪文は炎でも雷でもないナニカになりました。さらにドラクエウォークでの「いかづちのつえ」はイオ系呪文の使える杖に…わけが分かりませんね。
「この杖、アッシュの唱えたライデインのチカラが宿ってるみたい。しかも広範囲に電撃を放てるわよ」
試し撃ちで川に電撃を放ったら、魚がたくさん浮いてきてマリカが喜んでいます。この後みんなで美味しくいただきました。
山彦の笛はどこかの塔にあるそうです。
オーブのある所で山彦の笛を吹くと山彦が返ってくるんだよ。
「オーブって、なんでちか?」
「カンダタが言ってた、古代アリアハンの塔の話か」
村人から聞いた、謎めいた塔の情報。シャルロッテとクワンダの会話に、一同が顔を見合わせます。
「いよいよだな。気を引き締めていこう」
母の形見「夢見るルビー」を取り戻す機会がようやく近付いてきました。ソルフィンの長い旅も、あと少しです。
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