商人のDQ3【12】グリンラッドのサガ
「船なら、俺が乗ってきたのがある。それでグリンラッドに渡ろう」
ドラクエ3の原作では、みなさんご存知の通りポルトガの王様から依頼を受けて「くろこしょう」を入手してから、いよいよ船で海に出ます。ですがこちらの世界では、陸路でバハラタに向かうのは無理です。モスマン帝国が通してくれないので。
その代わり、ノアニールに来ていたソルフィンが自分の船にシャルロッテ一行を乗せてくれることになりました。いざとなればパーティ全員で担いで陸路を移動することさえ可能な、機動力に優れたバイキング船です。
夢見るルビーをバイキングたちから取り返し、エルフの女王に渡すまではソルフィンとシャルロッテ一行の利害は一致しています。期間限定ですが、心強い仲間がまたひとり、増えました。
なおこの記事のカバーイラストは北米大陸の発見者レイフ・エリクソンの像だそうです。場所はアイスランドのレイキャビク。
「お金に厳しいDQ3」では、ポルトガから船を出す大航海時代とは趣を変えて「ヴィンランド・サガ」風に北米大陸を目指すことにします。
「グリンラッドに辿り着いたとして、どうやってルビーを奪還するんだ?」
「俺は以前、巨漢の最強バイキングと一騎討ちをして生き残ったが、さすがに戦士団全部を敵には回せないぞ」
クワンダの当然の疑問に、ソルフィンも何かとんでもないことを言いながら同意します。
「それなら楽勝よ。まず夢渡りで敵の拠点を偵察してから、あたしの得意なレムオルで姿を消して中に忍び込み、アバカムで鍵を開けてお宝頂戴したらさっさとずらかりましょう」
「ま、マリカしゃん!?」
戦わずして目的を達する魔法使いマリカ、優秀すぎるのでは。魔法の鍵を取りに行けない現状ではまさに「キーパーソン」です。
「村にいた頃から、いたずら目的で使ってたの。でも勘違いしないでよね、メラゾーマとかは撃てないんだから」
マリカはレムオルやアバカムの他に、モシャスやメダパニなども初期習得しているようです。いたずらなおてんば娘の真骨頂。となると、今後かなり低レベルでパルプンテも習得できる素質があるのかも。
この世界では、呪文を覚える順番にかなりの個人差があって。性格次第で人によって早く覚える呪文、遅く覚える呪文があるようです。
「そりでは、マリカしゃんの作戦でいきまちょう!」
ソルフィンとシャルロッテ一行は、北欧の夜空に揺らめくオーロラの下で途中エジンベア北部や現実世界でのフェロー諸島、アイスランドにあたる島を経由しながら、海路はるばるグリンラッドを目指します。シャルロッテはオーロラに特別な思い入れがあるらしく、しきりに空を見上げています。
「そんなに珍しいか?オーロラが」
ソルフィンからすれば、小さい頃から見慣れたオーロラ。
「闇夜に迷える旅人の、心を支える灯りであれ。オーロラの女神、アウロラしゃまの聖句でちよ」
「そうか」
ふと、ソルフィンが今までの過酷な人生を振り返ります。繰り返す暴力と怒りと絶望の中で、月の無い闇夜を照らすかのように自分の心を支え続けた「小さな灯り」とは、何だったのでしょう。
「ぶどうの豊かに実る地、ヴィンランドの伝説。それが俺のオーロラさ」
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