FF3女子旅【10】封印の洞窟
ファファファ…
今の俺様にはそんなもの通用しないわ。
増大した闇のチカラが、俺に味方しているのだ!
封印の洞窟、最深部にて。ヴィダル城や鉱山街カズスの人々を棒人間の姿に変えた呪いの元凶・ジンに遭遇したユッフィー姫たちは。事前情報の通りミスリルの指輪での封印を試みます。ちなみに、道中は楽なものでした。
ユッフィー姫は ゆびわをたかくかかげた!
しかし なにもおこらなかった!!
「効かなかったみたいですの!」
「姫様、ここは私が!」
どうしましょうかと、不安そうに仲間を見るユッフィー姫に。ヴィダル城の兵士イングズは思わず前に出て、愛しの姫をとっさにかばおうとします。
「アリサちゃん、どうしよう!」
マリスも、振り返ってアリサ様を見ていますが。
「ハッハッハ…おぬし、大人しく封印されなかったことを後悔するぞ」
どういうわけか、アリサは余裕の表情。何か秘策があるのでしょうか?
「わたしぃの出番ですねぇ!」
アリサからの目配せを受けて、我らがエルルちゃんが前に出ました!
「油で揚げたタマネギが好きぃ!ひとくちで獅子にもなれるぅ!」
そうです。ボスキャラにとっての悪夢ふたたび…!
「ひっ! ひでえぇぇぇ!!」
サクサクの揚げたまねぎをもぐもぐタイムして、ポパイのごとく超パワーアップしたエルルちゃんが。あっという間にひとりで、ジンをボコボコにしちゃいました。あわれ、冷気弱点を無視して素手でKOされるボス敵。
モンク4人パーティだと普通にありますね!
「そうでした! エルル様がいれば、怖いものなしですの♪」
「そだね〜♪」
思い出したように、ユッフィーがポンと手を打てば。マリスがどこかで聞いたような合いの手を入れました。ここまでわずか650字。
「さて、ヤツが弱ったところで。再び封印を試してみるのじゃ」
アリサ様の言葉に、うなずくユッフィー姫。ジンはこのまま、あっけなく再封印されてしまうのでしょうか?
「あなたの取るべき道は、ふたつありますの」
ところが。弱ったジンを前にして、ユッフィー姫は意外な言葉を口にしました。これは誰もが想定外。
「姫様…?」
「おぬし、何を?」
イングズやアリサ、エルルちゃんやマリス船長も一体何をしでかすのかと思いながら。ユッフィーの一挙手一投足に注目します。
「ひとつはこのまま、この洞窟に封印され、再び長い眠りにつくこと」
今回、ジンにチカラを与えたような闇のパワーの増大が今後また起こるかどうかは、誰にも分かりません。下手をすると、もう二度と無いかも。
「そしてもうひとつは、わたくしと契約を交わして召喚獣となる道です」
ふたつの選択肢を告げるユッフィー姫。あたりがしんと静まり返ります。
「ファファファ…こいつは傑作だ!」
戦うチカラなどないと思っていたお姫様からの、予想外の申し出。当然、こんな展開は元のFF3にありません。オリジナルです!
「ジンは魔法のランプや指輪に宿り、不思議なチカラで持ち主を助けるものでしょう?」
ユッフィー姫、どこでアラビアンナイトを知ったのでしょうか?
「いまの俺様には、それほどのチカラは残ってない。だからお前でも御することはできるだろう」
「チョコボより強ければ、いまは十分ですの」
封印を退けた闇のチカラはすっかり抜けてしまったと告げるジンに、また意外な言葉をかけるユッフィー。よほどふたつ目の召喚魔法を覚えたかったのでしょう。
「姫様、危険です! ジンを従えようなど」
「いや、わらわの身に宿した呪いと比べればさほどでもない」
愛しの姫を心配するイングズですが、今度はアリサが爆弾発言をします。
「はて、わらわはそんな危険な呪いにかかっておったのかの?」
「アリサちゃん、少し記憶が戻った?」
マリスの指摘に、アリサも合点がいったとうなずきます。
「不意に出てきた言葉じゃ。この状況が、記憶を刺激したのじゃろう」
「とゆ〜ことはぁ、ユッフィーちゃんナイス!」
おそらく、ユッフィーがジンを召喚獣にしようと考えなければ。アリサの失われた記憶の謎に一歩迫ることもできなかったでしょう。
「契約、成立ですわね」
「せいぜい、俺様に身体を乗っ取られないよう気をつけるんだな」
危うく洞窟に再封印されるところだったジンが、ユッフィー姫のミスリルの指輪を仮住まいとして宿っていきます。
『チェインパラドクス』(C)イーノ/sio/トミーウォーカー
ジンとの契約が結ばれた瞬間、ユッフィー姫の身体がパッと光ってまた、変身ヒロインのように髪色や衣装が変化しました。
「おおっ、ユッフィーちゃん!」
「カワイイね!」
「まとう気配が変わったの」
「姫様!?」
あっと驚く一同。指輪に宿ったジンから、声が聞こえます。
「その衣装は、俺様から新しい主人への贈り物だ。あと、本来の姿に戻しておいたぞ」
いったい、どういう意味でしょうか。どうやら、当の本人には心当たりがあるようです。
「ふふっ、可愛いですの」
「俺様までこの姿か…勘弁してほしいな」
手のひらサイズに小さくなったジンを見下ろし、微笑むユッフィー。果たして今後、どのような活躍を見せてくれるのでしょう。