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ガンダム・エアリアル(非接触式温度測定型)
ガンプラにハマって1年ほど経ちました。
今までは、作って塗装して撮影程度に済ませていましたが、
何か新しいことしたいなと思い、
ガンプラ × 電子工作に挑戦してみました。
第一弾は、ガンダム・エアリアル(非接触式温度測定型)です。
エアリアルの構える銃の先端に非接触式温度センサーを仕込み、
体内に配線を通し、回路を組んで、温度測定を行えるようにしました。
![](https://assets.st-note.com/img/1720523501013-N7VPj00Pz5.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1720523507192-Mxbpfib4E2.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1720523511472-8V08jL8Uf2.jpg?width=1200)
主に使用したもの
ガンダム・エアリアル(改修型)
非接触温度センサー(サーモパイル) 10TP583T
LCDキャラクターディスプレイモジュール(16×2行バックライト付)
2種ポリウレタン銅線 2UEW 0.16mm 100g
2回路入 入出力フルスイングオペアンプ NJM2732D
Raspberry Pi Pico ラズベリーパイピコ
非接触式温度測定器の作成
今回の工作の一番の肝は非接触式温度測定器の制作です。
あまり電子工作の経験が無く、中々手こずりました。
しかしいい勉強になったと思います。
今回使用した非接触式温度センサー「10TP583T」は、サーモパイルという素子を利用しています。
10TP583Tの使い方
10TP583Tは、内部に、「サーミスタ」と呼ばれる素子と、「サーモパイル」と呼ばれる素子を持っています。
サーミスタは接触式の温度センサーです。
10TP583T自身の温度を測定するために用意されています。
サーモパイルは非接触式の温度センサーです。
検出視野にある物体との温度差を計測できます。
つまり、10TP583Tは、2つの出力を行うセンサです。
サーミスタでセンサー自身の温度を取得し、
サーモパイルで検出視野にある物体と、センサー自身の温度差を取得し、
これらを組み合わせることで、検出視野にある物体の温度を算出します。
サーミスタの使い方
サーミスタは、温度によって抵抗値が変わる素子です。
抵抗値を測定することで、温度を算出できる仕組みになっています。
データシートを確認すると、
サーミスタ抵抗値(25℃でのゼロ負荷抵抗値)は100kΩ、
サーミスタB定数(25℃・85℃時のゼロ負荷抵抗値より算出)は3435K
となっています。
https://akizukidenshi.com/goodsaffix/10tp583t.pdf
サーミスタの抵抗値は以下のように算出されます
![](https://assets.st-note.com/img/1720524566363-Ao7HcPFxvd.png?width=1200)
ここで、
T、Ta: 絶対温度 (K)
R、Ra: T、Taにおけるゼロ負荷抵抗値 (Ω)
B :B定数 (K)
です。
今回用いているサーミスタは、25℃(298.15K)を基準に値が与えられていますので、
Ta = 298.15
Ra = 100k
また、B定数はそのまま
B = 3435
を利用します。
上記式をTについて解き、Rの式にします。
Rの値が分かれば、それを代入して、現在の温度が測定できます。
サーミスタの抵抗値を直接測定できる場合には、楽に済みますが、
大体の場合は抵抗値自体を測定する事はないでしょう。
基本的には、サーミスタは分圧回路とセットで用います。
サーミスタにかかっている電圧をRaspberryPi Picoで読み取り、
電圧値から、サーミスタの抵抗値を算出し、上記式より温度を算出するという流れです。
![](https://assets.st-note.com/img/1720525393474-T0tzIJXnTX.png)
入力電圧はPicoから3.3Vを供給、
測定電圧をPicoのADCに入力して計測。
基準抵抗は、サーミスタ抵抗値と同じ100kΩにするとよいと思います。
分圧の式より、サーミスタの抵抗値が計算できます。
10TP583Tは裏側から見たときに、4番ピンが他のピンと区別されてます。
サーミスタは、2,4ピン間に実装されてます。
サーモパイルの使い方
サーミスタは結構簡単に実装できますが、サーモパイルは中々曲者です。
10TP583Tのサーモパイルの出力値は以下のようになっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1720525704799-tz3ojC3nV3.png?width=1200)
対象物温度が行方向、センサ温度(サーミスタより算出)が列方向に書かれていて、それぞれの交点にサーモパイルの出力値がmV単位で記載されています。
サーモパイルは自身と測定対象との温度差によって、電圧を生じる素子です。
そのためデータシート記載の通り、電源が接続されているものと考えることが出来ます。
ただし、表を見る限りmV単位ということで相当小さい出力ですし、負の値を取ることもあります。
そのため、バイアス電圧をかけてあげて、出力値を読みとる必要があります。
ノイズ対策も必須です。
回路を組むにあたっては以下を参考にしました。
![](https://assets.st-note.com/img/1720526150969-XfWtot0Jvd.png)
R3,R4が分圧回路で、R4側の電圧をバイアスとしてサーモパイルに加えています。
-入力側にバイアス電圧
+入力側に(バイス電圧+サーモパイル出力)
で、その差分を1+(R2/R1)倍します。
また、画像記載の通りにローパスフィルターの働きをしてくれます。
適宜C1の値を調整して、高周波成分(ノイズと捉える範囲)をカットします。
あとは、オペアンプの出力値をPicoのADCで読み込んでテーブルデータを元に測定対象の温度を算出します。
自分の場合は、テーブルデータの値を元に、重回帰分析を行い、プログラムに書き込みました。
Picoプログラム(C++)
PicoはADC(ADコンバーター)を3つ実装しています。
今回は、サーミスタ用とサーモパイル用に2ピン使用しました。
実装はGithubに挙げました
ガンプラの制作
今回はどうしても、銃口にセンサを仕込みたかったので、ドリルビットで穴を開けて配線しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1720527293408-lhZ2V6MUYV.jpg?width=1200)
適宜配線のための改造を行っています。
銅線には以下を用いました。
今回使用したキットは小さく、その割に配線量は多い(4端子分で4本)ので、
なるべく細いものを用いるようにしました。
一見、銅線むき出しのように見えますが、ポリウレタンでコーティングされています。
はんだ付けの際の熱によってコーティングが溶けて、導通するようになります。
配線以外の改造ポイントは以下です。
![](https://assets.st-note.com/img/1720527561005-jUG3LX5PnT.jpg?width=1200)
アンテナをシャープ化しました。
というより、シャープ化を失敗し続け、アンテナが徐々に短くなっていったという方が正確かもしれません。
結局、可愛さの演出になって良かったかなと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1720527713050-TjuEXdZulb.jpg?width=1200)
脚の合わせ目は段落ちモールド化しました。
その他、ガンプラ制作に関する詳細・ガンプラ写真はビルダーズノートの方にアップします
また、Youtubeにも完成動画挙げました
ご覧いただけると幸いです。