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読書メモ「自治体の防災担当になったら読む本」

1.目次

1章 防災担当の仕事へようこそ
2章 防災担当の心構えと仕事術
3章 災害対策本部体制整備のポイント
4章 避難体制・避難所等の運営体制整備のポイント
5章 防災に関する計画策定のポイント(給水計画の策定事例)
6章 住民・議員対応のポイント
7章 マスコミ対応のポイント
8章 災害発生時の対応ポイント

2.読書メモ

1章 防災担当の仕事へようこそ
 1.防災担当の仕事と意義の特徴
  意義は住民の生命と身体、財産を災害から守ること。
  特徴は企画、管理、調整、訓練、イベントが同時並行的に実施。
  状況に応じた課題解決業務、業務の自由度が非常に高い。
 2.想定される災害
  地震、風水害、火災、その他災害ですね。
 3.災害対策のフェーズと主な業務
  災害予防対策(災害対策本部体制の整備、避難体制・避難所等運営体
  制の整備、各種計画の策定、住民への防災意識の普及啓発)、
  災害応急対策、災害復旧対策、災害復興対策
 4.防災の仕事の難しさ
  業務範囲の膨大さと奥深さ。判断の難しさと責任の重さ。想定の違い
  による混乱。感情論・極論・あるべき論が出やすい。自分だけは大丈
  夫という正常性バイアス。全庁調整業務の多さと他所属との防災意識
  の差。公助の限界と行政への依存
2章 防災担当の心構えと仕事術
 1.想像力を駆使する
  防災担当に最も重要な能力は想像力。現実的で納得性のある想定を作成 
 2.想定を合わせ同じ土俵で議論する
  想定の食い違いは人々の想像力で世界が描くために発生する。想定を合
  わせ同じ土俵で議論する。
 3.論理的に説明・説得する
  データや事実を活用して説明・説得する、説得材料となるデータを作り
  出す。不安を和らげ論理的に説明する。優先順位や制約を説明して説得
  する。代替手段を提案して説得する。NOと言える勇気を持つ。
 4.バランス感覚を持ち、流れを読む
  バランス感覚を持つ。世論や政治的な流れに留意する。
 5.最新情報に敏感になる
  想定外の災害と新たな課題の発生。情報収集を怠らず概ねの方向を考え
  ておく。
 6.優先順位を付けて対応する
  優先順位の基準を持つ。目の前の仕事にとらわれ過ぎない。
 7.交渉術を身に着ける
  民間企業等との協定締結の交渉。交渉術を身に付ける。
 8.防災を自分ごとにする
  庁内における意識の差。正常性バイアス・現状維持バイアスを超える。
3章 災害対策本部体制整備のポイント
 1.災害対策本部の概要
  災害対策本部を設置することにより平常時の体制から災害に対応した体
  制へ切り替え、全庁が一丸となって対応する。
  防災関係機関(消防署・消防団、警察、自衛隊、都道府県や国の災害対
  策本部、災害時相互応援協定締結自治体、協定締結企業・団体、ボラン
  ディア)
 2.活動スペースの確保
  活動スペースの確保の必要性と過去の教訓。各活動スペース内での配置
  の決定。
 3.情報収集・管理・伝達体制の整備
  情報収集すべき情報と収集の優先度の設定。情報の整理・共有方法の工
  夫。情報伝達の流れの決定と情報伝達員の指定。情報収集・伝達手段・
  体制の整備
 4.給電手段の確保
  多様な給電手段の確保の必要性。給電手段の確保状況の確認と改善方
  法。
 5.受援・応援体制の整備
  受援・応援体制の整備の必要性。受援・応援体制整備のポイント(発動
  要件、期間、体制、救助機関の受援方法、人的支援の受入方法、物的支
  援の受入方法、他自治体への応援体制、費用負担)。協定締結による受
  援体制の強化
 6.マニュアル・BCPの整備と改善
  災害時職員行動マニュアル作成。BCP作成。訓練の実施とマニュア
  ル・BCPの改善。
 7.災害対策本部訓練の実施
  災害対策本部訓練の手法(ロールプレイイング型・シナリオ・討論型)
 8.物資・資機材の備蓄
  必要な備蓄物資と必要量の検討。受援も含めて対応する。住民感情に配
  慮しながら必要性を見極める。
 9.その他の課題
  医療救護体制の整備。災害廃棄物処理体制の構築。
4章 避難体制・避難所等の運営体制整備のポイント
 1.地震時の避難体制
  避難方法と避難場所と避難所(避難所はあくまでも避難生活を送る場で
  あり、一時的に火災等を逃れる集団を形成するために避難する一時集合
  場所とは異なります。避難所開設・運営の流れ(開設準備、避難者の受
  入・誘導、災害対策本部への報告、各活動班の活動)。生活の質の向上
  に必要なもの(スフィア基準)
 2.風水害時の避難体制
  風水害の特徴と種別(土砂災害、洪水災害、浸水害、暴風、高潮、高波
  があり、この種別毎に避難場所も異なる)。土砂災害の特徴と避難方
  法。洪水災害の特徴と避難方法。浸水害の特徴と避難方法。暴風による
  災害の特徴と避難方法。高潮による災害の特徴と避難方法。風水害時に
  おける避難場所開設・運営体制の構築。
 3.要配慮者の避難
  要配慮者の避難体制の整備。避難行動要支援者名簿・個別避難計画等の
  作成。情報伝達手段の確保。
 4.帰宅困難者の避難
  帰宅困難者対策の必要性。帰宅困難者一時滞在施設の確保。
 5.ペットの避難
  災害時のペットをめぐるトラブル。ペットの飼い主への啓発。ペットの
  避難体制の整備。
 6.避難所等の感染症拡大防止策
  避難所等における感染症対策の必要性。地震時における避難所開設・運
  営体制の整備。避難スペースの拡充。避難所等内における感染拡大防止
  対策。日頃からの住民への啓発。
 7.避難所開設・運営訓練の実施
  避難所開設・運営訓練の必要性。避難所開設・運営訓練の実施方法(避
  難所までの避難経路の確認、避難所運営委員会の設置と班編成、避難者
  の受入、備蓄倉庫・物資の確認、居住エリアの整理、情報伝達、資機材
  の取り扱い、生活ルールの設置)
5章 防災に関する計画策定のポイント(給水計画の策定事例)
 1.現実的・妥当な想定をつくる
  策定が必要な計画(防災計画のバイブルは地域防災計画書)。現実的な
  想定の必要性。想定作成のイメージをつかむための事例(給水方針策定
  の目的、必要となる人数の確認、必要水量の確認、必要となる拠点数の
  確認)。想定を立てる上でのポイント(既存の想定を探す、根拠となり
  うる数値を探す、最大の被害の想定を使用する、現実的な想定を使用す
  る、過去の災害事例をもとに想像をめぐらす、ひとりで考え込まず皆で
  議論する)。
 2.想定に基づき対応策を考える
  対応策を作り方のイメージをつかむための事例。対応策を検討する上で
  のポイント(使えるものは何でも使う、協定締結等により資源を活用で  
  きる状態にする、時系列で対応の順序を考える、シミュレーション・訓
  練により計画の実行性のポイント(使えるものは何でも使う、協定締結
  等により資源を活用できる状態にする、時系列で対応の順序を考える、
  シミュレーション・訓練により計画の実行性を確認する)。 
 3.どこまで記載するかを考慮する
  想定の数値等をどこまで記載するか。どこまでの内容を記載するかを判
  断するための視点(その数値が今後変動する可能性があるか、妥当性が
  高い想定であるか、論理的で無理のない計画となっているか)。関係者
  と十分調整する。
6章 住民・議員対応のポイント
 1.住民の意識啓発の難しさ
  自助・共助の重要性。住民の意識啓発の難しさ。
 2.住民への意識啓発が必要な事項
  避難方法・避難場所等の啓発。在宅避難の啓発。食料・水・簡易トイレ
  等の備蓄の推進。耐震化・不燃化・家具転倒防止器具の設置促進。感震
  ブレーカーの設置促進。共助の啓発。
 3.住民の意識啓発の方法
  あらゆる媒体・機会を活用する。属性ごとに対応を考える。写真やデー
  タを駆使して危機感を伝える。意識啓発のタイミングを見逃さない。
 4.議員・議会対応の特徴
  担当者や係長も議会を意識する必要がある。防災は質問しやすい分野。
 5.委員会等の想定QAの作成方法
  防災における想定QAの特殊性。想定QAイメージ。論理的にデータを
  使って説得力を持たせる。どこまで答弁すべきかに注意する。
7章 マスコミ対応のポイント
 1.マスコミ対応の特徴とトラブル
  防災におけるマスコミ対応の特徴。どんな調査・取材があるか。マスコ
  ミ対応でよくあるトラブル。
 2.調査回答のポイント
  前提条件や想定を確認する。質問の意図・狙いを読み取り・聞き出す。
  解決困難な課題は事情を説明し理解を求める。数値を出す時は慎重に。
 3.マスコミとの連携による情報発信
  マスコミと上手に連携する。
8章 災害発生時の対応ポイント
 1.災害時に求められる能力
  災害の基礎知識と分析力。状況を把握・想定し、判断・行動できる能
  力。複数手段を組み合わせて対策を立案できる能力。メンタルタフネ
  ス。
 2.地震時の初動対応
  過去の地震時の課題。初動期の活動の流れ(職員の参集、避難誘導、災
  害対策本部の設置と態勢確保、被害情報の収集と避難情報の発令等、全
  庁の調整・指示)
 3.風水害時の対応
  風水害時における注意点。大型台風等・被害が予測できる場合の活動の
  流れ(気象情報の把握、被害の予測、避難場所等の開設の判断、人員の
  招集・各部局への指示、避難場所の開設・本部体制の確立、情報収集・
  避難情報の発令、災害発生時の対応)。ゲリラ豪雨等・突発的な豪雨時
  の活動の流れ(職員参集、気象情報の把握と被害の予測、避難場所の開
  設、情報収集・避難情報の発令)
 4.実災害に備えた心構え
  最悪の事態を想定して行動する。空振りを恐れない。想定とマニュアル
  にとらわれ過ぎない。使えるものは何でも使う。現場では個の力も求め
  られる。発災時のイメージを持ち判断能力を磨く。

3.まとめ

自治体の防災と言えば注目を集める業務ではありませんでしたが東日本大震災を契機に一変した。その背景にあるのは世界的に見ても日本は災害大国と言われるほど地震や風水害が多い地域になっている。
防災の仕事は他の業務と性質が異なる。業務範囲は非常に広く、深い。防災に関連する課題をいくら解決でも次から課題が出てくる。精神的にもタフな仕事である。
災害を想定し平常時の作業を進めるが人により想像力が異なるため思い描く災害のシーンが異なり、想定を合わせるのに労力が伴う。
防災知識よりも重要なのは、仕事の特徴とノウハウを知ったうえで実践を積み重ねることである。




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