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シニアになって働く意味を考える⑬ ~自分一人で完結して続けられる定年のない仕事を探す~

定年前後のシニアに「働く意味」についてインタビューした記事です。一人一人のインタビューを積み重ねて、「働く意味」のスペクトラムを描けたらいいかなぁって思っています。
その切り口を「働く理由の8区分」から考えます:カネ、自己実現、社会貢献、承認欲求、自立、地位獲得、他者との絆、その他(仕事があるという幸せ、色々な経験、不安の解消など)


仕事人生満足度曲線は「ふたこぶラクダ型」、2度の下降局面は勤め先の組織再編

Hさん(男性)は現在62歳。最初にいつもの仕事人生満足度曲線から披露します。

 逆W型と言うのか、ふたこぶラクダ型と言うのか、これまでインタビューしてきた方に多い形です。働き始めは生産技術職、全国・世界各地にある生産工場に新しい設備を導入・立ち上げるというとてもワクワクするような仕事です。経験と実績を積み上げていかれます。海外勤務では裁量権も増え、元々好きだった他人に教えることが仕事にもなり充実した(家族帯同の)海外勤務だったそうです。
 2度の下降局面は、やはり会社の組織再編(リストラってやつです)によるもの。当時の日本企業に属する方みなさんが経験されていると思います。(ボクもです)

下降局面から上昇トレンドに回復できた理由は?やったことはシンプルにふたつ

 仕事内容がガラリと変わった40代前半から急降下。ここから上昇気流に乗せた理由を聞きました。生産技術から開発技術という新分野への異動で、当然最初はできないことばかり。しかも周囲の誰もかまってくれず。(日本企業にありがちですね、首にならないことがある意味救いですが)
 ここでHさんが心がけたこと(ポリシー)はシンプルにふたつ。「できないことは受け入れて、自分で何かできることを探す」「他人に分かりやすく説明すること」
 とにかくこのふたつに集中していると、仕事で必要な知識をどんどん吸収していけたそうです。だた、人がやりたくない「地獄のような仕事」ももらってしまいキツイこともあったとか。そんな姿勢が職場での信頼を得るようになり、Hさんの開発業務が深く幅広くなっていきました。自分でつかんだ上昇局面です。

会社の都合にはどうしようもない、58歳で早期退職

 ところが52歳になって、また会社の新たなリストラが始まります。結果、単身赴任です。しばらくは上記のふたつのポリシーでがんばってこられましたが、58歳で早期退職を決断されます。
 退職後、ご家族(妻、娘さん二人)で海外赴任していた思い出の場所を訪れる。勤務していた工場は別の会社になっているの見て感傷的になったり、お子さんたちが通っていた学校を見学されたり。当時を振り返りながら今後のことをじっくり考えられました。

自分一人で完結して続けられる定年のない仕事を探す

 会社の都合で人生が左右されてきたことから、自分一人で完結して続けられる定年のない仕事を探されます。
 60歳になって再就職に成功。特定分野の技術に関する内容を調査し、お役所へ報告・提出する専門職に就かれました。これまでの幅の広い経験とふたつのポリシーが見事に結実した転職だったのではないでしょうか。
 とは言え、プライドの高いお役所の担当官へ、ロジックの通った分かりやすい説明を求められることは、相当な忍耐と苦労が必要です。高飛車な説明はご法度です。さらに、お役所への報告・提出の成功件数がカウントされて査定されるという厳しい現実もあるそうです。(楽な仕事はありません、、、ネ)

「オレ、何で働いてるの?の図」

 著者の勝手な指標で作った「オレ、何で働いてるの?の図」を作ってもらいました。Hさんのは、こんな感じです。

 Hさんの労働観は、自己実現と社会貢献のポイントが高い安定感のある八角形。
 どんな人にも丁寧に説明することで信頼関係を作っていって、それが自己実現につながっていく。とても示唆的でした。
 インタビュー後「これから先、(仕事人生満足度)曲線が上向くようにしていきたいです」とメールをいただきました。ありがとうございました。

後記:


 ボクも家族帯同で海外勤務経験があるのですが、帰任してから訪問したことがありません。退職したら訪れたくなりました。きっと新発見があるでしょうね。
 今回もいつもの町中華屋さんでのインタビュー。安くてうまい。次は誰をインタビューできるか楽しみです。

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