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シニアになって働く意味を考える⑱ ~58歳で転職成功、東京都で単身赴任~

定年前後のシニアに「働く意味」についてインタビューした記事です。一人一人のインタビューを積み重ねて、「働く意味」のスペクトラムを描けたらいいかなぁって思っています。
その切り口を「働く理由の8区分」から考えます:カネ、自己実現、社会貢献、承認欲求、自立、地位獲得、他者との絆、その他(仕事があるという幸せ、色々な経験、不安の解消など)


58歳で転職成功、地方を出て東京都で人生初の単身赴任


 Kさん(58歳2023年時点)は、58歳で転職に成功する。新卒以来ずっと西日本の地方都市で働き暮らしていたが、2023年9月から東京都で人生初の単身赴任生活が始まる。
 60歳を前にして転職することもチャレンジだが、暮らしたことのない東京で単身赴任を始めるって、どういう心境?という(誰もが聞いてしまう)質問の答えはこうでした。
 「自分自身に変化を求めていたし、達成感100%を目指し夢中になることを欲していました。結果はともかく、やり切ってみたい」
 どうして、そのような気持ちになって転職に至ったのか、その経緯をお聞きしました。仕事で悩まれている方に、Kさんの労働観のあり様は参考になるかもしれません。

事業集約・リストラがきっかで、汎用性のある専門知識を習得

 いつもの「仕事人生満足度曲線」を描いてもらいました。

 新卒後、あるIT製品の開発研究職で就業スタート。その製品がみごと量産化に成功し事業化され、そこの製品技術職として活躍。36歳まで仕事人生満足度は上昇トレンド。
 ITバブル崩壊により、その事業自体が集約方向へ、満足度急降下。そんな中、環境管理部門へ社内異動し、事業集約・整理の仕事に従事することにもなる。ここで工場の環境管理(排ガス・排水・廃棄物管理、環境マネジメントシステムなど)の専門知識を習得しながら満足度もやや上昇。その後の転職成功への伏線になる。

後のことを考える余裕もなく47歳で早期退職制度にエントリー

 47歳(2012年)時、事業集約もほぼ完了した頃、社内の他部門へ異動するか、早期退職制度に応募するかの選択に迫られる。社内の異動先はパワハラ部門長が仕切っていたこともあって、不安の中、早期退職制度に応募する。
 初めての転職活動であったが、会社が用意した再就職支援会社のサービスが利用できたこと、環境管理の専門知識があったことで、2か月の活動で再就職先が決まる。
 専門知識を活かせた新天地の仕事には満足するも、54歳頃から新たな葛藤に悩むことになる。

ワークライフバランスも悪くなく我慢できた職場だったけど…

 「この(一回目の転職した)会社はある大手企業の子会社で、2年毎に交代する幹部は、親会社の指示通りに運営するだけで、創造的な仕事が何もできなかった。良かれと思った提言は一切聞いてもらえなかった」
 「ワークライフバランスもよく、残業も少なく、趣味のマラソンも楽しめたんですが、このまま定年する、あるいは雇用延長で働くのが何となく不安でもありました」とKさんは言います。

58歳になって、せっかく得た安定を捨てて、新しい環境に自ら入っていくことに

 「このご時世、贅沢な悩み」って思う人もいるでしょう。しかし、Kさんは大切なご家族と持ち家を置いて、東京でのチャレンジが始まります。心よりご健闘を祈ります。
 この2回目の転職記については、後記に簡単にまとめていますので参考にして下さい。

「オレ、何で働いてるの?の図」

 著者の勝手な指標で作った「オレ、何で働いてるの?の図」を作ってもらいました。Kさんのは、こんな感じです。

 Kさんの労働観は、「承認欲求」と「他者との絆」に重きを置かれているように思います。社会から必要とされたい気持ちがモチベーションになるし、できることをしっかりやって貢献度を認められたいと言います。ここが、58歳からの挑戦の原動力なのでしょう。

後記:


 長く働くことが普通なってきた時代。50代、あるいは、それ以上の歳になってからの転職の成功の秘訣はなんでしょうか?Kさんに伺いました。その概要を以下にメモ的に書いておきます。

 転職支援サイトはメジャーなもの数社に登録。大手転職支援サイトに人材情報の利用契約している特定分野を得意とする転職支援会社からのオファーを待つ。つまり、Kさんの持つ専門知識(この場合は環境管理)を求めている企業を専門に扱う再就職支援会社があります。10社ほどの紹介に応募したが、面接に残ったのはこの成功した一社。活動期間は約半年。不満のある会社ではあるが働いていたので焦りはあまりなかった。

 やっぱり、専門知識を持っていることは強いですね。挑戦は無眼か。

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