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シニアになって働く意味を考える㉞~50歳で脱サラ独立、変化を楽しむ大胆さで74歳になっても新ビジネスを立上げ~

定年前後のシニアに「働くことの意味」についてインタビューした記事です。一人一人のインタビューを積み重ねて、「働くことの意味」のスペクトラムを描こうと思っています。目指すは100人インタビュー!今回は34人目です。


50歳で脱サラ独立、74歳になっても新ビジネスを立上げ

 Eさん(74歳、2024年9月現在)は、50歳で脱サラし不動産鑑定士として資産評価の会社を開業され、現在も取締役として一線で活躍中です。
 独立開業された理由、今なお新しいビジネスを立上げられているEさんの活力の源について伺ってみました。

入社同期性が100人もいたという金融機関で新社会人スタートだったが、、、

 日本経済の平均成長率が9%台の時代が終わる頃(1970年)に中堅金融機関Aへ入社。中堅と言っても入社同期生が100人もいたという規模で前途洋々の新社会人。
 入社早々からニクソン(ドル)ショック、その後は2度の石油ショックによる狂乱物価高騰、円高不況と続き、Eさんの金融機関Aでの仕事満足度は乱高下しながらも、経験と共に上昇していく。(こんな大変な時代を、今のシニアは経験してきたのですヨ)
 いつもの仕事人生満足度曲線をご覧ください。

会社は不良債権で破綻、大手に吸収合併され、子会社へ出向

 Eさんの属していた金融機関Aはバブル経済が始まる前から、強引な融資を膨らませ、不良債権が表面化し、バブル経済前に破綻し大手金融機関Bに吸収合併される。
 金融機関Aの元従業員は冷遇されたようで(どこでもありがちですかね?)、Eさんは35歳の時、担保評価を請け負う金融機関Bの子会社へ出向となる。

子会社への出向は結果的に吉!

 金融機関Aにいる時から、その経営のやり方に危なさを感じていたEさんは、将来のために不動産鑑定士の資格試験に挑戦していました。しかしながら、支店業務が超多忙で勉強時間が確保できず2回の不合格の末、関連会社出向中に4回目の挑戦で不動産鑑定士2次試験に合格、その後奇しくも大手金融機関Bに吸収合併直前に3次試験に合格し、その翌年登録されています。
 そして、子会社での仕事はまさしくその資格を100%活かせる資産評価でした!
 これ、ベストセラー本「ザ・シークレット」(ロンダ・バーン 著)の「引き寄せの法則」です!(このパターンは過去のインタビューで何度もでてきますね)

子会社で12年間、経験とノウハウを積み上げ仕事は安定するも、リストラが始まる

 90年代の金融ビッグバンから不良債権問題が表面化し、2000年ごろから大手金融機関の統廃合・再編が始まります。金融機関Bも(退職金2倍で!) 早期退職を募り始めました。
 不動産鑑定士の資格で着実に実績を積み上げ、仕事も安定し、顧客からも高い信頼を得てきたEさんですが、50歳でこの早期退職制度に応募し、思い切って独立開業します。「この子会社に所属し続けることもできましたが、将来性を考え独立を選びました」と。

50歳で独立開業、最初は後悔もしたが、丁寧な仕事で上昇に転じる

 不動産鑑定(資産評価会社)として独立するも、これまでの(子会社で付き合いのあった)顧客の仕事は当然引き継げない。ところが、Eさんの抜けた後を引き継いだ資産評価会社の仕事の質が悪く、運良く大口の仕事がEさんへ回ってくるようになる。Eさんの丁寧な仕事を顧客が正当に評価したこと、案件料金も低額であったことで、開業当初から売上が確保されることになりました。

変化の激しい業界で、次々と新しいビジネスを立上げ会社を25年間継続し現在に至る

 金融資産評価・不動産鑑定業界は(私のような素人が思ったほど)安定的でなく、変化が激しい。Eさんは、事業環境のタイミングを見計らって新しいサービスを次々と導入しながら、事業を継続させ現在に至る。
 不良債権処理評価、資産評価の自動化システム、不動産リース、相続鑑定セミナーなどで、売り上げの落ち込みをカバーしながら会社を経営してきたアイデアマンだ。

Eさんの働く意味は?74歳になってもまだまだ新しいことを試したい!その源泉は?

 Eさんの「働く意味」を見てみましょう。著者の勝手な指標で作った「オレ、何で働いてるの?の図」と「働くモチベーション」はこんな感じです。

 Eさんの「なぜ働いてるか?」の理由は、自立とその他(仕事すること自体が楽しい)です。「同じことばかりだと飽きるので、勉強して新しい仕事を見つけて挑戦してみるのが楽しい」と。
 現在も、固定資産税関係のZOOMを利用したセミナーなども考案中とのことです。
 充実・訓練志向が「働くモチベ地図」に表れていて、納得です。
 油絵、音楽やテニス歴も数十年、読んだ本(社会思想・現象関係)の内容を分かりやすい図解にして公開したり、毎月読書会にも参加するのがライフワークとなっているそうです。驚くべき趣味の多彩さが、新ビジネス創出に繋がっているのではないかと思いました。

仕事を引退する時の理由は?など質問してみたら

 引退するとしたらその理由は? 「仕事でミスが起こったり、健康面で問題がでるようになったら事業はたたむ」「10年前に前立腺がんになり完治はしていないが体調はいいので幸いしています」「後5年は資格登録するつもりです」とのことです。
完全リタイヤする前日に何を食べたい? 「うなぎ」
 最近あったいいことは? 「娘が新型コロナに感染し、その後遺症で不眠やうつ、慢性疲労症候群などの症状が出て働けなくなっていた。たまたま毎月視聴していたある健康セミナーで知った近所のクリニックの療法法で回復し、仕事に復帰できることになった。普段から、幅広く健康情報を集めていたのが役に立ちました。」だそうです。
 何事にも興味を持ち、そこから一歩進んで勉強してみる。Eさんの「本領発揮」です。

後記:


 ずっと金融・不動産業界におられたEさんは、独立して「大儲け」した人を多く見てこられました。自分はお金儲けの要領が悪く、「大儲け」とは無縁でした、と。
 大手に吸収合併された時も、不動産鑑定の大手にスカウトされるも子会社出向を選ぶ。その大手も一時は調子が良かったがその後倒産。子会社出向を後悔したこともあったが選択は間違いなかったと思えます、と。
 この業界はほんとに変化が激しく厳しいです。その変化を大胆にも楽しんでこられたと思います。
 Eさんのお父さんは代々の資産家で、紆余曲折後、うなぎ養殖事業で人に騙され資産を失ったそうです。だから「うなぎ」なのでしょうか?

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