シニアになって働く意味を考える⑧ ~60歳代ジイさん同士の世間話~
定年前後のシニアに「働く意味」についてインタビューした記事です。
一般的に、働く意味はおおざっぱに以下の2つにあると言われます。
1)自分の好きな仕事、やりがいのある仕事、社会的使命感のある仕事のために働く
2)家族のため、趣味や自分の余暇を充実させるために働く(お金が必要)
ところが実際シニアの方々にお話を聞くと、どうもそんな単純なものではないようです。そこで、シニア一人一人のインタビューを積み重ねて、「働く意味」のスペクトラムを描けたらいいかなぁって思っています。どんな平凡な人生にもドラマあり。
60歳でスパッと定年退職、延長再雇用なし、その理由は?
「働く意味」をテーマにしたインタビューなどと一切言わず、単なる60歳代ジイさんの世間話(お好み焼きを食いながら)を元に綴ってみました。
Hさん(男性)は、37年間勤めた会社を2022年3月に“スッパ”と60歳で定年退職。延長雇用制度は選ばず。いさぎよいなぁ~。
その理由は、社会人の娘さんお二人と彼の親御さんから退職をすすめられたから。なかなか珍しいパターン。その先の話を聞きたくなる。
退職後の家事は奥さんと分担制、料理が得意でもやり過ぎない
「飲食店でもやってみたら?」と、娘さんが言わしめるほど料理が得意なHさんは、定年後は奥さんと家事をきっちり分担制 (料理だったら作って片づけまで) にしている。そして、あまり自分がやり過ぎないように控えめにしているらしい。家事をやり過ぎると自分のやり方を押し付けることにもなり、奥さんのやり方を尊重しホドホドにやるそうだ。
(余談) ボクも家事をたまに行うことあるが(“たまに”って言うのが意識ひくぅ~)、「気を遣ってる感」を見破られたり、ついつい自分流でやって、かえって余分な手間をかける羽目になったりと、正直、家事の分担度合いは難しい。できることを「きっちり分担」して、”ホドホド“って言うのがコツか?(^^)
定年してもわりに忙しいんだ
自宅がHさんと奥さんの両実家のちょうど中間地点で、Hさんの実家は西方向に車で1時間弱、奥さんの方は東へ車で1時間弱の距離。両方の親御さんとも介護が必要と言うわけではないが、病院への送迎や日常の買い物などのために両実家を頻繁に車で往き来している。
さらに時間を見つけて短期アルバイトに行き、国営史跡公園整備の無償ボランティア活動にも精を出す。特に公園整備は斜面の木々を切ったりすることもある大変な作業だとか。
「定年してもわりにいそがしいんだ、ボクのイメージと違う」
37年間勤務、(日本企業アリアリの?)プレッシャーのかかる仕事も経験
1985年新卒入社後、産業機器製品等の設計開発のエンジニア及び管理職として従事。37年間勤務の最後の7年間は安定的継続生産が求められるある電子機器の製造生産維持が使命というプレッシャーのかかる(しかもできて当たり前とみなされる)仕事。
こういう仕事って、日本企業では個人の責任にされる傾向があると、ボクの個人的経験から感じています。
その最後の部署では、Hさんの抜けた人員の補充はないと聞いて、残った若手の仕事の負担が増えそうで心配しているという。(やっぱり、個人の責任に帰されているって勘ぐってしまう。本人は何も言及無しですけど)
定年してから分かるのか?「働く意味」
Hさんのお二人の娘さんとも20代で、それぞれ仕事を持った社会人。上の娘さんは実家から通勤、次女は実家の近くの賃貸に住んで都会へ通勤。Hさんが言うには「娘たちのハードワークを見ていると、仕事以外の生活のサポートはしてあげたい」と言い、お二人の娘さんもそれを知ってか、いい距離感で暮らされています。定年後は家事を奥さんといい塩梅にシェアし、両実家の生活援助に走り回り、自分のやりたいバイトやボランティアにも積極的に活動する。
ご家族から「お疲れ様、定年退職したら」って勧められた理由が分かるような気がします。「働く意味」は、このような定年退職の理由や定年後の過ごし方ににじみ出ているように思えます。なかなか味わい深いです。
後記:
この記事のリード文にあげた働く意味の2つの融合みたいなHさんの定年談。会社員37年間の重みか?そんなことを少しも出さず、元職場の若手や娘さんの仕事のこと、奥さんとの関係を気にかけている、参考になる所多し、です。
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