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シニアになって働く意味を考える㉛~仕事やり切りって定年退職、奇縁で新規就職で働きがいを得る~
定年前後のシニアに「働くことの意味」についてインタビューした記事です。一人一人のインタビューを積み重ねて、「働くことの意味」のスペクトラムを描こうと思っています。目指すは100人インタビュー!今回は31人目です。
昇進するも、人生満足度は長期ダラダラ下降
今回登場するTさんを紹介する前に、いきなりいつもの人生満足度曲線を見て下さい(下図↓)
これを見せてもらった瞬間、どうしても聞いてみたいことがありました。長期的ダラダラ下降の31歳から49歳までの約20年間。ずっと下降はキツそうです。
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部長に昇進したら環境が一変
Tさんが新卒で勤めた会社は、大手メーカーの地方工場。技術者として頭角を現し、技術力で生産性を飛躍的に向上させ、当時の「技術大国ニッポン」を支える。
40歳で部長に昇格、ここから試練が始まる。(このインタビューでもよく聞く、昇進したら満足度が下がるヤツ。Z世代の気持ちがわからんでもないなぁ)
円高不況です。今では信じられないかもしれませんが、1$が80円を切っていました。工場の海外移転が進み、国内工場は一層の合理化と高付加価値製品の開発をせまられ、できなければ閉鎖。日本の合理化とは投資資金なしで新製品を作るってことです。まだ、この段階では、キツくても知恵を絞ることはできたと言います。
しかし一層の「技術立国の地位低下」とリーマンショック。各大手メーカーは一斉にリストラに邁進していきます。
地方工場さえ閉鎖すればなんとかなるって思っていた大手メーカー本社
部門長として、人員の削減を実行することになります。労働組合との折衝、地方と本社間での人の移籍や住居移動、別会社への移籍を推薦、等々。ここに工場としての本業(稼働)ものしかかってくる。こんな状況が約10年弱続きます。
結局、この苦労は報われず、Tさんの工場はB社へ売却されることになります。いつか閉鎖されるのではないかと思っていたため、なぜだかホットとしたと言います。
地方工場の閉鎖だけでは当然不十分で、その後遅れて、本社の早期退職が何度も行われることになる。これが失われた20年(30年とも言う)の日本株式会社の実態です。
工場買収されて結果的に良かったのかも、やり切った!
TさんはB社傘下で、働いていた同じ工場の工場長(49歳時)として再スタートすることになります。開発投資も許され製品開発に取り組めるようになり、上昇モードへ。
さらに、グローバル企業C社に買収され、勤務地変更で新しい仕事も任される。仕事満足度は上がっていきます。55歳で古巣の工場へ戻った後も、仕事自体は充実していたが、60歳で定年退職を決意されます。
後半があまりにもキツかったせいか、それほどでもなかった前半も下降感
20年弱の長期下降局面で、後半があまりにもキツかったせいか、それほどでもなかった前半も下降感が残る。前半が何でジリジリ下がっていたのか思い当たらないと。ほぼトラウマか?
延長雇用を選ばず、定年退職を選んだのは、「やり切った感」のせいだと言います。会社員は、理不尽さを吞み込んで仕事をすることが多いのですが、定年というゴールがあるから我慢できるという面もあると思います。(その定年が65歳になり、70歳って言う声も聞こえてきます)
縁は異なもの味なもの(これ、男女間で使う言葉だそうですが)、新規採用へ
定年後、もう仕事はやらないと考えていたTさんですが、合縁奇縁(あいえんきえん)です。会社生活から自由になって気持ちにゆとりがでてきた時、「再就職するならハローワークなど行かず、産業雇用安定センター*で相談してみたらいい」と、昔の同僚からの一言を思い出したそうです。
センターに連絡してみると、A社時代の同僚が、たまたま就業紹介担当で、全くの異業種のD社を紹介される。異業種もいいかと勇気を持って面接にのぞむと、D社はTさんと同じ業界での新規参入を計画していたという全くの偶然で採用となる。
今、Tさんは技術者として、年下の営業とペアで新規事業開拓を推進している。これまでの経験をフルに活かせ、小さな組織で軋轢も少なく、(Tさんから見た)若手の営業スキルの高さに感心しながら、仕事をめいっぱい楽しんでいるそうです。縁は奇なるものです。
Tさんの働く意味は?
Tさんの「働く意味」を見てみましょう。著者の勝手な指標で作った「オレ、何で働いてるの?の図」と「働くモチベーション」はこんな感じです。
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![](https://assets.st-note.com/img/1720180829049-Xu8IPBOUVa.jpg?width=1200)
「なぜ働いてるか?の5大理由」がはっきりしていて気持ちがいい。①おカネは、ご自分の趣味(ゴルフとバイクなど)に自由に使うため。②自己実現、③承認欲求、④他者との絆は、定年後の就職先での働き方を映しているように思います。⑤その他は、仕事や働く場があるという幸せだそうです。
関係性・訓練・現実的志向が「働くモチベ地図」に表れていて、納得です。
仕事をやり切って定年され、今度は新規事業開発という新たな場所でチャレンジする。しかも年下の同僚にとっては、Tさんはメンター的な先輩と映るんではないでしょうか。理想的な定年後の働き方です。
後記:
仕事人生満足度の20年余りの下降局面が印象的で、これ聞くのちょっと怖いなぁ、って思いながらインタビューさせてもらいました。苦しい時期の状況やご自分のことを冷静に分析されていて、すごいなぁって思いました。
「働かないおじさん」的なWeb記事をよく見かけますが、誰が喜んでそんなの読んでるのか?今のおじさんは、みんな「修羅場(失われた20年)」をかいくぐった勇気あるツワモノです!
*産業雇用安定センターについて
出向・移籍による再就職のサポートを無料で行っている公的機関
https://www.sangyokoyo.or.jp/
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