7月消費アニメ感想集
先月書いた記事が下書きで寝ていたので放流。
ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン
2周目。熱い戦闘シーンを久々に見たくなったので。
SAOが「VRで強くてもリアルではそんな能力はない」ことに焦点を当てているのに対し、GGOでは「リアルの能力をVRに持ち込む」という描写を行っている。エムのシステムアシストに頼らない狙撃や、プロチームが訓練の一環で大会に参加しているのがそれである。SAOの世界観で、SAOが本筋ではやらなさそうな描写をしているところが、スピンオフとして素晴らしい。
また、SAOではリアルとアバターのデザインがかなり近かったが、GGOではギャップを出しまくっている。「体が大きいことがコンプレックスの女の子が、小さい女の子のアバターで理想の自分になる」のは良いなって思った。VRモノではやりつくされた描写ではあろうが、やはり夢があってワクワクする。ただ、ピトフーイについてはやりすぎなんじゃないか?
あと、レンやピトフーイの戦闘シーンのアニメーションが本当に気持ちいい。巻き戻して何度か再生しちゃった。
小林さんちのメイドラゴン(1期)
2周目。2期がやるので。
まじでかわいい。京アニ、女の子がどう動くとかわいいかをわかりすぎだろ。
また、人間を見下していたトールやファフニールがそれぞれの形、それぞれのペースで人間の良さに触れて理解していくのが良い。非人間と人間が関わる中で、それぞれが相対化されていくの好き。単に俺が亜人フェチというのもある。
役割とアイデンティティとの関係性も、種族の常識と個人の感性との線引き・折り合いとして可視化される。「ドラゴンが人間と生きるのはむずかしい」というドラゴン視点と「この刹那を小林と生きたい」というトール視点の衝突に悩む姿を、視聴者は人間の視点で、人間の常識・感性に照らして受け取る。同じ人間が思い悩んでいるのとは、また違った感想を抱くことができるし、自分や人間を相対化・客観視する契機にもなる。
あと、小林の声の使い分けがめっちゃ良い(CV. 田村睦心)。だらけたり声を荒げたり優しく語りかけたり。そしてカンナは常にかわいい(CV. 長縄まりあ)。
2期も見る。
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-
FGOが6章で盛り上がってて羨ましかったので(FGO未プレイ)。
魔術だの呪詛だのネチネチ屁理屈こねるのが厨二心をくすぐられて心地いい。YouTubeオススメに出てきたからチラ見した型月解説動画で聞いた言葉が出てきて面白かった。
ただ、ほとんどのキャラの背景がまともに説明されなかったのが残念。グレイは「サーヴァントっぽい助手」、スヴィンやフラットは「優秀だけど問題児な生徒」程度のふんわりした第一印象が大きく更新されることはなく、舞台装置としてのイメージが強かった。原作が大きく5編に分けられるうち、人気の高く映像化しやすい3編目をアニメ化したとのことだったので、深堀りする機会がないのは仕方ないのかもしれない。
また、「超常を扱う魔術師絡みの事件において『who done it』や『how done it』は考えてもしょうがない。『why done it』に唯一意味がある」という哲学は、魔術ミステリーならではで面白いと思った。しかし、そうはいってもジャンルがミステリーである以上、クライマックスの中心はwho・howが解き明かされるパートになる。ロード・エルメロイⅡ世の決めセリフのような扱いだったが、実践としてはきっかけ程度で、結局はwho・howに焦点が当たっているように感じた。地の文がある原作小説なら、whyから詰めていく思考過程がよく描写されているのかもしれない。
批評的になったが、戦闘シーンがそれほど多くない中で、型月のネチネチしててかっこいい世界観は味わえるのは他にない魅力だと思う。かなり満足。気持ち的には肯定9割否定1割くらいなんだけど、文章にすると否定パートだけ長くなってしまうのはよくない癖やね。
劇場版 メイドインアビス 深き魂の黎明
いつの間にかアマプラやdアニメの対象に入っていたので。原作既読。
とにかくボンドルドの非倫理性と紳士性の絶妙なバランスが素晴らしい。素晴らしいですよナナチ。アビスの神秘を探究したいという、探掘家なら誰もが持つ好奇心が彼の全てであり、あらゆる倫理はその下にある。子供たち一人一人を尊び、愛を注ぐ一方で、その命を探求のために消費することに躊躇はない。そんな度しがたいサイコパスをここまで描き上げたのはすごい。
7/29に原作マンガの新刊が出たし、来年には2期もあるらしい。楽しみ。