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正月遊びをすると目と脳が発達する

お正月は最高のビジョンケア・トレーニング月間です。

今日は、みなさんへのお年玉企画として、
正月遊びの中でも代表的な3つの遊び
凧揚げ・コマ回し・百人一首
を目と脳の発達の観点から解説してみたいと思います。



■凧揚げ[両眼視と未来思考

]

両眼視機能(両目→脳で見る能力)は、8歳位を目処にできあがります。


それまでにどのようなものを見てどんな環境で育ったかが、一生の両目と脳の使い方の土台になります。



両眼視は、単に両目をうまく使うだけでなく、その左右眼から入った

画像を脳の中でうまく1つの画像に処理する能力まで含みます。


両目という2つのカメラから入った映像を、脳の中で画像処理して立体映画のように見せてくれているのってすごい働きなんです!



凧揚げや笹の川流しのようなnear-farで知覚から遠くへものを追う目の動き(開散)は乳幼児・学童期の両眼視の自然な発達を促します。そのあとにfar-near遠くから近くへと目を寄せる動き(輻輳)能力が伸びだします。

特に6歳位は一般的にはnear-farとfar-nearの両方が伸びる時期ですので、ゲームとかスマホが多くなりがちなこの時期に凧揚げ遊びで使う目の動きはとても大切です。



それだけでなく、near-farで近くから遠くへと目を動かすのは
視覚心理的には、自分からはじまり社会、現在の積み重ねからの未来
、今目の前のことを未来への成果とつなげる未来志向や将来ビジョンの脳内イメージに関わります。

凧揚げは「将来を見通す」という目と脳の使い方の遊びなんです。


一年の計は元旦にありといい、新年の抱負を考える人も多いですが、ぜひ凧揚げをしたあとに話し合ったり考えたりしてみて下さい。




■コマ回し[バランス感覚と読み書き

能力]


今はコマを回せる子どもも少なくなっているのかもしれませんが、


コマを回すためには、絶妙なバランス能力(前庭感覚)と手首の

柔軟性が必要です。そして、手と目の協応性を使います。



コマを回すためには、体全体のバランスや腕の角度を操作しながら、
手首から指先まで柔軟に使って、スナップをきかせて紐を操る
必要があります。



そのために、お箸を持ったり、字を書いたりするために必要な

手首の柔らかさや指先の器用さ(微細能力)を伸ばしてくれます。



そしてコマを回すときにどんなことを難しそうにしているか、
頑張っているかを優しい気持ちで観察してみて下さい。



もし、視線方向のズレ(斜位)や首の使い方の頑張り感を持っている子は、コマを回すときに首を傾けている場合があるでしょう。

本を読むときなどに目で追うのが難しい場合には、
舌を出したり、口を歪ませたりしているかもしれません。



そういうときには、「正しい」やり方を教えてやらそうとするのではなく、自分も一緒にやって楽しんだり、少しハードルを下げたり、凧揚げのような少し大きな動き(粗大運動)を使う他の遊びをしてからやるといいと思います。



まだ自分でコマ回しをするのが難しいお子さんの場合には
コマが回っている様子を見ているだけでもバランス感覚を養います。



この場合のバランス感覚というのは、平均台を渡るようなバランス感覚から、目や身体をバランスよく使う能力から、人生のバランスまでを含みます。



■百人一首[音とリズムから始まるコミュニケーション能力

]

言語の理解を可能にするのは

【目】文字を見る→【耳】音にする→【耳と目】意味に結びつける


というふうに目と耳つまり視覚と聴覚のチームワークです。

例えば、「たんぼ」と読んだときに私達は

「たんぼ」と文字を把握し、

「たんぼ」という音に置き換え

「たんぼ」という光景を脳内でイメージするわけです。

こういう目と耳のチームワークを、実際にはもっとお複雑な形で

瞬時に行っている延長が「コミュニケーション能力」です。

百人一首という遊びは、まさにこのような文字の音韻能力を

総動員し、早さを養うために最適な遊びの一つですね。

しかも、百人一首という日本語の古文の音の響きやリズムというのが

将来の国語力の源になります。

言葉やコミュニケーションというのは

【左脳にある言語機能】【右脳にある響きやリズム機能】

の統合です。

傾聴力ともいわれる人の話を聞く能力は、

言葉の内容の意味としての理解だけでなく、

言葉の響き、ニュアンス、トーンの感受性です。

コミュニケーションの向上につながる「耳で見る」という遊び。

百人一首は、短期記憶や空間認知の目の使い方だけではなくて、

耳が育つことで、心が伸びることにもつながるすごい遊びですね。

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