イエナプラン教育の世界に足を踏み入れた話【後編】豊かに生きるスキルを育むSEE-Learningとは
こんにちは。
「あなたはあなたでいいのだ」と認められる世界を目指し、静岡県島田市で学童保育設立準備中の田中です。
前編に引き続いて、2023年8月20日に開催された『日本イエナプラン教育協会全国大会in大日向中学校』の参加レポートをまとめたいと思います。
基調講演の後は、近場の席の方との交流タイム&ランチタイムを挟んで、分科会が2部開催されました。
分科会1部
イエナプラン初心者の私だったので、1部ではBのイエナプラン基礎講座に参加しました。会場は大日向中学校のクラスルームで。無垢材がふんだんに使われた気持ちのいい施設で、自然と心と身体が整う感覚がしました。
『豊か』
この言葉がしっくりくる場でした。
分科会2部
これから作る学童では、SEL(social Emotional Learning)教育をベースにして運営していこうと考えています。そのため、第2部では「D.大日向小学校でのSEE-Learningの実践 目指すビジョンと実際」に参加しました。
SEL教育とは
認知能力とはIQなどのようなテストで測れる知能的な能力を指すのに対し、非認知能力は知能的な能力以外の、人生を豊かにするための能力を広く指すといわれます。非認知能力には、ものごとを最後までやり抜く力や、目標や意欲をもって行動する力、自制する力、仲間と協力する協調性やコミュニケーション力などが挙げられます。
それらを引き出すには「子どもたちの自己決定」を尊重し、大切に扱う必要があります。そのためには、周りの大人がそれをサポートできる環境や体制を準備し、心構えにおいても整える必要があります。
また、SEL教育を実践することで下記の力が身につくとされています。
自己認識と自己規律
他者への気づきと対人関係
責任ある意思決定
その結果、子どもたちは将来どうなるのか。
学力が向上
収入が高く、よい仕事についた
健康である
幸せを感じている
積極的で行動的
自分の属しているコミュニティに貢献しようとする
という研究結果が発表されています。
私は個人的に、「先取学習」は本人が望みたい場合は別として、学力を底上げするのにあまり効果はないのではないかと思っています。
例えば、「大谷翔平のような野球選手になりたい!」というような具体的な目標や夢に出会うことで、「じゃあ、そのためには投球練習も打撃練習もしなきゃいけないし、ルールや戦術を理解するために勉強、仲間とのコミュニケーションのために語学力・・・やっぱり必要だよね。」と、目的(ゴール)と手段について考えることさえできれば、あとはもうやるだけです。
下記は有名な大谷翔平選手の目標達成シート。
そう考えると、様々なことを経験して知識にできる環境、そして自己を知る(何が好きで何が嫌いか)機会を提供することが、結果的に学力向上に繋がるのではないでしょうか。まとめると、
多くの経験と出会い
自己決定できる環境
自己が肯定される環境
冒険(チャレンジ)の機会
をとにかくたくさん作ることが大切かなと。私は現時点ではそう考えています。
SEE‐Larningとは
本題に戻りますが、そのSELの要素に『ethcal』(エシカル:倫理的な)』を加えた学びがSEE-Larningとなります。エシカル消費、ESG投資、などのワードもだいぶなじみのあるものになってきました。
参加者の方はSEE-Larningについて「SELをアップデートしたやつ」と言っていて、とても分かりやすかったです。
「SEE-Larning」をgoogle検索をしても現時点(2023.9.9)ではジャストフィットした記事に一発でアクセスできません。それだけ最先端で、日本ではまだまだ芽吹いたばかりの教育になります。
この記事がとても参考になります!
大日向小学校での実践
導入のきっかけは「自由を尊重する校風の中で、子どもたちが不自由なように見えた」ことがきっかけだったそうです。
自律と共生のために、対話を重視するイエナプラン教育ですが、その対話の方法については具体的なメソッドがなく、どんな対話がよいのかを突き詰めて探していた時に見つけたのがSEE‐larningだった、と。
SEE-Larningは週に1回、1学期中には11回実施したとのことでした。
紹介された活動事例は下記になります。
教室のグランドルールを作る
最近よくできたこと、うまくいったことについて掘り下げる
興奮したり怒りの感情がいっぱいになってしまった時などに”落ち着く”ためのアイテムをカードに書き、宝箱に入れる
実践してみた実感として、「Larning Experienceを重ねるほど、子どもたちは思考の枠組みを進化させながら、新しい目で世界を見るようになっていった」という言葉が印象的でした。
また、SEE-larningを実践する上で重要なこととして、『そばにいる大人がSEE-larningを実践すること』が非常に大切、とのことでした。
大日向小学校・中学校では、教員同士も「ノンジャッジメンタル」の姿勢で働いている。それは簡単なようで、文化を作るには大変な苦労もあったはず。「ジャッジ」を手放すことで、きっと新しい教育の世界が作れたのではないでしょうか。
私が持ち帰ったもの
日本イエナプラン教育全国大会に参加して、私が持ち帰ったものは・・・
環境って大事!
評価を手放す(ノンジャッジメンタル)
自由が自律を育てる
心の教育(SEL教育やSEE‐Larning)はウェルビーイングな生き方に導いてくれる、ひとつの手段
こんなところでしょうか。
新しい世界に足を踏み入れるって、ちょっと怖いけど楽しかったです。大人になると、防衛本能が先に働いて、全然冒険できなくなっています。きっと幼いころはそうでなかったはず。
「思考」を手放し、「感情」にフォーカスして「自分の心が叫んでいるニーズ(願い)」に気づける、そんな機会を「大人」にも作っていく必要があるのかもしれない。
ではまた!
おすすめのアプリ
Self-aweaness(自分の感情の状態を正しく把握でき、同時にそれが他人にどのような影響を与えているかを十分認識できること)を高めるのに、すごくいいですよ~!