心にも休憩が必要
1年くらい前からお隣の敷地で戸建て住宅の建て替え工事が続いています。
こちらの方が少し高台なので、窓からその様子がよく見え、毎日少しずつ家ができていく様子を眺めるのがいつしか日課であり、楽しみにもなりました。
建築現場では、毎日いろいろな音が大きく鳴り響いています。
木槌でたたく音、コンクリを流す音、パンパンと釘を打ち付ける音・・。
これらの音を耳にしながら、ひとりパソコンに向かって作業をしたり、本を読んだりしていると、その音がやたらと気になるとき時と、さほど気にならない時があることに気づきます。
気になる時は、目の前のことへの集中がしづらく、気持ちがのっていないのだと判断して、他のことをしたり、休憩をとったりします。
このように建築現場から出る音と付き合う方法を見出してきました。
その建築現場から出る音がピタッとやむ時間帯があります。
それは、10時と12時と15時です。
時間を忘れて何かをしていても「あっ、もうそんな時間か」と、時計の代わりになるくらい正確です。
建築現場で働く方達は、決まった時間に必ず休憩をとる習慣があるそうです。命の危険を伴う仕事なので、休憩をとることは、集中力維持と体調管理のために必須なのです。大工さんたちの休憩の風景を眺めていると、なごやかにおしゃべりをしてコミュニケーションをとったり、水分や栄養補給をしたり、仮眠をとったりして、体と心のメンテナンスをされているようです。
このこまめに休憩を取り入れたメリハリのある仕事の仕方は、肉体労働以外の仕事でも大事なことだと思います。
みんなが出社していた頃は、通勤時間、ランチタイム、トイレ休憩、定時から残業時間へ、などといった区切りがあり、そのたびに体も脳も違うモードに切り替えることができていました。しかし、リモートワークで自宅で仕事をしていると、休憩を取らずに仕事をしていても誰も気にかけてくれません。通勤時間も必要ないし、何時でも仕事ができてしまうので、たくさん時間があるような錯覚をもちます。その結果、昼間に集中できなくなったり、疲れていてもダラダラと仕事を続けたりして、プライベートの時間が犠牲になりがちです。
「リモートワークは会社に行かなくていいので楽だ」と思っていた人も、
「在宅勤務でもすぐに応答しないと、さぼっていると思われないか心配で気が抜けない」
「オンラインで常時監視されているような気になる」
と感じて逆に休憩をとりづらくなったり、
出社していることでの”仕事をしています”アピールができなくなり
「見える仕事の成果を出さないといけなくて、プレッシャーがかかる」
といった声も多く聴くようになりました。
職場で誰かがいれば、雑談をしたり、相談をしたりしながらすすめられたことも、メールやチャットの文字だけの味気ないやりとりや、顔を出さないビデオ通話だけでは、人間的なぬくもりからの癒しが得られせん。
また、人と人とのふれ合いで得られる“自分は相手に受けいれられている”という心理的安心感もうすれていきます。
このように、体の休憩も、心の休憩もできないまま、気がつかないうちに自分を酷使してしまいがちです。
感染の不安に加えて、慣れないライフスタイルへの移行は、誰にとっても大きなストレスです。
「自分だけではないから」「もっとたいへんな人たちもいるから」などと自分の疲れやストレスを軽くみがちですが、自分のちょっとした感覚や気持ちに正直になることが大事です。
疲れているときに「あー疲れた」
つらく、苦しいときに「あー、つらい」
嫌なこと、嫌な人に対して「嫌だ!もうたくさんだ!」
不安で怖いときに「・・・が怖い」
などと、自分で自分の気持ちを認めたり、安全に話ができる誰かと話をするだけで、状況は変わらなくても気持ちが少し軽くなるものです。
人とふれあったり、自然や、動物や、植物にふれることでも疲れが軽くなります。
心身ともに必要な休憩をとりながら、このストレスフルな時を乗り越えていきましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?