九十九里トライアスロン備忘録
2024年10月6日日曜日
ミドルディスタンス
8時スタート
ついにこの日が来た。
3年前バイクフィニッシュでリタイアしてしまったレース。
当時、初めてのミドルへの挑戦。
雨、低気温と条件も悪かったが、なにより私の取り組む姿勢が悪かった。
大した練習もせず、1週間前にウエットを着てみたら「く、苦しいけどなんとか着れた」とかいうレベルだった。
スイム1.9km
バイク90km
を終えて全く身体が動かなくなり、雨の中トランジッションの芝生の上で膝をつき両手で天を仰いだ。
『ショーシャンクの空に』のパッケージ写真状態。
大きな反省を経て、トレーニングをしてきた。
リベンジとよく言うが、リベンジは「復讐」という意味であり、勝手に実力不足でリタイアした私にレース側は復讐されるいわれはない。
あくまでリトライだ。
前日、22時に就寝。
午前3時30分に起床し5時ホテルを出発。
予定より少し遅れて6時10分会場着。
落ち着いて準備を進めて、
8時15分第2グループでスイムスタート。
500mまではもみくちゃ。
いつものことなので慌てない。
徐々にバラけて順調に折り返し、1.9kmをゴール。
落ち着いて補給して、バイクスタート。
90km約3時間のライド。
九十九里トライアスロンの特長で普段は走れない高速道路を走ることができる。
ほとんどフラットで気持ちがいい。
補給食も計画通り。
スタート 塩ジェルとエネもち半分
45分おきに羊羹とエネもち交互。
パラチノース1Lほぼ完飲。
で、かなり余裕をもってバイクフィニッシュすることができた。
さてここからが問題のランパート。
これで一応、3年前の自分は超えたわけだが、ランが本当に苦手な私にとって、この状態からの21kmは試練でしかない。
マラソンなど長距離を走ったことがある人は分かるだろうが、苦しくなってからのランは、とにかく心の葛藤がすごい。
(無理しなくていいんじゃない?)
(痛い、辛い、我慢せずに歩かない?)
自分が自分にささやいてくる。
だから私が今回、心に決めていたのは、
・何があっても動じない
・1km7分でコツコツ、絶対に歩かない
この2点。
15kmまでは順調だった。
しかし、フィニッシュ会場を横目にみながら、ああ!もう少しでゴールだ!のテンションになってからの、ゴールから遠ざかるのこり7kmのコース設計。
悪魔すぎる。
動じないと決めていたが動じた。
大いに動じた。
急に脳内に、
・苦しい
・辛い
・トライスーツが擦れて脇の下が擦り切れて痛い
・足がもう重たい
・もう歩きたい
・いや、歩いてもええやろ
こんな独り言が止まらなくなった。
その時だった。
空を見上げると、なぜか先輩経営者の顔が浮かんだ。
セキュリティスタッフ株式会社の梅本和希社長。
「心を燃やす、心を動かす」という人生理念の通り、人材再生を目的に警備会社を営んでいる。
ちなみに「心を燃やす」鬼滅の刃の煉獄さんよりも梅本氏の方が早く言っていた。
敬意を持って「アニキ」と呼ばせていただいている彼は、経営者兼ボディビルダーである。とにかくストイックで、当たり前の基準が高く、いつも私を叱咤激励してくれる。
高い志に、クレバーな頭脳、さらに鍛えられた肉体を持ち、深い愛を持ち合わせている非常に稀有な男だ。
私の中ではいつも勝手に、グラップラー刃牙の範馬勇次郎と重ね合わせている。
ちなみにグラップラー刃牙は女性社員が会社で例え話に使われた瞬間に興味を失うランキング第2位である。一位は魁!!男塾(福永調べ)
閑話休題。
空から範馬勇次郎、いや梅本先輩が降りてきてこう言った。
「さっきから、不平、不満、愚痴しか出てないよ」
「心を殺せ、脂肪を燃やせ」
(え?心を燃やせ、心を動かせじゃなくて?)
「ええ、今は辛いだのきついだの感じずに心を殺しなさい、そして脂肪を燃やすのです。淡々とやるのです。淡々と。」
キレると鬼神のごとく形相になる先輩がまるで菩薩のような表情で怖いことを言ってくる。
正直一番怖い。
私は、心の中で(ハイっ!)とめちゃ元気な返事をして走り始めた。
何が恐ろしいって、これが私1人でやっている脳内妄想だということ。
限界を超えると幻影も幻聴も起きるらしい。
しかし、これはプラスに働いた。
「心を殺せ、脂肪を燃やせ」
「心を殺せ、脂肪を燃やせ」
ぶつぶつ言いながらラスト1km。
最後のエイドで水分補給と屈伸3回。
盛り上がるフィニッシュ会場へ向かう。
本当に不思議だが、ラストはいつもなぜか足が軽くなる。
昨年の田原ハーフアイアンマンに続き、2回目のミドルレースとなったが、自分でも納得のゴールができた。
自らのリソースとペース配分。
明らかになったのは、まだまだ伸び代だらけということ。
妄想の先輩の助けがなくともゴールできるよう。
アイアンマン完走に向けて、コツコツトレーニングを積んでいきます。
長文に最後までお付き合いいただきありがとうございました!