青春18きっぷ 2024冬③ 総括
前日の様子は以下のとおり。
境港の街と朝の水木しげるロード
2024年12月30日(月)
境港から粟野まで帰るためには、遅くとも境港を10:27に出る列車には乗らなくてはならない。境港観光に使える時間はさほどないため、朝食の時間を朝イチの6時半にしてもらった。美しい朝焼けを見ながら朝食を摂るが、雨が降りそうだなと思う。
朝食を終え部屋に戻りシャワーを浴びて着替えて荷物を片付けてチェックアウト。ホテル前で自転車を組み立てて国道431号を海沿いに北へ走る。途中で雨が降ってくる。
境水道大橋という大きくて立派な橋を眺める。雨が強くなってきたので退散する。釣り人たちは雨に負けずに釣りをしている。
ちなみに境港には「ベタ踏み坂」の通称で知られる江島大橋もあるが、あんなもん折りたたみ自転車では越えられないのでやめておいた。
水木しげるロードに戻り、ブロンズ像を眺める。朝早くて雨が降っているのに、歩いている観光客が多い。とくにすることもないので、駅近くの喫茶店でコーヒーを飲んでやり過ごす。
JR境線
10時過ぎに境港駅に到着。自転車をたたんで車体を拭き輪行袋にしまう。現れた列車はこなきじじい列車かと思いきや、一両目は砂かけばばあ列車で二両目がこなきじじい列車という贅沢編成だ。外観はもちろんのこと内装、天井、シートのファブリックまで徹底している。返す返すもこれはすごいな。
米子行普通列車は予定通り10:27に出発。さらば境港。
米子→粟野
砂かけばばあ列車は11:11に米子に到着。次に乗るのは11:20発倉吉行普通列車だ。そしてまたしても登場した名探偵コナン列車が僕を落胆させる。僕は隣の黄色い国鉄車両に乗りたかったよ…しかしながら途中の由良という駅で、この車両がやたら観光客に取り囲まれて写真を撮られていた。人気あるんだなぁと驚く。でもこの写真を撮っていた観光客たちは誰も乗車しなかった。そういえばこの由良という駅、往路でもやたら若い女性が多いことを思い出した。
コナン号は倉吉に12:26に到着予定だったが5分ほど遅れる。もともとの乗継時間が6分ほどしか想定されておらず、その上遅れているので乗り換えを急かされる。飲食物の調達に失敗し、鳥取行普通列車は12:40頃出発する。今度の列車は名探偵コナンではなかった。
遅れをそのまま引きずって、鳥取に13:25頃到着。次の豊岡行普通列車は13:33発だ。乗継時間にまったく余裕がないがお昼時でありそろそろお腹も減ってきたし何より酒が飲みたい。豊岡までの乗車時間は実に2時間19分であり、これを逃すと車内でひもじい思いをすることは必至である。猛ダッシュで駅構内のセブンイレブンに向かい、ビールとハイボールと炙り鯖ジャーキーと炙りほたるいかとたまごサンドを引っ掴んでレジに向かう。前に並んでいる日本語のできない外国人観光客と、なんだかよくわからない決済手段でコーヒーを飲もうとしている日本人観光客のせいでいらいらしながら待つ。「お次にお待ちの方こちらへどうぞ〜」という声とともに新たなレジが開かれる。なんとか支払いを済ませ、あわてて列車に戻る。発車1分前であった。あぶねぇ。
鳥取を発車して少し落ち着いてカシャプシュ。ビールと鯖ジャーキーに歓喜する。しかしながらビールはあっという間になくなってしまい、もっと買えばよかったと後悔しながらハイボールに手を伸ばす。鯖ジャーキーは途中でなくなり炙りほたるいかに移行する。両方とも酒によく合い旨かった。もっと買えばよかった。
その後雪景色や余部鉄橋からの景色を楽しみながら酒を飲んだと言いたいところだが、残念ながら少なくとも余部鉄橋に差し掛かる頃には酒もつまみもなくなっていた。もっと買えばよかった。
豊岡には予定通り15:52到着。次の福知山行普通列車は16:21発であり多少余裕がある。豊岡はそこそこ大きい駅なのにもかかわらず構内に売店等がなかった。たまごサンドを食べてもなお空腹だった僕は、改札を出て(青春18きっぷの強みだ)交差点の向かいにあったスーパーでソバボーロとお茶を買った。
ソバボーロをぼりぼりと食べていると17:31に福知山に到着。次の東舞鶴行普通列車は17:39発車で待ち時間は10分足らず。おとなしく車内で待つことにした。車外はもう暗く、本を読んだりうとうとしたりしていると18:26に東舞鶴に到着。身近な地名が出てくると帰ってきた感がして一気につまらなくなる。
「帰ってきた感」と言ってはみたものの、この旅の最後に乗るこの小浜線の列車は東舞鶴を18:59に出て、粟野に着くのはなんと21:13。実に乗車時間は2時間14分である。舞鶴から敦賀まで、車ならせいぜい1時間ちょっと(舞鶴若狭道を使って)だ。ちなみに本旅程往路の当該区間の乗車時間は1時間47分である。これは小浜線ちょっと時間かかりすぎではないか。そりゃ乗る人もだんだん減るよ…と残念な感想をもった。
往路で壊れていた東舞鶴駅セブンイレブンのコーヒーマシンは修理が完了しており、僕はコーヒーを購入した。待合室でのんびりコーヒーを飲み、ホームに上がって入線してきた小浜線の列車を見た。前面後面の見た目は普通だが、側面のラッピングが不思議な柄だった。二両目のそれが鯖であることには思い至ったのだが、一両目の不思議な柄が何なのかが分からない。その柄が分からない方の一両目に乗り込み(この列車はワンマン運転であり、粟野駅はバリバリの無人駅なので運転士のいる一両目しか扉が開かないのだ)、阿房列車最後の列車が出発した。外は真っ暗なので、本を読んだり、この旅で撮った写真を見るなどして過ごす。
小浜に19:45頃到着。20:17発車予定との衝撃のアナウンスが流れる。列車交換でもないのになんでそんなに待ち時間が…?何度か来たことのある駅であり、売店等がないのは承知の上で一度改札を出てみる。やはり売店はないが、代わりに自習スペースのようなものができていて、高校生とおぼしき若者たちが勉強している。へぇこんなのができたのかと感心した。列車の本数が少ないので、ここで勉強して列車が来るまでに時間を過ごすのだろう。それ以外にとくに見るものとてなく、仕方なく列車に戻る。
そこからはただひたすら待ちの時間を過ごし、列車が動き出して、予定通り21:13に最寄駅の粟野に帰着。敦賀へ向かって出発する列車を見送りながら、あの不思議な柄はふぐだったのではないかと気がついた。
なお、今回の青春18きっぷ的収支についてはプラス5,820円となった。
【支出】
・青春18きっぷ 3日間 10,000円
【乗車区間の正規料金】
・12/28
近江塩津→京都 1,340円
京都→近江塩津 1,340円
・12/29
粟野→中浜 6,380円
高松町→境港 190円
境港→高松町 190円
・12/30
境港→粟野 6,380円
(合計) 15,820円
仕様変更後の青春18きっぷ 総括
さて、仕様変更後の青春18きっぷの使い勝手について述べたい。
冒頭で述べたとおり今回は3日間用の青春18きっぷを購入した。冬休みは夏休みほど長くなく、我々社会人にとっての冬休みはさらに短い(今回はたまたま9連休となったが)。「任意の」5日間でなくなったことで旅の自由度は下がったかもしれないが、短い冬休みではそもそも5回分を使いきれるかどうかも怪しい。そういった意味では連続期間であっても3日間用が出たのは(少なくとも僕にとっては)有意義であったと言える。
(残った回数を金券ショップ等に売るのではなく、あくまで「使い切る」ことを前提とした議論であることはご承知願いたい。やはり青春18きっぷの転売はJRの意図するところではないと思うのだ。)
青春18きっぷが自動改札機に対応するようになった点について。
青春18きっぷの大きな強みに、途中下車が自由だというところがある(だって乗り放題だから)。したがって普通にJRを利用するよりも改札を通る機会が多くなる。昨夏までの青春18きっぷは自動改札非対応であったため、駅員さんのいる改札(改札口の、だいたいどちらかの端っこ)を通らなければならなかった。最近の有人改札は、乗り越しなどの手続きを待つ人、日本語があまり得意でないインバウンド観光客、普段鉄道を利用する機会が少なくて慣れていない人、高齢者などで長蛇の列をなしていることが多い。そしてこの長蛇の列にきっぷを見せるためだけに加わらなければならず、多少なりともげっそりすることが多いのだ。それを自動改札が使えるようになったというのは結構大きなメリットなのではないかと思う。
そう思っていたのだが、今回の青春18きっぷで訪れた駅のうち、自動改札を備えた駅は残念ながら京都駅だけであった(もちろん京都駅では有人改札が長蛇の列なので、自動改札でストレスなく通過できた)。鳥取駅は大きな駅なのだが、自動改札がないのには驚いた。そんなわけでこの点に関しては、この旅ではあまりメリットを感じられなかったが、これはたまたま日本海側にはそういう駅が多かったというだけの話だろう。
複数人での利用ができなくなった点については、僕はぼっちのオッサンなので関係ないし、きっと今後も無関係だろう。
やはり[任意→連続]の変更については、旅の自由度が下がったという点において反対の声が大きい。僕にとっては、JRとて一営利企業なのでありその営利企業が売り出す商品に「反対の声を上げる」こと自体が理解不能(嫌なら青春18きっぷを買わなければいいだけの話だ)なのだがそれはともかくとして、この変更点について、それだけを理由に青春18きっぷの購入をやめることはないというのが僕の結論である。[日帰り旅行+1泊2日旅行]という使い方、おすすめしますぜ。