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黒部峡谷鉄道輪行
2021年10月の22日から24日にかけて富山県に出かけている。宇奈月温泉から欅平まで黒部峡谷鉄道というのが走っており、この観光列車を輪行してみたいと以前から思っていたのだ。僕なりのエクストリーム輪行である。
2021年10月23日
前日は高岡の勝興寺でGo For Kogei 2021を堪能し、そのまま高岡に宿泊した。
翌朝、高岡から魚津まではあいの風とやま鉄道で、魚津からは富山地方鉄道で宇奈月まで移動。今日の(というより今回の旅の)主目的は、黒部峡谷鉄道を輪行することだ。以前から温めていた計画だが、今回とうとう実行に移した。
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それにしても、地鉄めちゃくちゃ揺れる…
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カラーリングは変わっているが見間違えようがない。お前こんなとこ(失礼)走ってたのか!
ところが、地鉄で宇奈月温泉駅に降り立ったときには雨が降っており、しかもすでに寒い。駅員さんのアナウンスによると、終点欅平までの間にさらに2℃下がるという。ダウンベストを着てウインドブレーカーを着てトロッコに乗り込む。それでも、往路はオープン客車であったため、ひたすら寒さに耐える一時間半となった。
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往路はオープン客車にしてしまった。すでに寒い
黒部峡谷鉄道の脇には「冬期歩道」と呼ばれるものが並行している。車内放送(室井滋が担当している)でも触れられているので、乗ったことのある諸兄はご存知の方もおられるだろう。
黒部峡谷鉄道は、積雪等によって冬期は運行されない。とはいえ、黒四ダムなどは冬でも稼働しているわけで、そこに通わなければならない人がいる。関電職員や発電所関係者などが冬の間の往来に使用するのが冬期歩道だ。積雪しても歩行できるよう、歩道はほぼトンネルの中。一人が通れるくらいの幅のトンネル。黒部峡谷鉄道に乗って山側を見ていると、採光のための小さな窓や、出入りに使用されるのであろう鉄製のドアが随所に見られる。
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冬期歩道全道を踏破すると、休みなしでも六時間かかるということだ。発電所の運営のため、一人しか通れない狭いトンネルを延々六時間歩く。そんな人たちがいると聞くだけで胸が熱くなる。僕が無類のトンネル好きということを差し引いても、一度歩いてみたいものだ。
なので、僕が黒部峡谷鉄道に乗るときは、景色のよい峡谷側ではなく、ずっと山側を見ている。トンネル好きなので仕方がない。
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終点欅平に到着して、まず、冷え切った身体を温めるために白えびのかき揚げうどんを食べる。こんな山奥まで来て白えびなど食べなくてもと思うが、寒いのだからしかたがない。
食堂を出て、自転車を組み立てた。
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さて、輪行というからには、列車を降りた駅で自転車を運用しなくてはならない。単に自転車を荷物として列車に乗っただけではただの馬鹿だ。今回は、欅平駅から徒歩なら一時間(と車内放送で室井滋がアナウンスしていた)の秘湯祖母谷温泉へ向かうこととした。秘湯とはいっても、現地までの道はほぼ舗装されており、スニーカーでも十分歩けるようなところだ。
欅平駅周辺は観光客でいっぱいだ。人でいっぱいのため、自転車を押しながら歩いて進むが、かなり奇異の目で見られる。赤い橋(「奥鐘橋」という名前がついている。余談だが、国立公園の中で、赤い橋があるのはここ黒部峡谷だけらしい。本当は国立公園内には赤い橋を作ってはいけないらしいのだが、この橋はここが国立公園に指定される前からあるのだそうで、例外中の例外らしい)を抜け、オーバーハングの崖(「人喰岩」という名前があるらしい)を抜けた辺りで観光客が減ったので、チャリに乗って漕ぎ出した。
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このあたりから自転車に乗って漕ぎ出す
先程、祖母谷温泉まで舗装されていると書いたが、正確には、道の真ん中に舗装された筋がある、といったところだ。登り坂で、雨が降ってスリッピーで、真ん中の細い筋をキープして走るのはなかなか難しい。途中何度も足をつきながらのヒルクライム(結構キツい)となった。
それでも30分もかからずに祖母谷温泉に到着。やはりチャリは速かった。着いた頃には雨も上がっており、青空が覗いていた。
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写真右方に鉄橋が架かっているのが祖母谷、写真の外さらに右側に祖父谷が続く
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黒部の秘湯、祖母谷(ばばたに)温泉。男湯はなんの遮蔽物もなく(心なしか植物の背が高いような気はするものの)外から丸見えだ。女湯はちゃんと囲われており、外からは見えないので安心されたい。
小さな洗い場と浴槽が二つ(熱いのとぬるいの)だけのシンプルな温泉。開放感はハンパではなく気持ちいい。
温泉に浸かっている客は常時二、三人。欅平から歩いてすぐの名剣温泉は大混雑であった(外に行列ができていた)ので、ちょっと脚を伸ばしてこっちまで来ればいいのにと思うが、実際に客がたくさん来て混むとそれはそれで困る。
下ノ廊下を歩いてきたという登山客と会話が弾む。三日ぶりの風呂だそうだ。少ない客同士、どこに行ってきた、これからどこに行くのかと会話を交わす。自転車に乗ってきたというと驚かれる。いやいや下ノ廊下の方がずっとすげぇわ。
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次第に身体全体がほどける
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たぶん観光客からも丸見えだがもはやどうでもよい
一時間程のんびり湯に浸かり、寒いのを我慢して風呂から上がり、服を着て、宇奈月駅で買ってきた白えびの天むすとます寿司のお弁当を食べる。
さて帰ろうかと思った矢先、雨が降り始める。強い雨となり、止む気配もない。列車の時間もあるので、しかたなく雨中を強行突破した。細い舗装路、スリッピーな路面、下がる体温。その恐怖たるや往路の比ではなく、泣きながらのダウンヒルとなった。
さいわい、帰りはデラックス客車を予約していたので、往路ほど寒くなく、車内で爆睡した。
宇奈月温泉駅(17時20分)から地鉄、あいの風とやま鉄道を乗り継いで向かった先は富山駅(19時)。そこからチャリを組み立ててスパ・アルプスへ。お腹ペコペコでたどり着き(19時30分)、とりあえずサウナに入るも2セットで空腹に耐えきれずに離脱(20時15分)。食堂で生ビールとアオリイカのお造りとトンちゃん唐揚げとカキフライを注文し、炒飯で締めた。
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その後、休憩室のソファで一眠りしようと背もたれを倒した(21時)。
気がついたら5時半だった。ビックリした。
ダメだこりゃ!慌てて起き出し再びサウナへ。
朝の5時台だというのに、サウナ室は8割ほども埋まっている。さすが有名サウナだ。
水風呂は朝イチで冷たく、身の引き締まる思いだ。きっちり3セットこなして空腹に耐えきれず離脱。
食堂で朝定食を注文。スパ・アルプスの朝定食は最強だと思う。とくに豆腐鍋が泣かせる。食べ終わって、後ろ髪を引かれつつチェックアウト。
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つまり、なにを食っても最強なのだ
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晴れ渡った気持ちで出発する