おばあちゃんは人生現役
僕の父方のおばあちゃんはすでに90を超える年齢になっていますが、年を感じさせないほど元気に過ごしています。おばあちゃんの健康の秘訣には、昔からよく食べてたことが関係しているんじゃないかなぁと思っています。
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10年ほど前、まだおじいちゃんが生きてた頃に一人で家に遊びに行ったことがありました。
父親から「じいさんは舟和のあんこ玉が大好物だから買って行くと喜ぶぞ。」ということを聞いていたので、道中で舟和のあんこ玉9個入りを買って行きました。(あんこ玉とはピノくらいの大きさのまん丸なあんこの塊を寒天でコーティングした和菓子で、6種類の味があり、それぞれ異なる色の綺麗な見た目をしています。)
家に着き、おじいちゃんに舟和のあんこ玉を買ってきたことを伝えると喜んでくれ、早速開けて一つ食べると「〇〇も食べていいぞ。」と言って僕にも一つ分けてくれました。
おばあちゃんも「おとうさん、好きな和菓子買ってきて貰って良かったわね。」と言って、あんこ玉の説明書を読んでいました。
おじいちゃんはあんこ玉をひとつ食べた後、残りは後で食べようと考えていたのか途中だった庭作業に戻っていきました。
僕は特にやることも無かったのでしばらく客間でテレビを見て過ごし、日が暮れ始めた頃に居間兼台所に戻りました。
そこにはおばあちゃんと空になったあんこ玉の箱がありました。
僕が「あんこ玉食べた?」と聞くと、おばあちゃんは「あんこ玉って色んな味があったのね。知らなかったわ。
気になって全種類食べちゃった。
」と悪びれる様子もなく言いました。
僕とおじいちゃんが一つずつ食べた時点であんこ玉は残り7つで、味は全部で6種類なので(オーバーキルしてんじゃん…)と思いましたが何も言わずにおきました。
翌日、おじいちゃんはおばあちゃんとほとんど喋りませんでした。
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おじいちゃんが亡くなって一人暮らしになった後も、おばあちゃんは変わることなくよく食べています。
僕が父親と一緒におばあちゃんを訪ねた時は「お昼ご飯は何にしようかしらね?私はうなぎが食べたいわ。今日はお店やってるかしら?」と質問しておきながら勝手にお昼ご飯を決められました。
うなぎ屋に着くと「私はそんなに量食べられないからねぇ…残った分は〇〇に食べてもらうわ。」と言ってうなぎ丼定食を注文していました。単品にすればいいのにと思いましたが黙っておきました。
定食が運ばれてくるとほとんど一人で食べきってしまい、僕には具が全て食べ尽くされた茶碗蒸しだけ分けられました。具が無い茶碗蒸しは少量でも食べてて飽きるということを僕は知りました。
おばあちゃんは「朝ご飯食べてなかったからお腹すいていたのよ。」と言っていましたが、父親に「ダメだよ朝ご飯食べなきゃ。お昼に急にいっぱい食べたら血糖値上がって体に良くないんだから。」と説教されると、
「…本当は食パン食べたわ。」
と白状しました。
「「食べてんじゃん。」」と僕と父親が声を揃えて言うと、
「あんなのは食べたうちに入らないのよ。」
と食パンを『無』として扱っていました。