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MEME

DreamStudio betaで出力した画像を使った短編ホラーの創作話
*フィクションです。本当に面白いサービスなので皆さんも是非遊んでみてください。



皆さんは、AIが画像を自動生成してくれるサービスのことを知っていますか?最近何かと話題になっているので、試したことはなくても見聞きしたことはあると思うんです。

なんでも、最近は社会影響の可能性すら出る程に精度が高いそうで。

私はこういう、なんというか、自分の意思から離れて無作為に作り出されたものというか。方向性は自分が決定できても、結果がどうなるか分からないものが大好きでして。AIが小説を書いてくれるサービスなんか、そういった『好き』を良く刺激してくれるんですね。

ですからもちろん私も、いま話題になっているAIを試すことにしたのです。

しかしながら…その、おかしいんですよ。
いえ、挙動ではなく。出力されてくる画像が、奇妙というか、何か変なんです。

とにかく私は、その時は意気揚々とサイトにアクセスして、表示されたテキストボックスにお題を打ち込みました。

数秒待つと正方形の画像が出力されてきます。

果物に囲まれた猫の王様

とりあえず何か長めのものを出そうと、”猫””王様”"果物に囲まれている"といったふうに、要素を三つ入れたお題をAIに投げてみましたが、何の問題もなく出力されました。

確かに、精度はかなり高いようです。フェイクニュースに使われてしまう危険性も頷ける、そんなクオリティでした。

それから私は、AIにカップケーキや図書館なんかを生成させて小一時間ほど遊んでいました。そして出力させるたびに、その精度に感嘆していたのです。

ユニコーンのカップケーキ

この画像群をどこで使うなんてものは無いわけですが、それでも結果のわからないものが出力されてくるワクワクは心地の良いものでした。

しかし、出力桁数が20を超えてきたあたりで私は奇妙な現象に遭遇したのです。

私はそれより前と同じようなテイストで、「空飛ぶ寿司」と入力しました。
…が、出力されたものは寿司とはかけ離れたものでした。

空飛ぶ寿司?

いくら精度が高いといえど、入力側の書き方によっては全く想定と違うものが出力されることも多々あります。
しかし、これはどう見ても寿司ではなく、どこかのモノクロの写真のようでした。

私はまだこの段階では、少し不思議くらいにしか思っていませんでした。実際のところ、何かの手違いかと思ってもう一度出力ボタンを押すと今度はちゃんと色鮮やかな寿司の画像が生成されたのですから。

それから何事もなく数枚の出力をさせていたところ、AIは再びお題と何の関係もない画像を出力したのです。

図書館の宇宙?

この画像には流石に驚きました。

家族写真のようにも見えますが、目が真っ黒で不気味な男の子以外の顔は謎の模様…お面?のようなものが張り付いています。これもAIが生成したものでしょうか?それとも、実在しているものでしょうか。

私は生成画面を見て、凍りつきました。この日私は眠れず、暇つぶしにSNSを開いていたところAIの話題、そしてこのサイトに辿り着いた訳で、夜中の2時というかなり遅い時間でした。時間帯的にも丑三つ時のことをよぎり、余計に恐ろしく感じたのです。その上、光源はパソコンのモニターだけであたりは真っ暗で、背後に何かがいるような気配さえ感じました。

しかし、ここでやめてしまえば翌朝にまた同じ画像を見る羽目になってしまうと考えた私は、更に出力させてこの画像を完全に上書きしてしまおうと思ったのです。今思えば、この判断が良くなかったのかもしれません。

私は手当たり次第、できるだけポジティブ、あるいは明るいイメージをAIに読み込ませました。
「虹色の花」、「たくさんの招き猫」、「活気のある平安京の大通り」…
しかしそれらは尽く失敗することとなりました。

出力された画像は全て、モノクロ写真でかつ最初に出力したもののように何かの風景の一部だったのです。

虹色の花?

私は恐怖で少しパニックを起こしていたのかもしれません。一度目でやめておけばいいものを、「早く元に戻ってくれ」と、何枚も、何枚も生成しました。

そうして出力を重ねていると、あることに気がつきました。

先ほどまではまだ、無作為な、ランダムのように見えた風景でしたが、だんだんと風景に統一性が生まれてきていたのです。

そしてそれは、出力を重ねるごとにどこかへ向かって進んでいるようでした。


何十枚か生成して、最後に門のような場所の前へと辿り着きました。


フラダンスを踊る海老?


私は…ここまできてようやく冷静になったのか、パソコンの蓋をパタンと閉じて、足早にベッドへ向かってそのまま逃げるように就寝しました。
この先へ進んでしまってはいけない、そう本能が警鐘を鳴らしたように感じたからです。


この話はここで終わりではありません。
私は翌日、昨夜の悪夢のような体験が嘘のように何事もなく朝の7時台に目を覚まし、朝食にコーヒーとカステラを食べた後、SNSをチェックしようとパソコンを開きました。


そこには生成した覚えのない画像が表示されていました。




????????????????????????????????


私はすぐさまサイトのタブを閉じ、この画像を見なかったことにしました。

ですが今ここに載せているように、その画像は何故か勝手に私のパソコン上に保存されていたのです。
実は、今までに生成された”お題と何の関係もない画像”も同じようにいつの間にかフォルダに入っていたものです。

処分してしまおうと思いましたがあんまりにも凄い体験だったので、削除する前に記事として出すことにしました。これが、その記事です。

サイトのタブを閉じてしまった私ですが、あの後、他のユーザーの作成した素晴らしい生成画像をSNSで閲覧したおかげで再びそのサイトへ戻って遊んでいました。

少しだけ例の画像の模様のことが頭の隅にありましたが、あの恐ろしい出来事はあれ以来もう起こりませんでした。

風景、家族写真、謎の模様…あれらは一体なんだったんでしょうか。今となってはもう、何もわかりません。





いかがだったでしょうか。
重ねて言いますが、これはフィクションです。DreamStudio betaおよび、他の画像生成AIサービスとは何の関係もありません。

以降は使用した画像、入力テキストを記載していきます。
DreamStudio beta、精度が高くていいですね。個人的にはdalle2の方がお題のミックスに強いように感じましたが、人や動物の顔の精度はこちらの方が上のように感じます。適材適所というやつですね。

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Oil painting of a fat cat king wearing a golden crown, surrounded by fruits
果物に囲まれた、金の王冠を被っている太った猫の王様の油絵

同テキストの別パターン

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Snowman cupcakes
雪だるまカップケーキ

同テキストの別パターン1
同テキストの別パターン2

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unicorn cupcakes
ユニコーンカップケーキ

同テキスト別パターン1
同テキスト別パターン2

カップケーキなんかは多少歪んでいてもお菓子なので全く気になりませんね。これがレシピサイトに載っていたら本物だと思ってしまいそう。デコレーションの参考にもなりそうですね

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Black-and-White Photographs of Roads
道のモノクロ写真

同テキスト別パターン1
同テキスト別パターン2

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驚くべきことに、この写真は人の手が全く入っていません

Faceless black and white cursed family photo
顔のない呪われたモノクロの家族写真

同テキスト別パターン。小説にあげたものの元バージョン。こちらは一枚目を基に加工を入れましたが、正直オリジナルの方が怖いまである

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Black-and-White Photograph of the Gate of the Eerie Pavilion
不気味な館の門のモノクロ写真

こんなところです。

今日はここらで書き終わります。ありがとうございました

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犬飼貴久
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