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デッキのシェアとパフォーマンスから見る環境サイクル

環境を動的に捉える試みとして、「パフォーマンスとシェアのマトリクス図の上でデッキがどう動くか」を考えます。

はじめに

環境におけるデッキのポジションを調べたり、環境の変化を予想しようとする時にまず見るのは、環境に存在する主要なデッキのシェアとパフォーマンス(Global Performance。要は勝率のことです。)になります。

DTCGの環境に関するデータは様々ありますが、このふたつの数値が最も基礎的なデータと言えるでしょう。複数のサイトから容易に入手できます。

もっと詳細なデータで環境を分析する手法もあるかも知れませんが、シェアとパフォーマンスで環境を把握するメリットは、縦軸にパフォーマンス、横軸にシェアを取った2Dグラフにデッキのポジションをプロットすることで、環境の全体像を一望できることです。

この2Dグラフを自分は「パフォーマンスとシェアのマトリクス図」と呼んでいます。いわゆる散布図なのですが、正確なグラフというよりも説明用の図画に近いものです。実際に作成したものがこちらです。

パフォーマンスとシェアのマトリクス図の実際

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矢印は先週からのポジションの変化を示しています。このように、マトリクス図にプロットされたデッキのポジションは時間の経過により変化します。

環境を眺める人は、それがなぜ動くのか、どう動くのかを知りたいと思うわけですが、そう簡単なことではありません。

以下では、デッキ間の相性といったミクロの視点には立ち入らずに、シェアとパフォーマンスというマクロの視点で環境を見ることにします。

まずは、次のように単純化した2x2のマトリクス図の中に配置されたデッキに働いている力について考えます。

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二つの前提

まず、次の前提があります。

プレイヤーはパフォーマンスの高いデッキを好んで使用する。(プレイヤーはパフォーマンスの低いデッキを使用することを避ける。)

そしてもう一つ。

シェアの大きいデッキは対策される(メタられる)。(シェアの小さいデッキは対策されない。)

これら二つの前提の基盤には「プレイヤーはゲームで勝つことを第一の目的にしている」という大前提があります。

組み合わせる

そして、これらの前提を組み合わせて、次のように考えてみます。

1.パフォーマンスが高いデッキのシェアは大きくなる。
2.シェアが大きいデッキは対策されてパフォーマンスが下がる。
3.パフォーマンスが低いデッキのシェアは小さくなる。
4.シェアが小さいデッキは対策されなくなり、パフォーマンスが上がる。

2x2マトリクス図

これを縦軸にパフォーマンス、横軸にシェアをとった2x2のマトリクス図に書き込んでみると、次のようになります。

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マトリクス図と環境のサイクル

上のマトリクス図に番号が振ってあるとおり…

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1→2→3→4→1のサイクルになっています。

ここで、このマトリクス図の中の大きな矢印の意味を考えておきます。1→2と3→4の矢印は直感的にもわかりやすいので、説明は不要でしょう。少しわかりにくいのは4→1と2→3です。

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まず、4→1の矢印、ここで言いたいのは、「シェアの小さいデッキには(対策されないので)パフォーマンスを高くする力が働いている」ということです。

もちろんシェアが小さくて(対策されていないのに)パフォーマンスが低いデッキも存在します。

そういうデッキは、少なくともその環境では本当に弱いデッキだと言え、いずれは環境から消滅します。

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次に、2→3の矢印ですが、これは「シェアの大きいデッキには(対策されるので)パフォーマンスを下げる力が働いている」という意味です。

実際には、シェアが大きくて(対策されているのに)高いパフォーマンスを維持し続けるデッキもあるでしょう。

これは本当に強いデッキです。こういう強すぎるデッキがあると環境が硬直してしまうので、一部カードの使用禁止などでそのデッキを弱体化して、環境を流動化することになるかもしれません。

まとめ

パフォーマンスとシェアのマトリクス図に配置されたデッキには、矢印の方向(時計回り)の力が働いています。

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おわりに

今回紹介したのは環境のモデルであり、環境を見る時のひとつの観点に過ぎません。他にもいろいろな観点があるでしょうし、もっとずっと良い観点もあるでしょう。

そもそも、一つの観点で環境の変遷を全て説明できるほどメタゲームは単純ではありません。マトリクス図の中を反時計回りに動くデッキもあるでしょう。

それでも、環境を見るときに何かの観点を持っていた方が楽しいのは間違いありません。

たとえばここで説明した観点を持って環境を見ていれば、矢印と逆行するように動くデッキがあったときに「なぜ?」を考えるきっかけになります。

最初に書いた二つの前提は、私にはそれなりに確からしいものに思えます。ですので、私は現在、このような観点で環境を見ています。

おわり