YCH-A
ゆるやかに分節されたひとつながりの空間
東京都渋谷区の代々木上原の住宅街に位置するRC造地下1階地上3階建てのコーポラティブハウス。代々木上原という人気の高いエリアの第一種低層住居専用地域で共同住宅を計画するにあたっては最大の床面積をいかに確保するかがコーポラティブハウスに求められるセオリーであり、当然のように地下を含めた住戸が計画される。A住戸は地階B1F(約49㎡+ドライエリア7㎡)と1F(約28㎡)のメゾネット住戸であり、玄関ドア以外は地階と1階に設けられた窓はいずれもドライエリアのみに面するという極めて外部環境との接続が限定的な住戸である。
このような住戸の条件に対して東京という都市的な環境から距離を置くことができると捉え、施主としても東京にいることを忘れることができる空間を目指したいということであった。また、どこにいても人の気配を感じることができるようにしたい、家族や友人を招いて小さなパーティができるような人が集まりたくなる家を目指したいといった要望もあった。住戸条件として周囲に対して閉鎖的であっても、空間としては広がりを感じられる開放性をいかに実現することができるか、検討を進めていった。
検討していく上で着目したのは、この住戸の特徴でもある奥行きの長さであった。地上階1Fの玄関から地下階B1Fを最も長い一直線の一体空間として繋ぐことができる位置に吹抜け階段を配置した。さらに両端は玄関とドライエリアに接続することにより、限られた外部環境との接点を利用して空間の抜け感を確保した。B1Fにはダイニングキッチンとリビングを配置し、吹抜け階段とドライエリアを介してゆるやかに分節しながらも住戸全体が大きなひとつながり空間となった。