いつもの電話
彼は毎日「I love you.」と囁いてくる。
彼は「なんで俺なんかと」と度々嘆く。
私は「なんでだろうね、面白いからかな。」と答える。
私は彼には言わないけれど、とても落ち込む時がある。
そんな時でも彼は「なんで俺なんかと」と嘆く。
私は「私のどこがいいのか分からない」と答えてしまった。
そうすると彼は「自分では分からないだろうけど、」と話を始める。
彼から見た私の良いところを、深く沈んだ私の心をそっと掬い上げるように、言葉を紡ぐ。
春の日差しの暖かさをもって、ふわりと頬を撫でる風のように、時には言葉に詰まりながら、丁寧に教えてくれる。
私は彼のそういうところが好きなんだと、低い柔らかい声に耳を傾ける。
彼は毎日「I love you.」と囁いてくる。
彼は「なんで俺なんかと」と度々嘆く。
私は「 I love you.」とたまに答える。