ブラッドストーム・イン・ジ・アビス
脱出艇連続特攻作戦は巨大海蛇を退散せしめ、第156太平洋深海開拓市は圧壊の危機を免れた。しかしそれは時間稼ぎにしかならない。魚人共に場所がバレた。奴らはいずれここに辿り着き全てを殺戮するだろう。オガサワラ大陸棚市まで脱出艇で片道3日。カミカゼのせいで艇の数が足りない。俺のような末端の開拓民は置き去りにされる。その救助艇、今誰が整備してると思ってるんだ。俺だ!
「何が海底は最後のフロンティアだ!魚人共の巣じゃないか!」
俺が叫んだ瞬間、背後に激しい水柱が立ち上がり、何かが桟橋に着地した。魚人?早すぎる!
そいつは映画の中の「サムライ」に似ていた。キモノ、カタナ、マゲ、剃られた頭はやけに輝いている。人間?だが潜水装備の類は見当たらない!バカな!いやそれよりも、腰にあるのは魚人の生首!3つも!
「すまぬが、道をお尋ねする」
海水を滴らせながら男は続けた。
「拙者、河童の勝平と申す。“るるいえ”はこの先か?」
ええもん読んだわ!と思ったらぜひ。ありがたく日々の糧にします。