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シンガポールでのバー生活

学生のときは海外旅行などにまったく興味がなく、パスポートすら持ってませんでした。そんな自分が会社員になって、研修でアメリカに約1カ月生活し、その後半年足らずでシンガポールに海外赴任となりました。

海外赴任のための渡航する前日。六本木の友人のバーで、同僚数人が壮行会を開いてくれました。おそらく気分が高揚してたのだと思いますが、6,7杯のドライマティーニを飲み、家に帰って少し休もうと横になったのが最後。寝過ごしてしまい、上司との待ち合わせに大遅刻。飛行機にはぎりぎり乗れてことなきを得ましたが、そうやって自分のシンガポール生活が始まりました。

ついた翌日の歓迎会。すでにシンガポールで仕事をされている会社の人達がJumboという有名な海鮮料理屋に連れて行ってくれました。そこの牡蠣がとてもおいしいということで、いくつもの生牡蠣を食べました。生牡蠣は大好きで、小さいころからいっぱい食べていたのですが、大学の後半から身体が反応するようになっていました。その結果、ホテルに帰ってから半端なく具合が悪くなって、バスルームで翌朝まで過ごしました。

この2つの失敗から学び、シンガポール生活からマティーニと牡蠣を10数年封印してました。それはともかく、シンガポールには初めて本格的に住んだ日本以外の国で、帰国してからも数十回と出張で行っているので、総滞在時間が最も長い国の一つです。シンガポールで通ったレストランは、熱帯特有の植物の香りや東南アジアの香辛料、熱気と活気が独特のものでした。その香りや雰囲気は、そのときの社会人になった誇らしさと不安、異国の地でまわりに日本人がほとんどいない心地よい孤独もミックスされた独特の感情を今でも思い起こさせてくれます。

目抜き通りであるオーチャード通りの雑居ビルの片隅にひっそりとある店で食べるチキンライス、だだっ広いテラスでいつも中国人と間違われて食べるチリペッパークラブ、カトラリーを一切使わないで食べる街のはずれにある南インド地方のカレー、運河の風を感じながら乗りのいいサウンドを聴きながら食べるインドシナ料理、自動車教習所の食堂で食べる甘辛い総菜を何種類もかけて食べるぶっかけ飯、青唐辛子のピクルスをたっぷりまぜて食べる海老チャーハン、、、あげはじめるときりがありません。

バーについては、行きつけのバーがいくつかありました。最初によく行ったのはオーチャード通りから少しはいったところにあるこじんまりとしたカジュアルなバー。住んでいたマンションからは20分くらい歩いていけるところにあり、バーテンダーがよくサービスしてくれました。一度、バーテンダーとその友達とクラブに行きましたが、VIP席でもてなしてくれました。ただ、踊っているときに香港から来た女性に声をかけられて、そこを中座して飲みにいってしまいました。

後日、会社の先輩から「おそらくゲイの集団だから、そのまま遊ばなくてよかったよ」といわれて、サービスしてくれたのはそういうことだったのかと、それ以来行かなくなりました。シンガポールはゲイの人も多いようで、日本人の自分は街角でもよく男の人から声をかけられました。

その次によくいったのがラッフルズホテルのプールバー。ラッフルズといえば、シンガポールスリングのロングバーが一番有名です。一人で行くには観光客も多く、広くてちょっと居心地が悪いです。また、カウンターに座ってシンガポールスリングを頼むとわかりますが、ミキサーに材料を入れて5,6杯分を同時に作っていくので、ちょっと興覚めします。観光客はみんな頼むので、大量に作っていかないと間に合わないのだとは思いますが、、、

一方で、プールバーの方は、観光客はあまり来ないので、ゆったりとした空間でビリヤードをしながら、お酒を楽しめました。熱帯の気候でも居心地がよいように、天井が高く、冷房も効いていて、風通しもよい最高の空間でした。Weekdayは街中から車で3-40分離れたまわりはジャングルのような工場で仕事してたので、月に1度くらい訪れるそのプールバーはとてつもない非日常感。すごく大人になった感じがしてました。

そのバーではまったのが、ブランデーと葉巻。大学の時はスコッチ、モルトウィスキーがメインのアルコールでしたが、そのバーでブランデーと葉巻のマリアージュに感動してからは、そのバー以外でも葉巻が置いてあるバーに行ったり、住んでいるマンションの部屋でもそのマリアージュを楽しんでました。娘ができてから、最近はバーに行くことも少なくなり、葉巻は全然吸わなくなりました。ブランデーも帰国してからしばらくしてマイブームが去り、ほかのリキュール類に好みが移りました。ただ、次にまたラッフルズホテルを訪れたときには、ブランデーを飲みながら葉巻をくゆらせてみたいと思っています。

自分がシンガポールに住んでいた時から、20数年。シンガポールは年々開発が進み、ずいぶんと変わりました。他にいくつか行っていたバーもなくなっていて、ラッフルズのプールバーも違うスタイルのレストランバーになっていました。一度、出張の時に住んでいたマンションがあるかどうか見に行きましたが、そのマンションは懐かしくも残ってました。

シンガポールに限らず、娘が生まれてバーに一人で行く機会は圧倒的に減りました。出張のときは一人になれるので、またシンガポールに出張するようなことがあれば、新しいバーを開拓したいと思います。

読んでいただきありがとうございました。

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