回想録 塩のゆくえ
2013年の春。
わたしは山形から岡山へと引っ越しました。かなりの荷物を捨てて。家一軒分をカラにしました。
5年住んだそこには60kg以上の塩がありました。
ブラックとピンクのヒマラヤソルトが、それぞれ箱で。はるか昔の海の塩です。
ホメオパシーのネイチュミュア
共鳴するものなんですねー
同質が集うものなんですねー
どっぷり塩漬けなわたしには、それでも足りなかったんです。なんせ海に沈んで数十年。
それはどうなったと思います?
運びました。わざわざ運搬のお金と労力をかけて。岡山へと。
なにを捨てても(家具もミシンもオーディオも暖房器具も)、塩とは離れられるわけがない。
この世界は等価交換。
この身と釣り合う重さが必要。
そこから更に2回の引越しをし、大切に運び続けたわたしの塩は、3回目の2021年の引っ越しで、なんと箱ごと消えました。
イリュージョン
あんなに重くて大きな箱が、なくなるはずはないのですが。
なくなったんです。
確かに旧居を空にして、そして新居へと運んだのに。重かった記憶もあるのに。新居でも確かに見たのに。すごい場所取るなって思って見たのに。
、、、消えてしまったんです。
こういうことはありえるけども。
だけれども今ですか。
ひかりのもとへ?
今消えてしまわれた。
わたしの気持ち。
わたしの遺体だった塩。
ーー
思い返せば確かにその頃。
生命の木でいえば、ネツァックに溜まった情念が、これこそがわたし自身だと思い込んでいた情念が、ふっとなくなっていったんでした。