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ルーマニア旅行を勧めるだけの記事

去年初めてルーマニアに行って以来、すっかり虜になったものです。訪問回数もハンガリーと並んで3回、訪問都市数にいたっては居住経験のあるドイツと日本を除いて一番。どの都市も1年以内に訪問しているので比較が可能、そして住んでいないからこそ旅行者目線で書けるかと思い、「ルーマニア」として記事にまとめてみました。


【そもそもルーマニアって】

ルーマニアときいて思い浮かぶのはドラキュラとチャウシェスク、ナディア・コマネチくらい。知ってる街は首都ブカレストだけ。なんならブダペストと紛らわしい。ルーマニア料理って何食うの?
実は最初はそんなレベルでした。チェコやハンガリー、ポーランドに比べて圧倒的知名度の低さ…(世界規模で見れば、名前とヨーロッパの東の方の国であることが認知されているだけいいのかもしれないけれど)。もったいない…ルーマニアのポテンシャルはそんなもんじゃない

【治安は…?】

これが一番に頭の中に上がってくる人は多いと思います。貧しくて治安の悪い国っていうイメージがありますよね。うん、それは過去の話。もちろん貧困や不平等、社会不安、犯罪という課題がないわけではないですが、それはどこの国も同じ。スリや詐欺に気をつける、危ないエリアは避ける、凶悪犯罪に遭う可能性がある。これもどこの国も同じ。シビウ、ブラショフ、ティミショアラ、ブカレストと行ってみて、治安面に関してはドイツ諸都市やプラハ、ブダペスト、ワルシャワと大差ないです。むしろ街はドイツより清潔。いやいやルーマニア全土がそうなわけじゃないでしょって?それもどこの国も同じ。
この暗いイメージはおそらく民主化からあまり年月の経っていなかった90年代や安定して間もない2000年代初頭の遺物だと思われます。ブカレストの記事で書いた「小パリ博物館」の管理人さん曰く、「90年代は酷かった、大変だった。国自体安定していなかったし、貧しかったし治安も悪かった。2000年代に入ると軌道に乗ってEUにも入って、2010年代からは明るい時代が来た」とのこと(ざっくり要約)。治安がいい、豊かになった、という基準は人それぞれなのを踏まえなければなりませんが、今くらいの水準になってもう10年は経過していると管理人さんは感じているようです。
ということで、治安面について「ルーマニアだから」と特別身構える必要はないと思います。

【みどころ】

ということで、ルーマニアに行くとして、見どころは何なのか。これまで行った街についてざっくり紹介したいと思います。リンクで各街の記事に飛ぶこともできます。
シビウ
トランシルバニアにある小さな都市です。後述のブラショフほどの知名度はないですが、教会、城壁、塔、それに付属する展示や解説など街中にちりばめられた歴史と文化を拾い集めながら散歩するととても楽しいです。
街の中はすぐ見つくしてしまうと思いますが、ご安心を。郊外にAstraという屋外博物館があります。巨大な公園で、敷地内には移設した建物などで昔のルーマニアの姿が再現されています。これまで見てきた博物館の中でもトップ3に入るもので、シビウが好きな理由でもあります。
そして個人的にシビウをダントツで気に入っているもう一つの理由が、がこのDachaugen(目の形の通気口)。街中いたるところにいます。こんなに大量に生息しているのはシビウくらいかと。

生暖かく見つめてくれます。
有名なウソつき橋とDachaugen

ブラショフ
シビウ同様トランシルバニアの歴史ある都市です。旧市街自体はかなり小さく、教会などの見どころと小さな博物館や展示が旧市街中に散らばっているところもシビウに似ています。観光地化はこっちの方が進んでいるようです。ブラショフの特徴はなんと言っても旧市街すぐ横に聳え立つタンパ山!ヨーロッパで旧市街の真ん中の広場からすぐそこに山が見える景色って中々ないと思います。ケーブルカーか徒歩で登れるので、ぜひ山から街を一望してください!

こんな旧市街、なかなかない!

ティミショアラ
広い意味での「トランシルバニア」にはティミショアラも含まれますが、シビウやブラショフとは大分違うようです。街並みは全体的にハンガリーっぽい見た目で、広場や大通りがドーンっと大きく。セルビア正教の教会があったり。地理的にもハンガリーやセルビアの国境に近いですしね。
ティミショアラといえばルーマニア革命!チャウシェスクですよみなさん!革命記念博物館(Memorialul Revoluției)に行けば意外な革命の経緯に驚きます。そして街を歩けば当時の写真に写っている景色がそのままそこにあります。

ルーマニア革命のあの場所

ブカレスト
「見どころがない」どころか「醜い」とまで言われることのあるかわいそうな首都です。確かに、伝統や民俗文化といった文脈での「ルーマニアらしさ」が経験できるわけでもなく、ブダペストなどのように街並みが(一般的な意味で)美しいというわけでもないです、はい。
でもスルーはもったいないです。どころどころにかろうじてファンタジーな「中世(概念)」を残し、歴史感溢れる街ではないからといって今どきな街並みではないという絶妙にレトロな旧市街にはいろいろな個性が溢れています。小パリ博物館や共産主義博物館といった運営陣の熱意を感じる小さな博物館から様々な飲食店、バー、パーティシーン、個人のブティックなどなど。人でごちゃごちゃしていないのにurbanで、色々な個性が集まって、ここにこの先可能性しかないように感じる街でした。

個人的にはブカレスト北駅がこれまで行った駅の中で一番好きです。レトロで雑然としていてちょっと寂れたような面があるかと思えばお店いっぱい人もいっぱいでにぎわっているあの雰囲気がたまらない。

おネコ様
実は、地味にネコ率高いです。どの街でも複数回見かけましたし、ナデナデできる子も。みんな野良ではなくお家のある子たちのようです。イスタンブール以外で、観光地でこんなにネコに遭遇した国って他にない気がします。

【ルーマニアご飯】

過去のシビウブラショフの記事でも挙げましたが、ルーマニア料理、とても美味しいです!どこの国でも美味しい美味しいと言ってますが、ジャパンな舌にあうと名高いポルトガル料理と並んで讃えられてもいいと思うのです。特にチョルバ(スープ)。中でも野菜のチョルバ。じっくり煮込んで素材の味を生かしたあの美味しさは、きっと病みつきになります(ワシはなった。挙句の果てには食いすぎて味にうるさくなってしまった)。ちょっと酸味があるのもポイント。酸味といっても強烈なものではなく、ほんのりとしたもの。
その他にもサルマーレ(ロールキャベツ)やミチ(棒状のハンバーグ)、パパナシ(デザート)などもオススメ。カフェでサンドイッチ頼んだらキュウリのピクルスが添えられてたのもポイント高いです。

野菜(legume)のチョルバ(Ciorbă)
これまた野菜のチョルバ
ルーマニアに来たらまずはこれ
チョルバ(Ciorbă)です。いいですね?
肉団子入りもあるよ
コイツが有名なサルマーレ(Sarmale)(ロールキャベツ)とママリーガ(Mămăligă)(黄色いやつ)
サルマーレとママリーガ
サルマーレとカットママリーガ
レモネード。ハンガリーと並んで多種多様で美味しい。
コーラ系や水以外のノンアルドリンクは嬉しい
ミチ(Mici)
ミティティ(Mititei)と呼ばれる場合もあるっぽいけれど違いが判らない
pui cu legume(チキンwith野菜)
ルーマニアシチューという感じの名前だった料理
パパナシ(Papanași)

【観光インフラ】

・EUローミング
ルーマニアはEU加盟国なので、他のEU加盟国のSIMがそのまま使えます。
・シェンゲン協定
2024年1月よりついにシェンゲン協定加盟国になりました!ドイツやハンガリーなど他のシェンゲン協定加盟国との出入国で国境審査がなくなりました。まだ移行期間なのか、クルマだとチェックがある場合はあるそうです。長期旅行者はシェンゲン協定加盟国の通算90日ルールに気をつけてください。
・バス、トラム、トロリーバス、地下鉄のチケットはカードでピッ
全国区なのかはわかりませんが、こんな感じの端末にクレジットカードやデビットカードをかざしてピッするだけで完了という、なんとも先進的なスタイルです。もちろん券売機がある場合はそこでチケットを買うのもアリ(記念になるしね)。ブカレストの地下鉄は確か日本でも見かけるような改札って感じだったと思います。

色とか形は場合によって違うかも。

・電車のチケットはアプリとサイトで
日本のJRに当たるCFRのサイトで列車のチケットが買えます。日本の鉄道環境と比べると距離の割に時間がかかるし車両設備が新しいというわけでもなく。ここだけ聞くといいところなしに聞こえますが、レトロな車両がいっぱい走っていてタイムトラベルまでできちゃいます。国内線なら検索から決済、チケットの提示までアプリで完結!国際線の場合はルーマニア国内でチケットを発券する必要があるのかどうか、PDFのチケットを印刷して提示しなければならないのかなど要チェックです。

夜行列車。たしか80年代製。ドイツからのおさがり客車。
ブラショフ→ブカレストの昼行列車。1等車でも€10とかそんなだった気が。

・水道水飲めた
シビウ、ブラショフ、ティミショアラ、ブカレストと水道水をがぶ飲みしてましたが味の異常も体調不良も感じませんでした。硬度が高いせいでお腹の調子が悪くなることはあっても、基本的な衛生面での問題はほぼなさそうかと。
・観光地はそこそこ英語通じる
もちろん通じないこともありましたが、英語圏ではないことを考えればまあそうでしょうという。なんならドイツより積極的に英語を話してくれる気がします。困ったらグーグル翻訳で。イタリア語やロシア語の知識がある人は助かる場面もあるかも。

【まとめ】

ヨーロッパの有名どころに飽きた人にも、ヨーロッパ初めての人にも、初海外旅行にも、学生さんにもオトナにも、街歩き好きにも食べ歩き好きにも、レトロ好きにも、列車好きにも、きっと効くのがルーマニア。インスタ映えだとかメインストリームとは一線を画した旅をしたい人にも。あんまり知られてないけど、こんなにいい。酷い沼だから、もしかしたら知らない方が身のためかもしれない。

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