夜行列車 IC407 ブダペスト→ブラショフ コロナ号
夜行列車コロナ号です。クルジ・ナポカ(Cluj-Napoca)を経由しブダペストとブラショフを結びます。去年の中欧編やイストリア号と同様、Schlafwagen(寝台)のシングル個室で乗りました。2023年8月26
日17時40分ブダペスト東駅(Keleti)発、翌日9時43分にブラショフ駅着。走行時間16時間3分。運賃38.2ユーロ、個室代60ユーロ。ルーマニアはシェンゲン協定未加入のため、国境でパスポートコントロールがあります。
【コロナ、イスター、ダキア】
コロナ号、2020年以降はちょっとかわいそうな名前になってしまいましたね。ブラショフがラテン語でコロナと呼ばれていたからかと。ドイツ語ではKronstadt(クロンシュタット)でCrown Cityです。王冠です。
ブダペストからブカレスト方面へは、コロナ号の他にも少なくとも2種類の夜行列車が走ってます。イスター号とダキア号です。イスターはドナウ川下流域の古代の呼び名だそう。ダキアはルーマニアのローマ名ですね。
なぜコロナ号にしたかというと、発車時間が早めなので寝る前に国境審査を終えれるのと、食堂車があるからです!
【予約と発券】
イストリア号同様、ハンガリー鉄道のサイトで予約と支払いをし、メールでPDFのチケットを受領。この便はルーマニア鉄道のサイトでも予約できると思いますが、発券と受け取りに注意です(詳しくはこちらの【予約】の項目をチェック)。
【ブダペスト東駅(Budapest Keleti)】
去年は工事中でしたが、無事完了したのか新しいトイレやロッカーができていて、地下鉄へもホームから直通できるようになっていました。主にロッカーについて情報を置いておこうと思います。駅設備に興味ない人は次のパラグラフへ飛んでください。
朝に宿をチェックアウトしてから夕方の発車まで時間があるので、出発駅のブダペスト東駅にスーツケースを置いてぶらぶらしようと計画。去年はホーム階にしかロッカーがなく(この写真の右側すぐ、今でもある)、カードでもコイン投入でもなく近くに座ってる職員さんに現金で払い(ボストンバッグが入るくらいのサイズで当時1000フォリントだった気がする)鍵を閉めてもらいました。ここも現在は改修されカードもしくは現金(なんと100、200フォリントのみ。スーツケース預けると1800フォリントとかなのに)で、滞在中はカード払いの端末は故障中でした…。
ということで、新しくできたらしい地下のロッカーへ行きます。この写真の階段やエスカレーター、エレベーターで行けます。エスカレーターやエレベーターがあるの、うれしいですね!(到着時に南駅でスーツケース抱えて階段移動したのを根に持っている)
カード払い用の端末がついていていいじゃん!と思ったのもつかの間、端末のほとんどがうまく機能していない模様。さっきから職員さんがノーグッドターミナルとかって言って歩いてたけどこのことだったのか……。1つだけ機能してるので、そのターミナルが取り仕切ってる区画のロッカーはカードでも預け入れできました。が、せっかくフォリント持ってるわけだし札で職員さんに払って預け入れできるならフォリント持ってない旅行者のために空けとくか…ということで職員さんに聞くと、札OKとのこと。手動でロッカーのカギをしてもらい無事完了。早く復旧するといいですね…。
いつ復旧するかはわからないので、近いうちにブダペストで荷物を預けたい方は現金を持って行きましょう。といっても職員さんがいない場合は100、200フォリントコインで1000-2000フォリント支払うことになるので大変……実はブダペスト到着時に南駅(Deli)で同じ目に合っていました。そんなときも大丈夫、駅以外にもロッカーサービスはあります!例えばこことか。宿の近くだったのでここを利用しましたが、他にもロッカーサービスはいろいろあるようで、その多くでカード払いができます。
ロッカーの他にも地下階には新しいトイレもありました。そしてなんとシャワーもある模様!
あとトイレの利用料は徴収されませんでした。ヨーロッパの駅では珍しいです。入り口に受付のようなデスクがあります。切符持ってる人はタダとかそういう張り紙かと思いきや「チケットオフィスじゃねえ、両替屋じゃねえ、インフォセンターじゃねえ」と書かれており苦笑。確かによく見ないとそういうタイプのデスクかと思っちゃうくらいきれいな外観でした。
ちなみに駅の安全面ですが、駅舎の中はキレイだし怪しい人もほぼいませんでした。ホーム階なんかは見晴らしもいいし、地下道も含めて人が多く安心できます。駅前の広場にお金ちょうだいの人やタロットカード占いを持ち掛けてくる(おそらく)ロマのおばあさん(噂には聞くけど初めて遭遇した!)とかがいるくらい。あとアヤシイ募金活動(もしかしたらちゃんとした団体なのかもしれないけど、外国人旅行者にばっかり話しかけていたのでアヤシイ認定)。概してみんなアグレッシブではありません。夜中はどうか分かりませんが、少なくとも昼間はかなり安心できる駅だと思います。売店も多く両替屋もあるので駅中で一通りそろっているかと思います。
【設備】
さて、去年も来たなーと駅を探索した後、電光掲示板の前で待機と…。
と思いきや、待機も何も、もう車両がいました。ということで、すでに駅近くのRossmann(ドイツにもあるドラスト)で水も補給済みだったので乗車。いつも通り車掌さんにチケットを見せてヨシと言われたので乗車。イストリア号もでしたが、乗車口の階段が狭い上に急です。車掌さんかその辺の乗客の手を借りましょう。みんなで助け合っての乗車もなかなか楽しいです。一晩同じ車両で過ごす人たちと乗車時にある程度の友好関係が構築できるのもよき。
個室内だけではなく、シャワーと空調がないのもイストリア号と同じ。今夏は幸い夜になるとかなり涼しくなったので、寝苦しいとかそういうのはなかったです。
タオルとお手拭きしか乗っていない机を見て、今回は飲み食いの支給品なしか…まあ食堂車あるしなと思っていたところ、翌朝戸棚を開けたらまさかのここにオヤツでした。絶対気づかずに下車してる乗客多い……。
【食堂車】
さて、もうちょっと高級で設備のいいらしいイスターやダキアではなくコロナ号を選んだ理由、食堂車のお時間です!
夜行列車あるある、客室は空調ナシ(もしくはショボショボ)でも食堂車はキンキン!もう食堂車に来させる作戦としか思えません。ルーマニアに行く前にハンガリーご飯で〆ます。
食堂車とは思えないレベルの美味しさでした。とりあえず食っとけな感じではなく、ちゃんと料理されてることがわかるものでした。
ちなみに半袖ショーパンだったとはいえ、北方種で寒冷気候大好きのワシがプルッっとするレベルで冷房きいてました。苦手な人は上着を持って行こう……。
【国境越え】
さて、食堂車から戻るころには個室も換気が進み、過ごしやすい温度になっていました。ハンガリー大平原のだたっぴろい景色を見ながらツイッタしてゴロゴロしているとどんどん外は暗くなってゆき、国境警察が登場しました。ハンガリー側最後の駅Biharkeresztesに着いたようです。ハンガリー(というかシェンゲン)出国の検査です。シェンゲンエリアに3ヶ月以上いるので不法滞在ではないですよの意味でドイツの滞在許可を見せて無事終了。シェンゲン協定加盟国に長期滞在している場合はシェンゲン出国スタンプはなしのはずなのですが、なぜか押されたという(ドイツ帰国時にパスポートコントロールで聞いたところ、やはりいらないはずとのこと)。ちなみに列車情報サイトrail.ccにある発車時刻より早く出発…。長時間停車中に外に出るときは車掌さんに一言アピールしてから行くのがいいと心から実感(一応ホームに乗客残ってないかとかは目視してるとは思うけど)。
その後列車は少しだけ前進し、ルーマニア側最初の駅Episcopia Bihorへ。ここからはシェンゲン協定外なのでマジの出入国検査がされます。ルーマニアは初めて?あ、2回目ね(前回のシビウでのスタンプ)。仕事?勉強?観光?ルーマニアで何するの?その後は?学生?仕事してるの?と一通り質問が続きました。おお、なんかそれっぽいぞ!ブラショフ、観光、3日、その後はイスタンブール、チケットある、ホテルある、ドイツ在住、この前大学卒業したばかりのプログラマです、仕事があるのでドイツに帰ります(だから安心して)、と普通に答えて終了。威圧感とかはなかったです。前回のシビウ空港でもそうでしたが、なかなか質問してきますね。今回はパスポートとドイツの滞在許可が回収され、スタンプ押されて返却でした。回収はよくあるので大丈夫です。
この出入国のある区間をハンガリー時間夜の10時(ルーマニア時間11時。越境でタイムゾーンが変わる)くらいに通るので、夜中にたたき起こされずぐっすり朝まで寝れるのもコロナ号の利点ですね。
【朝ご飯】
朝になると車掌さんが個室にやってきました。前日聞いていたとおり、食堂車で朝食を取れるとのことで、引換券をくれました。
前日の夕食でメニュー見たときに朝食メニューがあるなあと思っていたのですが、そこから1つ選べる形式の模様。メニューは渡されませんでしたが(多分言えば出してくれる)、飲み物やおかず(スクランブルエッグか目玉焼きか、ハムはつけるか、など)を乗務員さんが口頭で注文を取ってくれました。少し待つと朝ご飯登場。
到着まで時間があるので、朝ご飯の後もゆっくりできます。隣の個室はコンセントが壊れていたようで、オジサンが電気を恵んでくれないかと頼んできました。2つ挿入口があるUSBアダプター持っててよかった(自分も充電中)。どうやら仕事の関係でブダペストとトランシルバニアの二重生活をしているそう。このオジサンもですが、他にもブラショフまでいかずに途中で降りる客がほとんどでした。もしかしたら家族や親戚がいる、仕事で出張・単身赴任とかでハンガリーとトランシルバニアを往復する人は多いのかも。話のネタが切れた。さすがに隣の個室まで伸ばせるほど長いケーブルはなかったので、オジサンが個室に帰れるようにパワーバンクを貸しました(ちゃんと返って来た)。
ほとんどの客が降りガランとした客車もなかなか乙な雰囲気でした。静かな客室でぽつーんと聞くガタンゴトンになぜかしんみりしていると呆気なくブラショフ到着。
食堂車のおかげでいつにもまして楽しい旅でした!次の記事ブラショフに続きます。