ワイルドスピードな奥さんの最適解
うちの奥さんはいつも最短距離を走る。
時短や合理性を求め、いつも走り続けています。
先日もソファとか机の角に勢いよくぶつかり……
「私の中では、そこに机はない計算なんだけど」
動きにも無駄はないが、生傷も絶えない。
そんなワイルドスピードな奥さんは、仕事に家事にと大忙し。いつも同時に3つぐらい考えごとをしています。頭は常に未来に向かっています。
話す言葉に主語がなくなったり、私の質問にまったく違う返答をしたりすることもあるある。5人もリアルに子育てしてたらしゃあないです。
そんな奥さん。使う言葉も必然的に最適化していきます。東京の地名なんか、もちろん略語です。
吉祥寺 ジョージ
池袋 ブクロ
中目黒 ナカメ
三軒茶屋 サンチャ
東京に来るまで、漫画とかドラマの中だけで使われるものと思っていましたが、本当に言うんですね。最初はびっくりしました。とにかくスタイリッシュに最適化していきます。
地名はその地域に愛着あるがゆえ。と私もツッコむことはしませんでしたが、ツッコまずにはいられない言葉との出会いがたくさんありました。
買い物へ行く道中、運転中の奥さんが言いました。
「アオカンってまだたくさんあるよね?」
アオカン?なんや?
トンチか、はっ、あれか!青缶。
「違うよ、アオカン。アオカン通りに行けばいつか辿りつくでしょ」
彼女が探していたアオカン。
ハンドルを握る奥さんが三原じゅん子に見えました。ナビに頼らず、アオカンだけで目的地に無事到着しました。
さすがワイルドスピード。でもアオカンあかんて。
今まで培ってきた言葉に加え、JKとJCの娘たちからパーリーのたびにK~P~と言わされ、新しい言葉を日々無意識にインプットしているのでしょうね。
「それイツメン?」
普通に娘に聞いています。奥さんにもJの称号をあげたいです。
あとよく最適化されるのは店名です。
ケンタッキーフライドキチン ケンタ
サイゼリア サイゼ
マクドナルド マック
セブンイレブン セブン
このへんは関西出身の私でも使うようになりました。さらに奥さんは新しい最適解を求めていきます。
「ミニップのスイーツとかどう?」
今までそんな呼び方したことないよね?ストぐらい言ってあげなよ。と思うのですが、ミニストップはもう完全にミニップです。
しかも前からそう呼んでいた。そう言いはります。
追いつけば、また離される。いつも炭治郎のような心境です。
こんなこともありました。
「ドンキー行ってみようか」
「そやね、ドンキーなら上履きあるかもね」
近くにあると夜でも安心。ドンキーホーテです。
その時、ふとある疑問が頭をよぎりました。
ドンキーはドンキーでもあっちのドンキーは何て呼ぶのだろう?気になってどうしようもなくなって聞いてみました。
「ちなみにびっくりドンキーはなんてよぶの?」
「びくドン!」
びくドン……
びくドン……
いやいや絶対呼ばんて!
あんなおいしいハンバーグを提供してくれるお店を、ギュッと握りつぶされたオニギリみたいな呼び方をしていいものでしょうか。
びっくドンもなんだか間が抜けているし、びっくりだけじゃ、よくわからないから、そもそも店名あるんちゃうんかい!と思うのです。
ツッコむと、1点の曇りもない澄んだ瞳でまっすぐ私の目を見つめながら…
「みんなそう言うよ」
さらりと言います。奥さんのみんなルールは自分含めて、あと2人いたら適用されることを知っています。でもまぁいいです。
きわめつけは先日、フードコートに行って何か食べようとなった時のこと。
「何がいいかねー?」
「ひさしぶりにファッキンもいいね」
えっ?まじ?昼からだめですよ、声がデカいですよ、姫、ひめっ!
あかん、これはあかんですよ。
そんな不名誉な最適化をされたのは何?だれ?
たどり着いた場所……
「ファーストキッキン」
「みんなそう言うよ。知らないの?」
また眉毛をピクリとも動かさず教えてくれました。
よりによって1番だめな言葉にしてより印象を深めているんだね。
って普通にあかんやろ!!
子どもたちもそのうちファッキン、ファッキン言い始めるわ。こんな感じでワイルドが行き過ぎて最適解を間違えることもあります。
いつも私に驚きと刺激を与えてくれるワイルドスピードな奥さん。奥さんはドミニク、私はブライアン。ときに取り締まりが必要です。
離されないようにこれからも後ろをしっかり走り続けていきます。
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