「Sales Night!注目のセールステック企業3社に聞く!最先端のインサイドセールス手法とは」イベントレポート
2024年9月初旬「Sales Night!注目のセールステック企業3社に聞く!最先端のインサイドセールス手法とは」と題しセールス向けの勉強会・交流会が実施されました。
登壇は、インフォボックスのCOO清水俊介、OPTEMOのCEO小池桃太郎氏、amptalkディレクターの横尾 賢氏。RECERO代表取締役の田中大輔氏がモデレータを務め、会場には50名を超える参加者が集まりました。
本レポートでは、大盛況のうちに幕を閉じたイベントの様子をお届けします。
質の高い商談を作るコツ/実践例
田中氏:
まずは質の高い商談を作るコツ/実践例というテーマで話していけたらと思います。
小池氏:
今回お集まりいただいた皆様の中にもABMを実施されている方、多くいるのではないでしょうか?
ターゲットを定め、属性情報から絞り込み、そこに最適化したコンテンツを提供していくのが基本的な流れ。量を回すことに全振りしている企業も多いと思います。
しかし重要なのは、顧客の属性と行動の両方を掛け合わせて顧客に合わせたアプローチをすること。それこそが「質の高い商談」を作るための本質的な考え方だと思います。
清水氏:
新規商談と過去接点のある商談は分けて考えるべきだと思っています。
商談創出の話をする時、新規商談をいかに取るかというところに目が行きがちだと思うのですが、大前提、一番ゴールに近いところから取りにいくべきです。その意味では、過去接点のあるお客様の方が当然提案しやすいです。
いずれにしても重要なのは、ニーズとタイミングを把握すること。
一度商談した際に、ニーズとタイミングを把握できるようなヒアリング項目をきちんと用意しておいて、その場で受注できなくてもCRMの中にそうした情報を格納する仕組みを作っておく。その上で、顧客の購買行動が変化したタイミングを見逃さないことが大事です。
例えば、「次に検討できるのは半年後です」と言われて半年後にご連絡したら、「ちょうど1ヶ月前に別のサービスを導入しました」なんてこともありえますよね。
過去接点があるとはいえ、顧客の情報は日々変わりゆくものなので、日々変化する行動ログのデータと属性情報と過去のヒアリング内容を掛け合わせて、ニーズとタイミングが一致する商談を作っていく。それこそが、質の高い商談を作る鍵なのかなと思います。
横尾氏:
やはり顧客理解がどれだけできているかが大事になると思っています。
とあるアンケートの「営業時に顧客が見ているポイントとは」という設問で、機能や料金といったプロダクトの話だけでなく「信頼できるビジネスパートナーかどうか」が上位の回答として上がっていたんです。信頼感は顧客を理解することから作られます。ですから、まず顧客理解を高めることが質の高い商談につながると感じます。
「良いリスト」の定義とは?
田中氏:
質の高い商談の前提に「良いリスト」があると思います。では、良いリストの定義とはなんでしょうか?
清水氏:
どの企業も自社ソリューションと顧客課題がマッチしたリストになるよう、自社の顧客ペルソナを意識しながら、リスト作成作業を実施していると思います。しかし、思うような成果が上がらないこともあります。その時に、きちんとリストをチューニングできるか、成果が上がらない理由をデータ・ドリブンに計測できる環境になっているかがすごく大事だと思います。
また、SaaSサービスの場合、リプレイスのターゲットが明確だったり、API連携可能なサービスをすでに導入している企業に対して提案がしやすかったりといった営業戦略上の観点もあります。リスト作成時に、そうした企業データを活用することで、よりニーズフィットした「良いリスト」を作ることができます。
横尾氏:
私たちが実施しているABMの取り組みについて少し紹介させてください。
まずリスト作成の段階で、ニーズがあるとわかっている顧客のリストと、これからニーズの有無を検証したい顧客のリストを、明確に分けています。
ニーズがあるとわかっている企業リストに対しては、一定の受注率を確保するために確実にアプローチしていき、これから検証したいリストについてはなるべく短期のサイクルで少しずつ調整をかけていく。現場のオペレーションとしても担当を明確に分け、それぞれに強みを持ったメンバーが担当しています。
田中氏:
2社とも検証というキーワードが出ていますが、もう少しブレイクダウンして「こんな形で検証を進めていくといいよ」といった具体例はありますか?
横尾氏:
例えば、検証用リストはいくつかの切り口に分けています。一つが業界別で、もう一つが連携ツール別。リストは3ヶ月に一回見直しつつ、デイリーで個別に調整しています。全てがチャレンジングなリストだと商談数がなかなか担保できないので、検証用リストの中でも少しグラデーションをつけて作っているような形です。
小池氏:
お二人のお話はその通りですし、結論LTVが大きくて決裁権者であればいいリストなんじゃないかなと思っているんですが、少し違う切り口の話をさせてください。
個人的には「成果を出しやすいリスト」が最強だと思います。チャレンジングなリストであればあるほど、そこからとれる喜びも大きいですし営業戦略上の必要性もあります。例えば100人に架電して1人繋がるみたいなことを繰り返していると、普通の人は心が折れちゃうと思うんです。少なくとも僕はそうです。
田中氏:
難しいですよね。取りやすい属性のみにターゲットを絞ると、アプローチの数がすぐに尽きちゃったりもしますし。
小池氏:
インサイドセールスには2つのスキルが必要だと思っています。1つがかぎつける能力。先ほどのチャレンジングなリストもそうですが「このセグメントいけるよね」というのを見つける力がとても大事です。マクロな数字もそうですが、ミクロで見た時に「この企業行けるんじゃないか?」と感じとる力も同じく必要ですね。
もう一つが、IS業務の前後工程に踏み込んでいく力です。業務範囲を縛っているのは、案外自分だったりもします。マーケに声かけて、広報に声かけて……。そんな風に少し視野を広げるとアプローチ対象がガッと増えることはよくあります。だからこそ、自分で自分の業務内容を限定せず、前後の工程に踏み込んで自らリストを増やしていく姿勢が「良いリスト」を作るために重要なのではないでしょうか?
データを駆使した最新のインサイドセールス手法
田中氏:
本日3つ目のお題は「データを駆使した最新のインサイドセールス手法について」。本日登壇いただいてるみなさまは、セールステックベンダーとして日々顧客のセールス課題に向き合っていると思います。それぞれの切り口で、どのようにインサイドセールスの成果を最大化していけるかについて、話していきましょう。
横尾氏:
私たちの提供しているamptalkというサービスでは、ウェブ会議やインサイドセールスメンバーの電話を自動で書き起こし、ログを残せます。これによって、議事録を細かく書いて要約するといった周辺業務を減らす効果があります。また、それらのログには各部門から横断的にアクセスできます。例えば、インサイドセールスのメンバーがフィールドセールスの商談記録やカスタマーサポートの活用支援mtgの記録を確認することで、顧客解像度は圧倒的に上がりますよね。
組織を縦割りにしているのは会社都合ですが、お客様からすると一つの購買体験。だからこそ、インサイドセールスからフィールドセールス、カスタマーサポートまで一連の流れに溝が生まれないように、顧客との接点を客観的に振り返り、顧客解像度を高めることが、インサイドセールスの成果最大化には重要だと思います。
清水氏:
私たちインフォボックスは、元々営業代行会社として事業をスタートしました。そのときにリストの上から下までかけるといった、とにかく量をこなすスタイルも経験してきましたが、お客様にとっても、自分たち売り手にとっても、「良い購買体験」とは言い切れるものではなかったと思います。
今は、AI等の活用も進み、あらゆることが自動化できる時代。データの活用を一歩間違えると、買い手の望まないコミュニケーションが大量に生まれてしまいます。だからこそ、買い手側の目線に立ってバイヤーエクスペリエンスをいかに高めていくかがすごく大事だと思いますし、それができる会社がセールスの強い会社であり、業績を伸ばすことは間違いないです。
また、最近の文脈の中で大きな変化だと感じているのが、外部データも使えるようになったこと。これまでは、自社のCRMに蓄積してきたデータやメルマガの開封履歴など、買い手側から仕掛けた施策に対する反応を、顧客データとして活用してきました。もちろんそれも大事ですが、買い手のウェブ検索ログやキュレーションサイト内での動きも、購買のニーズとタイミングを見極めるのに非常に重要なデータです。
こういった顧客起点のデータも活用することで、検討中の企業に、適切なタイミングでアプローチでき、バイヤーエクスペリエンスが向上すると思います。
データは掛け合わせで使って意味が出てくるものですが、様々なデータを管理して活用するのはそう簡単にはいきません。だからこそ、infoboxのような新しいサービスを活用して顧客の状態を可視化していくことが大事だと思います。
小池氏:
短期的な話をすると量をやれば勝てます。しかしそういったパワープレイでは、人材は定着せず、ノウハウも蓄積しません。中長期的な目線で考えた時には必ずデータが必要です。
個人的にはインサイドセールスの方はマーケティングを勉強するべきだと思っています。マーケティングを知れば知るほど自社にデータがあったりするんです。正しいデータや筋の良いデータを見つけるためには知識が必要です。データに踊らされず、データを使う側になるために、マーケティングの知識は非常に有用です。
田中氏:
セールスとしてのデータ活用に、マーケの知識は必須ですね。
またバイヤーエクスペリエンスを起点としてデータ活用を考える視点も大変参考になりました。
みなさま、ありがとうございました!
セッションが終わり、交流タイムへ。
セールスとして同じ課題感を持つ人々が集まったこともあり、業界の垣根を超えて交流を深めていました。
今後もセールス向けイベントを実施していく予定ですのでお楽しみに!