見出し画像

#12 HR担当が企業ビジョンを型化してみた


1. 企業のビジョンには "型" がある

企業のビジョンは単なる目標設定ではなく、企業の組織文化や方向性に深く関わります。
この「型」を明確にすることは、企業が掲げる目標や価値観を内部と外部にわかりやすく伝える上で大変重要です。
ビジョンにはそれぞれの企業が何を成し遂げたいか、どのように社会に貢献したいかが表現されています。ビジョンの「型」を定義することで、異なるビジョン同士を比較し、企業の本質や長期的な目標をより的確に把握できるようになります。

それはまた個人のキャリアとも深く紐づきます。
自分が何を成し遂げたいのか?
5年後、10年後にどのような自分でありたいのか?
その会社で、何を得たいのか?

こうした問いに対して、企業のビジョンを捉えることは非常に重要です。
今回は、企業ビジョンを3つに分類して特徴を考えていきます。


2. ①目標ドリブン 型

目標ドリブン型の企業ミッションやビジョンは、特定の目標に向かって明確で強い意志を持って突き進むことを目指します。
強力なリーダーシップのもとで、ビジョンを明確に持ち、その達成のために組織全体が努力する土壌を作ります。目標達成に向けたステップを逆算して、日々の業務や戦略が構築されるため、実行段階での迷いが少なく、効率的に行動できるという特徴があります。
社風や文化も目標設定を重んじた、高い志を持ち、挑戦的な価値観が育まれている印象です。

「21世紀を代表する会社を創る」
株式会社サイバーエージェント

「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」
株式会社メルカリ

「『はたらく』を通じて 人生の可能性を広げるインフラをつくる」
株式会社タイミー


3. ②共感コミュニティ 型

共感やつながりを重視する型で、受け手に向けたメッセージ性が強い表現が特徴です。この型のビジョンは、顧客や従業員が共通のビジョンに対して共感しやすく、集団的なアイデンティティ形成に寄与します。
「~を」「~に」「~へ」で終わる(格助詞止めの表現)ミッションは、訴求型に分類できます。こういった表現は、広告キャッチコピーで頻繁に用いられますね!
格助詞で終わる文章は、主語や動詞が曖昧で文法的に自由であるにも関わらず、変化や方向性に余韻を残しながら必要な情報を伝えることができる不思議な構文です。
解釈の余白があるが、目指すべき方向性は統一できる。
1つのミッションに共感していて、それぞれ異なる価値観や個性をもち、フラットでコミュニティあるいは共同体のような組織体系になる。
受け手を自由にするからこそ、多様性に富んだコミュニティをつくり上げることができるのです。
※次回はこの格助詞表現について詳しく述べます!

「一人ひとりに 想像を超えるDelightを」
株式会社DeNA

「スモールビジネスを世界の主役に」
フリー株式会社

「お金を前へ。 人生をもっと前へ。」
株式会社マネーフォワード


4. ③軍事集団 型

軍事集団型では、強固な組織力や戦略的行動を重視し、組織の秩序や効率性、目標達成のための実行力が前面に出ます。価値観や行動指針も細かく体系化されていて、ある種ルールのような形で設計されています。
軍事集団型は、明確な指揮系統とルールがあることで、メンバーが効率よく動きやすくなり、全体が同じ方向に進むため、短期間で大きな成果を上げやすいです。
しかし、厳格なルールや命令系統が優先されるため、メンバーが自主的にアイデアを出しにくく、革新や柔軟な対応に欠ける可能性があります。
環境が急激に変化した場合、規律を重んじるあまり変化に対応しにくくなることがあります。

食足世平「食が足りてこそ世の中が平和になる」
食創為世「世の中のために食を創造する」
美健賢食「美しく健康な身体は賢い食生活から」
食為聖職「食の仕事は聖職である」
日清食品株式会社

・すべてのお客様から選ばれるパートナーであり続けます
・持続可能な成長により、市場で勝ちます
・常に学びながら成長します
・コカ・コーラに誇りを持ち、誰もが働きたいと思う職場をつくります

コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社

  1. 安全運航を使命として、社会に役立ち評価される存在となる

  2. お客様の思いを真摯に受け止め、チャレンジ精神を忘れず、広くアンテナを張り、社会環境の変化に機敏に対応することで、良質かつ特色あるサービスを提供する

  3. お客様へのサービス提供者である社員を尊重し、社員が互いに協力しあい、誇りを持って働ける環境と企業風土を築く
    スカイマーク株式会社


5. 自分のキャリアに、ビジョンを持つ

「やりたいことがわからない」
「自分の好きなことが見つかっていない」
「就活は何から始めればいいかわからない」

このような悩みを抱えている人はたっくさんいます。
これが悪いわけでもないし、大半の人が苦しんでいる事実があるだけ。
ONE CAREERのESを真似して他人の想いを自分にコピペしたり。
とりあえず色んな業界の企業説明会に参加してみたり。

明確じゃなくてもいい。
抽象的でもいい。
どんな人生を送りたいのか?
未来への実感が湧かなければ、今なにが1番ココロオドルのか?
それはなぜなのか?
自分自身の言葉で、ビジョンと価値観を書き殴る。

そこから、企業ビジョンの型とそれぞれの企業を照らし合わせて、マッチングを図る。
それが本当の意味で、"カルチャーマッチ" することだと考えてます。
逆に、自分の中に自らの言葉がなければ、カルチャーマッチは発生しない。
つまるところ、就活とは自分の言語化なのです。

>>>次回へ続く

いいなと思ったら応援しよう!