そんなことも知らないの?
これ、一番嫌いな言葉かもしれない。嫌なことはすぐに忘れる性分なので探せば他にもありそうだが、今は暫定一位ということにしておこう。
過去に漢字の読めない政治家がバカにされたりしていたが、誰にだって読めない漢字くらいあるだろう。あるいは、たまたま間違った覚え方をして、たまたま正す機会がなかった。それだけのことだ。
たとえば小学生でも知っていることを知らないのは恥ずべきことなのか。みんなが知っていることを知らないのは揶揄されるほどのことなのか。
勉強を怠けていた可能性はある。能力が低くて身につかなかった可能性もある。怠惰や無能に仕事を任せたくない気持ちはわかるが、ひとつ間違えただけで断定するのはまだ早い。あと、怠惰や無能を罵っていい理屈もない。
知っている人にはそんなことでも、知らない人には大層なことなのだ。人の数だけ人生があって、歩いてきた道によって得られる知識に差がある。そんなことに出会わなかった人に向けてこの言葉を投げつけるのは、その人の人生をまるごと否定することに等しい。
無知であることに過度な引け目を感じる必要はないと思う。
知らなかったら知ればいい。知識のビハインドは一瞬で取り戻せる。