罪と悪
↓前回のつづき
たまに有名人が違法薬物の所持で捕まったりする。法に触れることをしたのなら捕まるのは当然で擁護するつもりはまったくないのだが、その有名人が悪人扱いされているのを見ると温度差を感じる。
たとえば窃盗犯は悪人だと思う。被害者が明確だからだ。自分の持ち物が盗まれればどんな気持ちになるのかは容易に想像できる。他人をそんな気持ちにさせるのは僕の感覚では悪だ。
でもドラッグは違う。
所持しても使用しても直接的には誰も傷つかない。幻覚作用で他人に害をなす可能性があるとしてもそれはまだ起きていない。常習性があって薬物欲しさに犯罪を引き起こす例が後を絶たないのだとしても一旦は未然に防がれたのだ。
大目に見ろと言いたいのではない。取り締まりのおかげで治安が守られているのはわかっている。これからもじゃんじゃんバリバリ捕まえてあげて欲しい。
ただ、彼らを悪人扱いすることは僕には出来ない。悪人と犯罪者は似て異なる。すべての悪人が犯罪者とは限らないし、すべての犯罪者が悪人とも言い切れないだろう。
ダメだと知りつつやってしまう心根を「悪」と呼べなくはないが、それにはもっとふさわしい形容がある。「弱い」とか「拙い」である。これを悪とするならほとんどの子供は悪人になってしまう。
↓次回につづく