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満足できない身体(前編)

一度味わうともう他のものでは満足できなくなる

という言い回しがある。エッチな話ではない。べつにそれでも構わないが、要は今まで良いと思っていたものがより良いものを知ることで良いと思えなくなる現象を指す。

健全に味覚の話で例えると、一度高級ブランド肉を食べたらスーパーの安い肉が食べられなくなるみたいなことだと思われる。僕はこれにまったく共感を覚えない。

すごく美味しいものを食べたくらいでそれまで美味しかったものが美味しくなくなるなんてことがあるのだろうか。

新しい食体験が自分の中で星5つの評価だった食べ物を越えてくることはあり得る。そのときは星6つをつけるだけだ。便宜上、5つに収める必要があるなら以前の評価を星4に修正するが、美味しくなくなったわけではない。

感動で咽び泣くほど美味しい星50が現れても以前の星5は星0.5に変わるだけで決してマイナスにはならない。マイナス評価は最初からマイナスだった場合しかあり得ないのである。

美味しくないものを我慢して食べることはあっても、それを美味しいと錯覚しながら好んで食べる状況がいまいち想像できない。美味しいものはいつだってそれなりに美味しいのだ。

と、ここで間違いに気づいた。

↓つづく