【感想】パッヘルベルのカノン
クラシックにも音楽理論にも詳しくないので、対位法とか、コード進行とか言われてもポカンとするばかりだが、パッヘルベルのカノンについて語りたい。ジョージ・ウィンストンさんのアレンジを聴いて、ふと気付いた。
これは僕にとってエンディング曲なのかもしれない、と。
繰り返されるメロディーに連綿と続くありふれた日常を想う。
折り重なるハーモニーにゆるやかな人との出会いを想う。
波乱万丈の生活は求めていないし、濃密な人との関わりも望んでいない。ただ、平穏な毎日があればそれでいい。
もちろん、生きていれば多少の波風は立つし、人間関係の後悔もあった。でも、それらを含めて満足の行く人生だった。べつに今日明日に死ぬわけではないが、何十年か先の自分もずっと同じ気持ちでいるだろう。
穏やかであるからこそ、いつまでも続くように思える。それは僕の望むところでもあり、望まないところでもある。ささやかな幸せを大切に思うこの気質が、そんなにたくさんの宝物は抱えきれないと言っている。
さみしいような、嬉しいような、切ないような、満たされるような、複雑な感情が曲に合わせて浮かんでは消える。
永遠に続く曲はない。繰り返されるメロディーが終わる時、僕は何を想うのだろうか。