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まっすぐな道

↑前回まで続いた「科学とオカルト」の最終回。

オカルトを信じる人よりも、否定する人のほうが理知的に見えていた時期があった。分別のある大人は、超能力や心霊現象を否定するものだと思っていた。いずれ自分もそうなるのだろうと想像しながら歳を重ねてきた。

はたして今に至る。信じてはいないが、完全に否定することもできない。結局のところ、これは悪魔の証明である。地球上のすべての自称超能力者が手品だと認めても、超能力が存在しないことの証明にはならないのだ。

むしろ悪魔はいないと言い切れる人に危うさを感じる。

存在するかどうかは「わからない」が一番冷静でまともな回答だと思うが、彼らはそれを頑なに拒んでいるように見える。悪魔を拒んでいるのではない。「わからない」こと自体から逃れようとしている。

わかったつもりになって安らぎを得たいのは他人の勝手だ。しかし、そのエゴが別の誰かを傷つけるなら、分別のある大人の行動としては似つかわしくない。

悪魔を否定して傷つくのは悪魔だけだとしても——
ニセ霊能力者が断罪されるのは自業自得だとしても——
真偽の定かではないオカルト能力者を否定するのは人の道からも探求の道からも外れている。

僕が欲しいものはたぶん真っ直ぐ行った先にある。