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絵は祈り 佐藤美術館「ゆうゆう会日本画展」に寄せて

本日は、佐藤美術館での「ゆうゆう会 日本画展」に。

こちらは、京都芸術大学 通信の卒業制作・修了制作をベースとした展覧会です。

卒業制作は100号前後、修了制作は150号前後。皆さんが半年以上かけて制作された渾身の大作ばかりです。大きな作品だと、縦162cm×横227cmあり、大変見応えがあります! 遠くから全体像を見たり、近くに寄って観察したり、じっくり楽しみました。

さまざまな年齢、地域、バックグラウンドの面々が集まる通信制らしく、モチーフも描き方も様々。それぞれの世界のある展示です。

まだ卒業していない私も、実は絵を一つ出しております。

大学の日本画制作の授業で、S5サイズの百合の絵を描いたのですが、それを、お寺などの天井画のようなイメージで、敷き詰めて飾っているコーナーがあるのです。そこに参加をさせてもらいました。

上から3列目、左から4つ目が吉田の百合です


今回、皆さんの絵を見ながら感じたのが、

絵を描くというのは、とどめておけないものをとどめておこうとする祈りなのだな

ということです。

例えば、空が見せた一瞬の神々しい輝き。

変化・成長していく家族が、ほんの短い間だけ見せる顔。

そうした、たちまち失われてしまう映像を、何とかとどめたい、見た目だけでなくその空気感までもとどめたい、そんな切実な気持ちが絵筆をとらせるのだと、皆様の絵を見ていてしみじみ思いました。


思えば、私自身の絵にもそういうところがあります。

いちじく。柔らかくてみずみずしくて美味しそうな姿をとどめたくて描きました。透明水彩。
北海道のさくらの滝。激しい流れに抗しながらはねるサクラマスに胸を打たれ、命の輝きをとどめたくて描きました。


これから卒業制作に本格的に臨みます。

私が描くのは物語のなかのワンシーンですが、いったいどんなシーンを掴み取り、保存したいのか、よくよく考えながら、祈りを込めて描きたいと思います。


まずは皆さん、12日までの佐藤美術館(千駄ヶ谷・信濃町)での展示、ぜひお運びくださいね!

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三鷹古典サロン裕泉堂/吉田裕子
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