2019/12/13の #なのか鼎談 に行ってきたので自分的レポートと感想
2019年12月13日、今の常駐先の都合で強制的に定時退出をしなきゃいけない状況になったので、ボードゲームマニアの旦那さんと一緒に、行ってみたかった「これはゲームなのか?展」に行ってきました。
旦那さんは「定時に帰れるかわかんない」とのことだったので最初は一人で行こうかと思ってたのですが、結局無事に帰れることになったので合流。どうせなら私より旦那さんが行ける方がいいと思ってたのでよかったよかった。
展示もですが、どちらかと言えば私はギャラリートーク( #なのか鼎談 )が聞いてみたくて行った感じです。
この日のトークは、
深津貴之さん
ミヤザキユウさん
佐々木隼さん
が登壇して「ゲームとUX」というテーマで語り合う、ってことだったので行ってみたかったのでした。
1)一応私とボードゲームの関係を書いておく ※早く鼎談を読みたい方はここはスルーしてください
ところで最初に一応私のボードゲームスペック?などを書いておきますと…
元々人生でそんなにゲームをやる方ではなかったと思います。任天堂さんともサッパリ縁がないし(スーパーマリオというゲームがもう絶望的にうまくできない)、ドラクエ?とかバイオハザード?とかそういう有名らしいゲームも全くやったことがありません。
ボードゲームについては全くその世界の存在さえも知らず、旦那さんとお付き合いをはじめてから「ボードゲームって知ってる?」って聞かれた時「は?人生ゲームとか?」って思ったクチです。
(ただ「放課後さいころ倶楽部」を読む限りではこの反応って割と日本で一般的なものなのかも?と思える)
で、イエローサブマリン(ボードゲームショップ)にはじめて連れて行ってもらって「こんな多種多様な広く深い世界だったのかー」と驚愕した次第です。
そして一緒にいろいろゲームするようになり、今では「ある程度ボードゲーム関連の知識はある」という状態です。
とは言っても旦那さんのようにマニアックにボードゲーム世界を探求したいという程の情熱ではないかな、という感じ(すみません)。
ただ、元々「知的ゲーム」に対する興味と憧れはあるタイプだったんじゃないかと思います。
子供の頃は囲碁に憧れて本読んだり勉強したりしてました。結局実践で打てるレベルにはならなかったけど。
囲碁・将棋あたりって「ルールを理解する」と「実践する」の間にすごーい高いハードルがあると思うんですよね。私はそもそも「初手」が全然わかんなかった&納得できなかった。「四隅のどこかに置け」と言われても「いやそんな四隅って言ったってそこそこ選択肢あるけど?その中のどこを最初にすればいいの?全然わかんないよー!」という辺りから先に進めず…という感じでした。
そこをクリアする為にはすごい修練が必要で(と私には思える)、そこまでするほどの情熱はなかった。という感じです。それ以上にビーズでなんか作るとかの方が実際楽しかった訳だし。
そんな感じで「知的ゲーム」に憧れがありつつも諦めていた私にとっては、ボードゲームは「囲碁・将棋よりハードルが低く知的ゲームを楽しめる」ツールとして丁度よかったのかも…という感じです。
更に、ツイッターの方でも書いたりしてますが、私はビーズアクセサリー作りとか手芸とかが大好きで、そして更に数学にも興味があって、その辺りから「音楽と数学と文様」を人生のテーマにしているのですが、そもそもボードゲームはその辺りとも関連が深かった。
いくつかボードゲームを体験してみて「なんかちょっと数学の香りがする気がする」と旦那さんに言ったら「ライナー・クニツィアっていう有名ボードゲームデザイナーがいるけど、確か数学の博士号かなんか持ってたよ」とのお言葉が。
「やっぱり数学とボードゲームかなり関連深いよねー」と思い、数学の勉強をしつつこの辺りを探求したいなあなどと思ったりしてます。
それから、手芸好きの身としてはボードゲームのコンポーネントが魅力的だった!ホントやっぱり最初はそこに目が行きましたね。
まさかこんなにきれいだったり可愛かったりするあれこれがゲームの道具としてあるとは想像もしていなかったのでキャー!ってなりましたよ(いい歳でキャーとか言ってすみません)。クラフト感があるテーマのゲームやそのカード・コンポーネントは特に魅力的。
そんな私が好きなボードゲームは例えばこんなの。
アズールは最初にどこかのツイッターで(確かリトルケイブ高円寺店のアカウントだったような…)見た時からその美しさに驚愕しました。そして実際にプレイしてみたら面白かった!
なんか「見た目やストーリーにクラフト感があって、ルールはシンプルでどこか数学パズルっぽいような要素があるもの」みたいなのが好きみたいです。基本文様大好きなので、模様合わせみたいな要素があって戦略性もある、みたいなゲームが好きかも。
でも、全然方向が変わって「DIXIT」みたいなのも好き。
ディクシットはねえ…最初にプレイした時は衝撃的でした。「この仕組み考えた人天才じゃない?」とホントに思った。対戦形式のゲームとは全然基本思想が違うんですよね…、とにかく衝撃的でした。そしてカードの絵柄が魅力的なのもポイント!
旦那さんは完全重ゲー好き派ですが、時には「こねこばくはつ」みたいな気楽で楽しい感じのもやりたがります。
私は重ゲーは…、多分「ルール把握」という重ゲー最大の難関をクリアできれば割と好きかも知れません。「サイズ-大鎌戦役」は難しいし時間かかるけど本当に興味深く面白いと思いました(ただルールを説明してもらってプレイしたことしかなく、自分でルールブックを完読したことはまだない…)
あと、何気に「アクセサリーを作ること自体がゲームになっている」というのも存在しているのですよねー。この辺りは「アクセサリー作りはどこか数学っぽくもある」という持論と関連性がある気がしていて(多分)もっと探求したいところです。
そして!ボードゲームは何気に石や宝石がコンポーネントになってるものが多い!まあ実際はプラスチックで石を模している訳ですが、とにかくそういうゲームは多い!アクセサリー作りから天然石マニアに移行していった私としては、この辺りは「なぜ人間は石に魅力や時に不思議なパワーを感じたりするのか」という私が探求しているテーマと関連しているような気がするので、その辺りもボードゲームの興味深いとこです。
…そんな感じで、旦那さんのようなマニアじゃないけど、自分なりの視点でボードゲームに興味を持っているのでした。だから今回のトークも聞いてみたかった。
深津さんは主にツイッターで見てて「なんだこのものすごく頭の良い人は!」と思っていたらやたらボードゲームの話を呟いていて「何気にボードゲーム好きな方だったのか!」と思い、ボードゲームについて何を語るのか聞いてみたかった。
ミヤザキさんは深津さん経由で知って「こんな面白い仕事してる人もいるんだなー」と思ってよくnote記事も読んだりしていました。
佐々木さんは…、申し訳ないのですが全然存じ上げなかったのですが「え?あのちっちゃい箱のかわいいゲームをたくさん出してる会社の人?!うちに旦那さんが買ったゲームいっぱいあるよー!うわー!」ってなりました。
そんな豪華メンバーだったのでお話を聞いてみたくなり、うまい具合に定時退出の日とタイミングもよかったので行ってみたのでした。
…前置きが長くなってすみませんが、メモを元に鼎談を再現してみます。細かい点とか誰の発言だったかみたいなところでの正確性は下がるかも知れませんが、大枠はそんなずれてないと思います…。
※ちなみに記録中に()で囲われている部分は私個人の感想とかです。
2)会場で面白かったゲームは? ※ここから鼎談レポートです
司会:会場で面白かったゲームは?
ミヤザキ:ここで話を聞いているみなさんはできないと思いますが「城のゲーム」が面白かったです。プレイヤーをおちょくる感じがいいですね。おちょくられるの好き。
(トークイベントをやる部屋で他の時間にやってたゲームらしいです。私もやってないので詳細はわかんないです。すみません)
深津:展示されているものがゲームというよりもメディアアート、現代アートみたい。ゲームの一要素、ゲームの物理的側面を取り出して、それでもそれはゲームとして成立するのかどうか、という試み。
3)そもそもUXってなんですか?
司会:そもそもUXってなんですか?説明をお願いします
深津:ユーザーエクスペリエンス、日本語ではユーザー体験。サービスに出会って、人間がそれを認識して忘れるまでの時間の間に人とサービスの間に起きたすべて。
ISOの定義だと
1.事前のUX:実際に触れる前の広告?とかSNSでの情報みたいなの。例「iPhoneよさげだな」
2.実際に触れているときのUX。例「実際にiPhone使っているとき」
3.触れる中でエピソードとして生まれた体験。例「iPhone使ってこれこれこういうことがあった」
4.1~3の総体的なイメージ。例「やっぱりiPhoneいいな」
これってゲームの全部じゃん!っていう
佐々木:ボードゲームの要素も同じ
・ゲームに実際に触れる前の期待
・実際にプレイしているとき
・プレイした後の記憶
本当はこういうことを意識してボードゲームを作るのがとても大事だけど、実際はなかなかそこまで考えられてはいないのでは?
ボードゲームのコスパと呼んでいる4要素があって
・ゲームを購入する価格
・保管する場所
・プレイする時間
・一緒に遊んでくれる人を集める
このコストの合計を上回る面白さがあるゲームを作らないと遊んでもらえない。
ボードゲームを作る人はどうしてもストーリーメインになってしまう傾向があるのでは。
(このあたりから「どうやって作ったボードゲームを認識してもらうか」「認識してもらうためのUXはどんなもの?」みたいな話になってったんだと思う。確か…)
深津:自分の業務、WebサービスのUX設計とかで考えることをボードゲームに合わせて言えば
・SNSとかで流れてきたゲームの情報を見る
・実際に遊ぶ
・遊んだことをSNSにアップしたくなる
こういうようなポイントをチェックリストにして、構築したサービスがこれらのポイントを満たしているか、というようなことを何度もチェックする。例えばnoteのお題だったら一部のマニアが書きたくなるようなお題じゃなくて誰でも書きたくなるようなものを考える。更に、お題自体が「こんなお題があるんだねー」みたいにシェアしたくなるようなものだと尚良い。
ボードゲームだったら箱を開ける前からのわくわく。
あとプレスリリースを読むとアマゾンで商品の詳細を確認したくなるとか、そういう感じを目指すとか。
(うちの旦那さんはボードゲームの箱眺めるだけで楽しんでるし、「このゲームは箱を見るだけでもう面白いとわかる」とか豪語したりするし、箱を開けること自体が「開封の儀」でワクワクのエンターテインメントになってるんだよねー)
ミヤザキ:ゲームを作ることは体験を作ること。遊んでもらって、その感想をどこかに投稿してもらえたらそれが広告になる。
深津:麻雀のレアな役(?すみません麻雀知らなくて…この用語であってます?)とかだったらシェアしたくなるよね。
「実際にプレイしてもらう前の時点で魅力を感じてもらう」ことが大事。
例えばゲームマーケットはあれはお祭りで各ブースは屋台。どうやって屋台に注目してもらうか。なんかいい匂いをさせるでもいいし、音楽かける?目立つゲームを全面に出す?
佐々木:深津さんだったらどうやって注目してもらうんですか?
深津:それはどこまでリソースをかけていいかによって変わるけど…
佐々木:理想的にフルリソース使えるという想定で
深津:だったらもう半年前からはじめる。ゲーム作成ブログ書くとか。ゲーム作成プロセスにユーザーを巻き込む。「あのゲーム俺が育てたんだぜ」的な感覚を持ってもらう。SNSを活用するの大事。でも仕込みにリソースかけすぎてゲームが面白くなかったらダメだけど(笑)
「ゲームマーケットで買うことがもうゲームの一部」になるといい。同じゲームでも複数パターンのものがあって、買った人同士が情報交換できるような?
4)ゲームのUXで困ったことは?
司会:ゲームのUXで困ったことってありますか?
佐々木:説明書のUXですね。ここをどう乗り越えるかの正解がまだわからない。
深津:こないだGUILDでゲームやってたんだど、ルールブック読んでたら終電の時間になってしまった。最近はYoutuberさんがボードゲームの説明とか実況とかしてくれて、あれはだいぶ貢献しているのでは。
佐々木:あと漫画もいいですよね、なんでしたっけ、15巻ぐらい出てるボードゲームの漫画
司会:放課後さいころ倶楽部
佐々木:漫画だと読んだ時点である程度ゲームのルールも頭に入ってるから入口としていいですよね。
ミヤザキ:「究極の選択-いい質問だ」っていうゲームの説明書が好きなんですよねー
(ゲーム説明のUXは話題に出てこなかったら質疑応答で聞こうかと思ってました。ホント、ボードゲームの最大の難関はルール把握な気が…。ルール説明書もなんかわかりづらいのがホント多い。そして放課後さいころ倶楽部はやっぱり偉大だ)
5)メカニクスから作るかテーマから作るか
(すみませんこの辺りはどういう流れでこういう話が出てきたのかよく覚えてなくて、とにかくメモを元に書きます)
ミヤザキ:体験をゲームにする、体験自体がゲームになる、ってどんな風にすればできるんだろう。
深津:「はあって言うゲーム」は割とそんな感じかも?あと「スコットランドヤード」とか
佐々木:ゲームをいったん世に出すと改善点が見えてきて直したくなる。
ミヤザキ:ボードゲームはデジタルゲームと違って一部バージョンアップとかができないのが大変。
佐々木:テーマはゲーム全体を底上げする。ボードゲーム作る人には大きく分けて2タイプの人がいると思っていて、メカニクスから作る人とテーマから作る人の二極化が進んでいる気がする。自分はメカニクスから入るタイプなんですけど、お二人はどうですか?
ミヤザキ:自分はテーマから考えることが多いですね。Webで面白い記事を読んだりすると「これをゲーム化できないかな」とか考えたりする。
深津:自分はまず「体験してほしいこと」があり、そこに使いたいメカニクスを乗せていって、最後にテーマですかねー。テーマが最後だから完成するまでゴールがよくわかんないという問題が発生する。
「SNSで人気者になろう」なゲームとか?を考えたり。「冷蔵庫に入った写真載せる」みたいな派手な大技でフォロワー増やすのもあり、地道に増やすのもなんでもあり。でも大技を使うのはリスクがあるようなルール。
佐々木:炎上しちゃうとかね
ミヤザキ:そのゲーム面白そう。作れそう。でもそのゲーム作っちゃうと「作った人がフォロワーこんだけなのはなんでだ」とか言われそう。
深津:ダイスをたくさん使うゲームとか作りたい。お金をたくさん出すと得点が稼げるけど、お金沢山出したらたくさんダイスを振らなきゃいけないルールにしとく。そして「6が出るとアウト」にして、たくさんダイス振るとそれだけ6が出る確率上がっちゃう、みたいなの。でもそのゲーム作るのにはダイスがたくさん必要。
(えーと、「n個のさいころを振ったときに6の目が1つ以上出る確率」は「1-(n個投げて一個も6の目が出ない確率)」かな?
n=1 1-5/6
n=2 1-(5/6*5/6)
n=3 1-(5/6*5/6*5/6) …って続くのかな。
「1 - (5/6のn乗)」で、nが増えるほど右辺が小さくなるので確率は大きくなってく…であってる?)
6)ボードゲームについて思っていること、好きなこととか
司会:ボードゲームについて思っていること、好きなところ、などありますか?
ミヤザキ:佐々木さんが「賭ケグルイ」の中で出てくるボードゲームをデザインするお仕事をされていて、これはボードゲームデザイナーの新しい活躍の形態だと思った。ゲームのポテンシャルはまだまだある。
佐々木:ゲームを作る能力は汎用的だと思う。インセンティブを考える能力だから。だから例えば法律を作る人の中にボードゲームデザイナーがいるとか、学校に一人ボードゲームデザイナーがいるとか全然ありうると思う。
深津:ボードゲームやってて非常に自分の仕事にも役立つ、勉強になるなあと思うのは「時系列でユーザーの体験が変わっていく」こと。Webサービスだと1つの画面のデザインやPVにやたらこだわってしまうような人がいたりするけど、それは本当はよろしくない。本当はもっと全体的な体験を考えるのが大事。良いゲームは全体で時系列のバランスが取れる構造になっている。そこがとても勉強になる
佐々木 :ゲームを作るとき「感情グラフ」のようなものを考えて作る。まず最初グーンと盛り上がって、いったん落ち着くタイミングがあって、また階段状にどんどんテンションが上がっていって、最後拡散する、みたいな。1つの物語を作るということ。フランス料理のフルコースみたいなもの。途中に箸休め的なものがあったり。
深津:中盤でひっくり返せるような仕組みがあるのいいよね。早めに1位が決まってしまってひっくり返せないのはつらい。1位の人が抜け出ても、2位以下の人がそれを引きずりおろせる仕掛けがあるとか。
佐々木:アメリカのゲームとか1位が決まってひっくり返せなくてそこからが長い、みたいなのがあったりするんですよー。あれはちょっと…。
(佐々木さんが考える感情グラフってこんなのかしら…?)
7)UXがいいゲームは?
司会:「あのゲームのUXいいね」みたいなのありますか?
ミヤザキ:ボードゲームじゃないんですけど、ポケモンのUXはいいですね。
深津:自分はディクシットは好きですね。 普通のゲームは「強さを競う」的なものが圧倒的。強さとかの色々なパラメータがあって、その得点の序列で勝敗が決まるパターン。でもディクシットは違う。あれは全員に当てられるのはダメだけど、誰にも当ててもらえないのもダメ。その中間あたりをウロウロさせる。両端をバサッと切ってしまう。
佐々木:ディクシットは一世を風靡しましたよね。あれはもう1つのジャンルを作ったと言ってもいい。その後この仕組みを踏襲したゲームがたくさん作られた。ジャンルを作れたら最強だよね。
深津:人が死なない人狼ってできないのかと思う。初日deathをやめたい。
佐々木:マーダーミステリーまだやってないんですけど、そこが改善されているらしい。
ミヤザキ:やっぱり人狼は強いですよね!頭いいアピールができる。「他者のウソを見抜けたぜ」みたいな快感と、それがアピールできる嬉しさ。
深津:相互作用があって、意思決定が重いゲームが好き。「重い」っていうのは「それが勝敗を大きく左右する」ということ。リソースマネジメントが大事なゲーム。ディプロマシーはそんな感じのゲーム?
8)生活の中のゲーム
司会:生活の中でゲームだと感じることってありますか?
佐々木:人間が勝手にゲームをデザインしてしまう本能、みたいなものに興味があります。例えば子供が横断歩道を渡るとき「白いとこしか踏んじゃいけない」みたいなルールを勝手に作ったりするのが興味深い。
ミヤザキ:入場料を決めるゲームとかもできるんじゃないですかね?
深津:脳の仕組みを逆手に取るゲームみたいなのを作れないか、とか考える。例えば人間の脳は四則演算はいいけど比率の理解が難しい。だから比率がいっぱい出てくるゲームとか。
あと人間は脳の仕組みとして短期的な利益を優先してしまう。長期的にやればAの方が利益が出ることが分かっていてもすぐ利益が得られるBの方を選んでしまう。だから「ダメージを食らいながらも長期的な利益を得る」みたいな構造のゲームを作れば、それによってみんな学習できる。
佐々木:人間は期待値を誤解しますからね。海底探索でもみんな「何とか地上に戻れるだろう」みたいな勝手な期待をして後のこと考えずに潜って戻れなくなったりする。
ミヤザキ:なんか「3の目が一回くらいは出るだろう」みたいな勝手な期待をするんだよね
9)ゲームに利用できそうなジャンル
司会:ゲームに利用できそうな有効なジャンルってありますか?
ミヤザキ:僕は数学がいいと思う。数学は言語による制約がない。世界中で「1+1=2」が成り立つ。数学とか物理学を利用したゲームとか良さそう。
佐々木:最近は盆踊りの仕組みに興味がある。あれをゲームに応用できないか。盆踊りはスターになりたい人は櫓に上って踊ればいい。でもそこまで積極的に参加したくない人はちょっと離れたとこでゆらゆらしてればいい。なんなら屋台でなんか食べたり。
そういうような、参加意欲にはグラデーションがあるけど、でもみんなそれぞれ楽しいみたいな、そういうゲームを作れないか。みんな自分なりの参加の形で楽しめるようなゲーム。
10)うまく行ったUX
司会:過去のゲーム作成でうまくいったUXってありますか?
ミヤザキ:小さいゲームを作ると、ゲームを積んだ時上の方に積んでもらえる。そうすると遊んでもらえる機会が増える、というのはある。それを意識して作ったわけじゃないけど、結果的にうまく行った。
佐々木:自分が好きで「小さい箱、統一感のあるグラフィック」みたいなのを作り続けていたらそれが結果的にブランドになった。
11)質問1:重ゲーのすぐれたUXとは
質問者:重ゲーですぐれたUXっていうのはどんなのでしょうか?
深津:プエルトリコとかいい気がする
ミヤザキ:フードチェーンマグネイトはいいですよね。ビジネスのあらゆる要素が体験ができる。
あと何気にピケティの本が重ゲーのUXの参考になると思うんですよ。ピケティの「21世紀の資本」って高くて分厚くて難しそうで、でも売れてるじゃないですか。あれってでも本当にみんな読んでる?読んでるの買った人の1割くらいなんじゃない?みたいな。でもそれでいいんですよ。積んでおくことが満足感につながる。重ゲーもそれでいい。持ってるだけで満足感が得られるゲーム。欲しいと思わせる仕掛けが大事。
12)質問2:ボードゲームとインターネットの関係
質問者:ボードゲームとインターネットの関係ってどうなると思いますか?
深津:デジタルとアナログを両方使うサービスはしばらくするとサービスがなくなっちゃったりする。残念ながら。だから、インスタとかツイッターとかFacebookとかなくならなさそうなサービスを使うとか。手札の写真をSNSにアップしてそれで対戦するゲームとか。
ミヤザキ:Googlemapを使うゲームとかもできるかも?
佐々木:好きなゲームプレイヤーのAIができてほしい。なんならその人が亡くなった後も一緒にゲームできるとか。自分が死んだ後も自分としてゲームしてくれるAIも欲しい。クニツィアのAIとかあったらほしいよねー
ミヤザキ:テストプレイをAIにやってもらう、とかは今後できそうな気がする。
13)質問3:モノがないゲームのマネタイズ
質問者:例えばしりとりみたいな、物理的なモノがない、ルールだけのゲームでマネタイズすることは可能でしょうか?
佐々木:ゲームって紙とペンだけでもできたりするけど、やっぱりそれだけじゃ物足りなかったりする。箱はやっぱり大事!パッケージ大事!だから、箱とルール説明書だけのゲームを作って売ればいい。
ミヤザキ:あ、それはいいですね
深津:あと「体験の場所を売る」とかは?やっぱりゲームは体験を作ることだから。「何月何日のどこそこでこのゲームやるのでやりたい人はどうぞ」みたいな。体験の場所を売る、機会を売る。
ミヤザキ:しりとりハウスだ
佐々木:あとゲーム相手を探すマッチングアプリとか?婚活のアプリたくさんあるけどああいうの。ゲームの強さとかマナーとかがパラメータとしてあるとか。怒りっぽいか穏やかか、とか。「今日は怒りっぽい人とゲームしたいなー」みたいな日もあるかも。
14)質問4:情報を出したくない場合のUX
質問者:競合との兼ね合い等の問題で発売前にあまり情報を出したくない場合のUXは?
佐々木:やっぱりブランド化しておくとか
深津:過去の作品が面白かったから次作も面白いだろうと。長期的戦略
ミヤザキ:何気にテストプレイした人の口コミとか大事かも
15)質問5:質問をしやすくするUX
質問者:質問しやすくする仕組みのUXってあるでしょうか?
深津:こういう会場とかで質問するのハードル高いよね。「突っ込まれビリティー」みたいな一度食いつきたくなるようなポイントを作るのは大事かも?
ミヤザキ:もう申し込みフォームの時点で質問書く欄があるとか
佐々木:事前に質問用紙とペンを配っておくとか、SNSで質問募集とか
16)次回出展していただけるとしたら
司会者:次回展示作品出してもらえるとしたらどんなのを出しますか?
ミヤザキ:それ事前に「こういう質問をします」って言っておいてよー(笑)今回はせっかくチケットがあるんだから、それを使うゲームとか?なんかチケットに色々書かれていてそれを利用するゲーム。逆に色々書かれていてゲームに使えそうな雰囲気なんだけど実は意味はない、なんにも使えない、みたいなのも面白いね。
深津:せっかく入場者が沢山来て、一定期間やるんだからそれを利用したい。お客さんが好きに削っていくとどんどんルールが変わっていくゲームとか、そういうのやりたい。
17)私の感想 ※トークの記録ではありません
以上、メモを元にできるだけトークを再現してみたつもりです…
色々抜け落ちてる情報もあると思いますがご容赦ください…
私の感想はとにかく「ボードゲーム作る人の思考の広さと多様さすごい!」です。
佐々木さんも仰っていましたが「ボードゲーム作る能力は汎用的」な気がします。どういう仕事でも役に立ちそう。
なんていうか「全体的な仕組みを考える・作る」みたいなお仕事なのかなあ。全体的な構造のバランスを考えられる。そして全体と細部を連動させて実装できる。みたいな…?
「あー私日頃の仕事でこんなにも色々な視点から物事を考えてないよ」と思った。まあ私はマネージャーとかではないのでまずは自分のパートをちゃんとやらなきゃいけない立場なんですけど、でもそれでも「全体の中のパート」としていつも自分の仕事をとらえておかないとね、と改めて思ったり。
一部分だけ突出しちゃうような仕事はあまりよろしくないよね。ある程度以上の規模の仕事は全体のバランスとかメチャ大事なんだなーとかそういうことを改めて思ったり。
トークを聞いてまとめることで、自分自身にメチャためになったなー。
ボードゲームに限らず、何か1つのプロジェクトを考えるときに大切なことを沢山聞けた感じ。
長くなってすみませんが(一万字超えちゃったよ)、12/13の #なのか鼎談 「ゲームとUX」のレポートと感想でした。
ひたすら石購入の為に使用します!