【マーシャルⅡ】と【RW】シリーズ
■武装
素の【マーシャルⅡ】にスポットが当たることは少ない。<マジンギア>は出てきてもワンオフのエース機だったり、特典武具を持っていたり、そもそも見た目が機械な<エンブリオ>だったりするんだけれど、それでも【マーシャルⅡ】自体は大変普及している機体ということでいいらしい。量産機は量産機なので周辺機器も当然配備されている。
そのうち【RW】系の型式を持つ武装がたびたび登場している。どうやら同じシリーズに属するようだ。
近接武装は【SRW】で統一されている。【SRW02バトルナイフ】(ゴゥズメイズ盗賊団の殲滅時に登場)と【SRW04バトルハンマー】(ドライフ正当政府の兵士が使った)で、番号が大きくなるに伴って大型化しているあたり、技術発展の歴史が見えてくるようだ。
射撃武装には【LRW03ヒュージグレネーダー】(ユーゴーが《地獄門》発動後の追撃に用いた)と【MRW03ハンドキャノン】(ゴゥズメイズ盗賊団の殲滅時に登場)がある。SRWはShort Range Weapon(短距離兵装)、MRWとLRWはそれぞれMiddle(中距離)、Long(長距離)だと思われる。グレネードランチャーではなくグレネーダーなのがちょっと珍しい。
◆
この【RW】シリーズを作っているのは誰なのだろう。
順当に考えれば<叡智の三角>がヒト型機体と並行して開発した可能性が高い。人間型の機体で扱うことを想定した武装だからだ。たぶん他番号でバリエーションもあると思われる。特に【LRW】の射撃兵装は鉄板と言っていいスナイパーライフルが欠けているし。
しかしながら、厳密には人間のようなマニピュレータを備えた機体が【マーシャルⅡ】以前に無かったわけではない。【アウトレイル】は半人半車の機体で、おそらく見た目ヒルドルブのような仕様だったと思われるが、このような機体が少なからず存在していたのなら【RW】系にも需要があっただろう。【アウトレイル】が<叡智の三角>による【マーシャルⅡ】の技術試験機であった可能性もなくはないが、おそらく2043以前の機体だと思う。カーティス・エルドーナは高位の貴族であり、素人が造った機体に軽々しく乗るとは思えない。彼が【マーシャルⅡ】を乗機にしたのは<叡智の三角>が皇国内で地位を手にしてから、つまり亜竜級のヒト型機体開発に成功してからでしかありえないだろう。【アウトレイル】はおそらく【ガイスト】をベースに近接格闘能力の追加をコンセプトとした実験機だったと考えられる。
(前略)エルドーナ侯爵家に残置した半人半車の専用機【アウトレイル】……(後略)
(『蒼白詩編 三ページ目』死出の箱舟・■■の■ その十九)
とはいえ専用機ということなので、ヒト型マニピュレータを備えた機体はやはり珍しかったのだろう。【RW】シリーズの番号がどれもやけに若いのは開発が進んでいないからだろうか。
つまり、ドライフ皇国にはティアンによる武装の開発企業があって、【RW】シリーズはそこの商品を流用しているだけという可能性もあるのではないだろうか。武装だけは共用するというのも、高い汎用性をアピールするという意味では決して悪くないはずだ。特に【マーシャルⅡ】はティアンたちの軍に正式採用された機体なのだから。
ティアンの企業(企業という経済的共同体の仕組みがドライフに存在するかどうかはさておき)自体は存在しないほうがむしろおかしいくらいだ。【ガイスト】や【マーシャル】を造っていた人たちがいたはずなので。
To be continued