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猫が手術してちんちん取った話。

こんにちは。そろそろ2020年も終わろうとしていますね。今年は個人的にかなりドタバタした年だったのですが、中々衝撃的だった話を一つ、忘備録として書き残しつつ、「これから猫を飼おうかな」、「何時か猫を飼いたいな」、「猫との暮らしとはどんなもんじゃ」、という方に「こういうこともある」というモデルケースとなれればと思ってしたためておきます。

・猫、脱走をする

ある春頃の夜、猫がベランダから脱走した。

これは飼い主、つまり私の不注意だ。洗濯物を干そうと窓を開けた瞬間に足元からスルリと出ていかれてしまった。猫はいつもスリルを求めている。外に何があるかもよくわからないまま逃げ出したりするのである。

ベランダに逃げたのは初めてではなかったが、いかんせん何度呼んでも帰ってこない。おやつで釣っても、玩具で釣ってもダメ。そのうち、こちらをあざ笑うかのように猫はマンションの外階段を下りて行った。

追いかけていったが、「おばさんやーいやーい!ここまでこれないだろー!」と言わんばかりに遊んでいる。

それから暫くしてようやっと捕まえて帰宅した。

・猫、変なところでおしっこのポーズをしだす。

その日の夜だった。当時、苺のパックが二つ入るタイプの段ボール箱があった。化粧箱と言うやつだ。そこに猫が入って座った。

「どしたの。かわいいねぇ」

声をかけると、きょとんとしたまま猫はどいた。

そこには、何だか赤い水のようなものが垂れていた。雫だ。

「? なにこれ」

家人もやってきた。

「まさか、血尿?」

さっき座っていたポーズは、よくよく考えればおしっこするときのポーズだったのかもしれない。

家人と二人、猫を見る。何時もと変わらず毛づくろいする姿に、「気のせいかなぁ」「苺から垂れた水分が付きっぱなしだったかな?」などと話していた。

……今思えば、少し前からトイレで砂を掻く回数が増えていたような気もする。

はて? と首をかしげながら、

「丁度もうすぐ予防注射の時期だし、その時にでも一緒に検査してもらうかぁ」

「この間の健康診断では何もなかったもんねぇ」

等と暢気に構えていた。

・猫、おしりを触ると痛がる。

その翌日だったように思う。また化粧箱に赤い水があった。シミもできている。

「……まさか、やっぱり血尿か」

そう思いつつ、「いや、まさかな」「まだ二歳半の若い子だし、そんな馬鹿な」などと思っていた。

猫のお尻を触る。痛いのか、触ると怒りだした。

家人と「……おかしいな?」「おかしい」と顔を見合わせ、予防注射を早めることにした。

・翌朝病院へ駆け込む

翌日、動物病院へ行き「予防注射してほしいんですけど、その前にちょっと体調がおかしいみたいなんです。お尻辺りを触ると痛がるんです。」そう窓口で言った。

「あら。じゃあそれを見てもらって、大丈夫だったら予防注射してもらいましょう」

と言われ、診察を待つ。

なお、この猫は体調不良と自転車での移動で酔って、涎をだらだらに零していた。ほぼゲロを吐いたと変わらないような状態になっていた。

「診察室へどうぞ~」

優しい先生が呼んでくれて、診察室へと入った。

・猫、ちんちんが詰まっていた。

先生に全身を触診され、「おしりを触ると痛がる」と伝える。もしかしたら血尿かも、と伝えると、

「おしっこ取ってみましょう」

と言われた。

しかし都合よくそこでしてくれるわけがない。猫である。人間の子供も厄介だが、こちらは完全に言葉など通じない。一生通じない。いや、多少は分かっているが、かといって「此処でおしっこして」「合点だ!」とはいかないのである。なので、カテーテルを入れて取ることになった。

が、処置をする先生の顔が曇る。

「……管が、入っていきませんね。腫れているようです」

ああ、病院に来て良かった。そう思った。

――すべての猫の命題として、「腎臓が弱い」と言う問題がある。

おしっこと大いに関係のある腎臓を傷めると、そこから一生、その猫は腎臓病と付き合わなければならないし、寿命を縮めることとなる。

どうか腎臓にダメージが無い状態であってくれ。祈る。猫は痛いのか不快感からか、恐怖からか、暴れた。そりゃ知らない人に押さえつけられて下半身弄られたら人間だって暴れる。ごめんねぇと謝りながら私も保定に参加した。

中々採尿できず、生理食塩水を注入して尿道を広げながら採取し、どうにか採ったおしっこを検査してもらう。

「結晶があります。目視で見えるこの砂のようなものが、全部結晶です。これが詰まっているのかもしれません」

たしかにおしっこには無数の粒が沈んでいた。

「尿の値を見ると、ギリギリ腎臓にダメージはない状態ですが、本当にギリギリです。危なかったですね。」

先生はそう言った。

この結晶、名前を「ストルバイト結晶」という。水をあまり飲まなかったり、冬場にこたつの中に引きこもったりすると起こりやすい物らしい。

「結晶がなくなるまで、何度か膀胱を洗浄しましょう」

そして猫は病院通いをすることとなった。

・猫、通院する。

それから数日おきに通院することとなった。そのたびにカテーテルを入れられ、採尿され、尿チェックされる。

ちなみに最初の日は血液検査とカテーテル、生理食塩水、薬代で二万近くが飛んで行った。

カテーテルを入れるたび、検査するたびに、最低一万三千円ほどが飛んで行ったのを書いておこう。

これを何回かした。

そして家でも、この「おしっこ出ない騒動」は混乱を極めていた。

ざっと箇条書きにすると、

・トイレが猫トイレでできなくなった

・餌を食べなくなってしまった。

・餌を変えることとなった

この三点だ。

猫は割と頭のいい生き物である。ので、「トイレでおしっこすると痛い」と学習してしまい、「他の所でしよう」となってしまったのだ。うちの猫は玄関の三和土が気に入ってしまった。本当なら砂場でするであろうに、堅い床に座って、鳴きながらしていた。痛々しかった。

ペットシートを敷いたり、苺の化粧箱に誘導したりしたが、ダメだった。何度もトイレではないところで粗相をするので、匂い取りをしたりと必死になった。

トイレの痛み、そして通院で疲れ切った猫は、次第に食事をとらなくなっていった。まだ2歳半、この猫種(メインクーン)では子供だ。ご飯を食べなくては痩せてしまう。育ち盛りの子供が食べないことほど不安なことはない。

そして餌。このストルバイト結晶は餌によってコントロールすることができる。

それまではドラッグストアで2キロ千円以下の餌を食べていたし、先住猫は生まれてこの方その餌を食べて健康ぴっかぴかに育ってきていたのであるが、こうなったからには療養食に変え、食べてもらうしかない。

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値段は倍以上になった。

しかも療養食、つまり人間でいうところの病院ご飯のようなものなので、ウケが悪い。

ちなみにお医者さんに「先住猫はずっと普通のご飯を食べて健康なのに、何でですかねぇ……」とぼやいたところ「運です。元々合わない子がいるんです」と言われました。そんな殺生な。

金は飛び飛び猫は鳴く。先住猫は焼きもちを焼く。

そして私も家人も、コロナ過とは言えリモートワークになる職種ではなかったため、仕事や家事をこなしながらこれらに対応していた。

そう、我が家は混乱を極めていた。

・猫、ちんちんを切ることになる。

「何度も膀胱洗浄をしていますが、詰まりがよくなりません。おそらく尿道が腫れて、そこがすでに線維化してしまっているようです」

と言うようなことを言われたのは、はて何回目の診察だったか。

診察のたびに移動で酔い涎を垂らし、恐怖でおしっこを漏らし長毛を汚していて、猫も家族も疲弊していた。

「こうなると、取るしかありません」

「ちんちんを……?」

「そうです」

既に去勢で玉はない。そのうえこの子はそこまで失うのか……。そう思った。しかし仕方ない。取らなければ、延々とこの苦しみが続いてしまう。

ありがたいことにこの時、臨時給付金がもらえることとなった。どうにか手術費用は払えるだろう。

「おいくらぐらいですか」

「状況にもよりますが、安くて10万、高くて15万円程度かかるかと」

「でも仕方ないですよね。このままこうしておくわけにもいかないし」

という事で、手術は決定した。

・猫、ついに手術する。

ということで手術することになった。最初の時から二か月程度たっていた。

ちょっと生々しいが、竿の部分を取り、余った皮で尿道周りを形成するという事であった。世に聞く、性別転換手術のようなものだろうか。女の子になっちゃうねェ、などと家人と話していた。

手術準備をし、連れていく。診察室に入り、「ではお預かりしますね」とにこやかに言う先生と、「早く帰ろ……え、なんで? ねんで俺を置いていくの?」という混乱顔の猫を残し、私は帰宅した。

そして、猫はあっけなくちんちんを失ったのである。

・見舞い。そして帰宅。その後。

かかりつけ医院には面会室があり、手術の翌日に面会に行くと、奇麗な個室の奇麗なソファでぐったりする猫がいた。人間と同じ点滴を付けている。

「なかなかご飯もお水も取ってくれなくて」

先生は苦笑いして、後遺症の話などをしてくれた。おしっこが無事に出れば帰れるとのことだが、水もなかなか飲まないので、出るものもなかなかでないとのことだった。

猫はそれはもう、今まで見たことがないほど甘えてきた。「おばさん、かえろ、おうちかえろ、俺もうやだよ」と言わんばかりに甘えてきた。

ちなみにメインクーンはあまり甘えないタイプの猫種とのことだが、この猫はそんなことなかったうえに、それに輪をかけて甘えてきたのですごかった。もういろいろ。これが人間だったら幼気な美少年状態である。これだから猫飼いはやめられねぇぜヘヘッ。

それから二日ほどたっただろうか。家族でお見舞いしたりもして、ほぼ連日押し掛けていたが、ようやっと退院の許可が下り、猫は無事帰宅したのである。


その後、術後検査も無事パスし、今のところ後遺症もなく無事に元気でやっている。

掛かった費用については……まぁざっと20万円以上になる。細かくは計算していない。ちょっとくらっとする。

でもこれがきっと動物を飼うという事なんだろう。何せ家族。自分の子供が病気になったら、どうやってでも治してやりたいと思う。それと同じことだ。

もちろん、ほとんど病気にかからず、十年以上元気でな猫だっている。うちの先住猫のような、キロ数百円のご飯でも元気な猫だって存在するが、そうじゃない猫もいる。

これから猫を飼いたい人に、ぜひ覚えておいてほしい。ペットは家族だ。命なので、簡単に「いざとなったら里親に」とか思って飼わないでほしい。お願いです。このようにめっちゃお金かかるリスクもある。でも最高に可愛い。それが猫らしいです。

猫飼う気がない人へ。めっちゃ可愛いよ、猫。最高に可愛いぞ。もうそりゃ最高に可愛いぞ。猫種にこだわらなければ里親募集とかもあるぞ。いいぞ~~猫。ホントだって。試しに猫カフェいこっか!ね!

まあつまり何がいいたいかと言うと。

猫が元気なら、それでいいのだ。

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