自分の住む街にこんな課題があるなんて…!地域と企業で取り組む森づくり
I-neでは、2023年から大阪府の推進する「アドプトフォレスト制度」を活用し、大阪府茨木市鉢伏山(はちぶせやま)にて、森林整備活動に取り組んでいます。ササ狩りや、除草、枝葉の集積の地ごしらえから始まり約1年、この春、ついに植樹までたどり着きました。これまでの活動とともに、鉢伏山での取り組みを紹介します。
地域と企業が森づくりに取り組む「アドプトフォレスト制度」
I-neが本社を置く大阪府には、約56,600hの森林があります。これは、府域の約3分の1を占める数字です。これらの森林は、住民にとっての貴重な環境資源ですが、管理されずに放置される、竹林が拡大するなど、荒れた森林が増えつつあります。一方、森を守り、森で遊び、森に親しみたいと考える住民や事業者も増えていて、より多くの府民・NPO・事業者等が参画する多様な森づくりが求められています。
「アドプトフォレスト制度」は、大阪府が事業者等と森林所有者の仲人となって、森づくりへの参画を進めるものです。大阪府では、現在、40の団体・企業が、健全な森林を次世代に引き継ぐため、森づくり活動に取り組んでいます。
I-neも、大阪府に本社を置く企業として、より地域に貢献すべく、この制度を活用した森づくり活動に取り組むこととなりました。
台風被害を受けた森林の整備
I-neが活動を行っている鉢伏山は、平成30年9月の台風21号で被災し、風倒木が発生した人工林です。この時の台風による、風倒木被害面積は、大阪府全体で約728ヘクタールにものぼりました。少しずつ復興が進んできたものの、まだ手が回っていない場所もあり、鉢伏山の風倒木は何年もそのままになっていました。
数年の間、そのままになっていた風倒木の中には、完全には倒れていないものの、根が起きてしまったり、水や養分を吸収する「道管」が破断されたりと、立ち枯れ状態になっているものも多くありました。
こうした立ち枯れ状態の木は、いつ倒れてもおかしくないため、とても危険です。特に、鉢伏山は、住宅街のすぐ横に位置しており、散歩のできる遊歩道があります。もともとは、子どもたちの遊び場所や、住民のみなさんの散歩コースでもあり、多くの方々に親しまれてきました。立ち枯れ状態の木から数メートルほどの場所は、住民のみなさんが通行する場所です。再び、多くの人が集まり、親しめるような場所にするため、私たちも取り組みに加わりました。
活動を始めた2023年4月には、まず、立ち枯れた木の伐採を行いました。立ち枯れしている状態の木は、強風によって倒れたり折れたりする可能性があります。大阪府や森林組合のみなさんの指導のもと、まずは、危険な状態の木を取り除き、安全な場所にするための整備を行いました。
続いて行ったのが、植樹予定地の除草や、登山道のササ狩りです。実は、ササは生命力がとても強い植物で、短期間で生い茂ってしまいます。増えすぎると、希少な植物が育たなくなったり、登山道を塞いでしまったりしてしまうため、私たちも年に2回、芝刈り機では刈りきれない箇所のササ狩りを行っています。
こうした除草やササ狩りなど、植樹前に植え付け場所を整備する作業、地ごしらえを1年かけて行いました。
願いを込めたサクラの植樹
1年の地ごしらえを経て、ようやく2024年4月に、植樹にたどり着きました。
植えることになったのは4種のサクラです。将来、お花見ができるような場所にしたいという願いから、多くの人に親しみのあるサクラを植樹することにしました。
今後、数年かけて4種のサクラを植樹する予定ですが、まず植えたのはカスミザクラです。カスミザクラは、一重咲きの中輪の花を咲かせ、花弁の色は白色なのが特徴です。また、日本の桜の中では比較的乾燥に強く、土壌の乏しい岩石地のような場所でも生育しやすい品種です。
今回は、カスミザクラ70本のほか、30本のコバノミツバチツツジを植樹しました。
また、植樹したサクラ1つ1つには、参加したI-neの社員が名前を付けました。担当するブランドの名前をつけたり、暗号のように他の人にはわからない名前をつけたり、それぞれの願いを込めた名前をつけたり…。思い思いにプレートへ手書きで記載しました。名前の横には、サクラへの思いも添えました。サクラと鉢伏山に愛着を持って、今後も森を育てていけたらと思っています。
さらに、植樹したサクラの周りには、花の芽を食べる害獣よけにガードも設置。今後も、サクラの成長を見守りながら、活動を行っていきます。
これまで、鉢伏山での森林保護活動に、I-neの社員のべ88人が、参加しました。
参加者からは
・継続して活動することで、より感慨深い気持ちで植樹をすることができた。数年後の桜の成長が楽しみ。
・森づくりは、かなり長期の取り組みである点や、お金がかかる点を踏まえると、行政だけではなく、周囲のサポートが不可欠だと感じた
・地域のために世代を超えて残せるものに携われたのはよかったなどの声が集まりました。
中には、自分が住む地域にこうした課題があることを、活動を通して初めて知ったという人も多く、I-neの社員にとって、地域の課題に向き合うきっかけになっています。
植樹したサクラが花を咲かすまで、10年以上かかると言われています。今後は、サクラが順調に育っていくために、これまで取り組んできたササ狩りなどの整備も、植樹と並行して行っていきます。
10年後に、地域のみなさんと一緒にサクラを眺められる日を願って、活動を続けていければと思います。
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